

No.6ベストアンサー
- 回答日時:
一つ参考となる話をしておきます。
民事訴訟の目的は「真実の発見ではない」です。
民事訴訟の指導原理に弁論主義というのがあるのですが、この一つの内容として「当事者に争いのない事実は必ず判決の基礎にしなければならない」というのがあります。これは、「たとえそれが真実と異なるものであっても、当事者がそれでいいと言っている限りは裁判所が勝手に違う事実を認定してはいけない」ということです。なぜこのような原理があるかといえば、「民事訴訟は当事者間の紛争解決のためにあるのであって、真実を発見する場ではない」からです。真実よりも「紛争の解決」の方が優先するのです。
弁論主義にはこういう内容もあります。「当事者の主張しない事実は判決の基礎としてはならない」。判決に影響を及ぼす重大な事実が実際には存在していたとしても当事者がそれを主張しないと裁判所はその事実を元に判決を書くことができないのです。これもまた「真実発見の場ではない」ということの表れです。
更に弁論主義にはもう一つ内容があります。「当事者に争いのある事実は証拠によって存否を決める」。当事者が事実について争っている時に「どちらの言っていることが本当か」を判断するのは「証拠による」のです。「裁判官を説得できる証拠がない限り、どんなに本当のことを言っていても裁判官はそれを事実として認めることができない」のです。これは真実発見云々とは若干次元が違いますが、裁判官は神様ではなくただの人間なので、裁判官がその事実があったかどうかを知ることは当事者が証拠を示して説得しなければならないのです。言い換えれば、民事訴訟手続きというのは、当事者が自分の主張を裁判官に証拠を示して説得する場だと言ってもいいくらいです。
そこでどちらが嘘でどちらが本当かは最終的には、「裁判官がどちらの言い分の方が証拠に照らして信用できるか」という判断にしかなり得ず、それが「実際の事実に合致しているとは限らない」し、「そういうものである」というのが民事訴訟なのです。
更に、時機に遅れた攻撃防御方法の提出という話があり、「たとえどんなに説得力のある証拠でも、適切なタイミングで提出しないと証拠として認めてもらえない」という原則があります。この原則のために有力な証拠が証拠として不採用となった結果、真実と異なる判断になる可能性はありますが、それでも「適切なタイミングで出せない事情がないのに適切なタイミングで出さないような当事者は訴訟遅延などの原因になるので保護に値しない」ので不利益を被っても仕方がないとするのです。これもまた「民事訴訟は紛争解決が目的で真実発見が目的ではない」ということの表れです。
世間的には勘違いしている人も多いのですが、民事訴訟に真実発見を求めるのは「ただの幻想」にすぎません。刑事訴訟で無罪となった被告人を相手に民事で損害賠償請求をして勝訴して喜んでいる被害者が時々いますが、辛辣なことを言えば、「法制度としてみれば勘違いも甚だしい」のです。
裁判官が「公平な第三者」であるが故に、「当事者は真実を知っていても裁判官は知らない」のです。裁判官は、たまたま訴訟外で真実を知ったとしてもそれが訴訟上現れた事実でない以上は知らないものとして裁判をしなければいけないのです。そこで真実を知らない裁判官が判決を書くには、当事者が対等の立場で対等な訴訟活動を行い、「どちらが裁判官を説得できたか」ということにならざるを得ません。初めから一方当事者の立場で一方が正しいと言うのは、当事者の立場だからいえる話であって「公平な第三者」の立場ではないのです。
さっそく回答を頂き、ありがとうございます。
>民事訴訟は当事者間の紛争解決のためにあるのであって、真実を発見する>場ではない」からです。真実よりも「紛争の解決」の方が優先するのです
裁判官は原告、被告双方の証拠なり証言を相対的に評価して、「こっちの方がどうやら信用できそうだ」ということなのですね。
そうなると、そういう証拠を引き出す弁護士の腕次第ということにもなりますね。
ありがとうございました。
No.5
- 回答日時:
No.4さんの表現が見事に本質をついていると思います。
「裁判官は超能力者ではない」
もっとも、マスコミや世間はは得てして裁判官に超能力者であることを求める傾向があるようですが、
少なくとも民事訴訟法は(刑事訴訟法も)そんな夢のようなことを求めてはいないです。
>被告の嘘つき度合いが上手かったら見破れない
「見ず知らずで、肩入れする気のない人の必死の主張でも、
自分なら必ず真実を察知し、嘘を見破れる」
…自分なら、どうだろう?と思いを及ばせるといいと思います。
自分にはできないけど裁判官なら出来なければ困るとお思いであれば、2行目に戻ります。
「裁判官は超能力者ではない」
No.4
- 回答日時:
原告の証明力の不足を裁判官の所為にするのは、何とも気の毒ですね。
裁判は、原告被告双方に等しく証明義務があり、第3者である裁判官をいかに納得させるかが争点となるディベートのようなものです。超能力者じゃないんですから、客観的な証拠も無い状態では、真実を見て!と望むだけ無駄です。
原告が被告の嘘を証明すれば、証人の偽証罪が明るみに出るというだけです。
回答を頂き、ありがとうございます。
原告の証明でしかウソを立証できないというのが現実なんですね!
証明力がなかったら泣き寝入りするしかないようですね。
ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
これは民事裁判の話ですから検察官は関係ないと思います。
原告も被告もうそをつきます。我田引水の主張をします。裁判官がそうした“うそ”の中から真実をさぐりあててくれると信じたいところですが、民事裁判は必ずしも最終的に真実を探り当てることを目的としていません。両者の主張と事実を表す証拠から、「真実らしきもの」を作り出し、それを法律のことばで立てわけたり、説明して仲裁をするものといえます。
その姿勢は、極論すれば参考URLの方が書かれているように、「金銭の配分」を考えてからそれにあうように「法律の文書を作る」ことになるのかも知れません。
うそでも主張すれば認定されるかもしれませんし、真実でも黙っていればねじ曲げられてしまいます。
参考URL:http://square.umin.ac.jp/koba-Riv/law/law%20and% …
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