
最近XRD(X線回折)の測定を勉強し始めた初心者です。
薄膜を測っているのですが
まだ品質のいい膜が出来ておらず、結晶性が悪いです。
なので、ピークが弱いです。
ω-2θスキャンで、
低い指数のものはなんとか読み取れるまで回折強度があるのですが、
高指数側のピークは、ノイズやらバックグラウンドと区別がつきません。
それでピークを見るために、ノイズをなるべく無くしたいと
考えているのですが、知識+経験が少なく、
どうしたらいいかよくわかりません。
使っている装置は、PhilipsのX'pertです。
教えてほしいのは、
(1)ノイズの発生理由として通常考えられること
(2)ノイズを低減させる方法
(3)弱いピークの見つけ方、出し方
です。
一応の方策として、
ステップごとのX線の照射時間を長くして、
ノイズを平均化すれば、積算で、ピークが出るのかな
と考えていますが、
(1)XRD装置の予約が混んでいてなかなか使えない。
(2)測定結果を出さなければならない期限が迫っている。
などの事情から
なかなかゆっくり考えたり、色々試している暇もありません。
誰か知っている方いたら教えてください。お願いします。
A 回答 (3件)
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No.3
- 回答日時:
回折データをどのような目的で測定しているのか分からないので推測で書きます。
結晶性の低い試料の高次回折線は、実験室系の装置でいくら積算時間をかけても
明瞭には成りません。これを踏まえて書かせてもらいます。
PhilipsのX'pertなら封入型のCu-kaで、管電圧、電流は40kV、30mAくらいでしょうか。
改善策として、既出ですが、
1. 40kV, 50mA位に上げて下さい。
2. 測定時のサンプリングステップ角度を0.04°にして3s/step位にして下さい。2θ=20°-80°まで測定しても75分で終わります。格子定数の算出が目的なら0.02°は欲しいですね。
3. θ側の入射角度を0.5°にして下さい。
4. 1回の時間が長く取れない場合、1s/stepにして短時間測定を5回くらい行い、最後に強度データを足し合わせて下さい。この場合、測定日が変わっても構いませんがX線強度の半割値を極力差が無いようにして下さい。特に光軸の調整(初期化)はしないで下さい。X'pertなら半割値の調整は楽だと思います。学生用のXRDは光軸調整ほったらかしという場合が多いですが、X'pertならあまり気にする必要はありまん。
5. 分からないことは、Philipsの技術者、サービスと話すのが一番早いし、勉強になります。
6. 強度の弱いピークの位置探しはICDD(JCPDS)のパターンを元に探します。空間群が既知なら消滅則を無視して全てのピーク位置を計算するのも手段の一つです。
No.2
- 回答日時:
私も薄膜作製で粉末X線を良く使います。
薄膜は質量が少ないので、結晶性が悪いと強度が弱くて苦労しますよね。1.ノイズの発生理由
ノイズというよりバックグラウンドでしょう。回折ピークに寄与しないX線がメインです。
2.ノイズの低減法
X線回折の装置側の改善法としては、モノクロメーター(正確には試料より検出器側に設置するので、アナライザーと呼ぶべき)を使うことで回折現象に寄与しないX線強度を劇的に低減することが出来ます。最近の装置にはたいていモノクロが付いていますが、もし使った装置がモノクロでは無くてフィルタータイプなら、モノクロ付きで高出力な回転対陰極型(ローター型)の装置が近くにないか探してみてください。
測定装置の改善が不可能な場合。この種の計測では、計測結果にはカウント数のルートの統計的ばらつきを伴います。従って、相対的なばらつき(S/N比)は、(カウント数のルート)/(カウント数)=1/(カウント数のルート)になるので、とにかくカウント数を増やせばバックグラウンドは1/(カウント数のルート)の割合で平坦になっていきます。カウント数を増やすには、X線強度を増すか、測定時間を増やすしか有りません。
あと、もし測定試料が小さい場合、測定スリット(発散スリットDS)が広すぎて試料の幅をはみ出してX線が照射している可能性(広角側では可能性は少ないと思いますが)、通常はX線がライン状に照射されるので試料長さが足りない可能性もありますので、確認してみてください。
3.弱いピークの見つけ方
ノイズの低減法の一つでもあるのですが、もしその広角側のピークがブロードで、必要以上に細かいステップで測定していた場合、測定結果を単純な隣合う角度データの足し算や移動平均というデータ操作をすることで、多少はブロードで弱いピークが見やすくなります。
また、S/N比が悪くてピークの存在は分かるけれどもピーク位置や半値幅、強度が見積もりにくい場合には、カーブフィッティングして求めることも可能です。
これらのデータ操作は、おそらく最近の装置には付属ソフトの機能の中に含まれていると思います。
最後に、そもそも高指数側ピークがどの程度の強度得られると予想出来るのかを検討されてはどうでしょうか?例えば、(100)ピークに対して(200)ピークのような高次反射と呼ばれるものは、理想的な場合でも面積強度で言って1/4にしかなりません。もし、その試料が既知の物質なら、薄膜の場合には必ず多少の配向性が出ますので単純に比較は出来ませんが、粉末X線回折のデータベース(JCPDS)で可能性のある物質を調べて、そのピーク強度と比較検討してみるのが良いかも知れません。
No.1
- 回答日時:
XRD経験者です。
(1)ですが、普通、測定装置にはノイズはつき物です。電気的のノイズがメインでしょうが、自然放射線がカウンターに入射することもあるでしょう。故障レベルまで上がっていないなら、そのようなものだと思ってください。
(2)測定装置のノイズ以外に、結晶性の悪さからくる成分が混じっていませんか?一度、サンプル抜きの空のホルダーで測定したら、測定装置とサンプルのブロードな成分の切り分けができると思います。
また、S/N比をあげるにはX線の出力を上げることです。共用の測定装置はピークの出るようなサンプルを計るように設定されているでしょうから、出力はMaxまでは出していないと思います。結晶性の悪いものはそれなりに高出力で測定するべきです。
(3)出力が出せない場合は、時間をかけることです。ノイズも増えますが、平均化されていくでしょう。そこにピークがあるかないかの判断はできるようになるでしょう。
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