大黒屋光太夫の話を聞くと、いつも気が遠くなるくらい不安で心細く、果てしない様な気持ちになるのですが、
アリューシャン列島でロシア人に会って、そこから自力で船を作ってカムチャッカ、オホーツクなどまで行けるだけの力があるのなら、その辺(カムチャッカ、オホーツク辺り)からまた自力で船などを作るか、それかそこで働いたりして船を買ったり譲ってもらったりして、
自力で(半ば強引に、法的に違反だったとしても)日本に帰国したければすればいいと思うのですが、なんでわざわざサンクトペテルブルグまで行ってエカチェリーナとか言う人の“許可”を貰いに行くのでしょうか?
そんな許可なんて無くても自力で帰ってくれば良いと思うのですが・・・。
なぜ、わざわざサンクトペテルブルグまで行かなければならなかったのでしょうか?
つまり、“密出国”すれば良いというか・・・。(元々密入国の様なものだし・・・)
エカチェリーナに帰国の許しを乞う必要性がわからないのですが、何か理由があるのでしょうか?
No.3
- 回答日時:
帰れません。
地図も海図も航路も全然分かりません。当時はまだ間宮林蔵が樺太探検もしていないのです。大黒屋光太夫は元々江戸が目的地だったのであって北海道以北の地理など何も知りません。極寒の気象条件ですから、日本よりかなり北方に漂着したらしいことは分かっていたでしょうが、日本からどれほど離れているかも分からなかったはずです。自力で船なんて作れません。船頭は船の操縦が仕事なのであって、船を作ることは仕事ではありません。たまたまロシア人に見つかって、何か使い道がありそうだぞと獲物扱いでロシア人によってカムチャッカ半島に強制連行されたのです。もっともアリューシャン列島にしがみついていたところで病死を待つだけで埒が明きませんなら、その先に何が待ち構えていようと付いていくしかありませんでした。人質も同然なのです。日本人が漂着することなど滅多なことでは起こりません。あわよくば身代金をせしめたい。当時はまだ帆船の時代です。だからカムチャッカ半島から日本まで何ヶ月もかかります。潮流や風の向きが分からなくて船出したところで、またとんでもないところに漂着するか無人島で餓死するかだけです。要するに日本に帰国するにはロシアの絶大な理解と支援が無いとどうにもならないということなのです。過去、日本の漁民や商人が暴風雨にあって、とんでもないところに漂着したことは数限りなくありました。しかし日本に帰国できたのは大黒屋光太夫とジョン万次郎の二人だけです。正確には幕末には漂流民を届けるという口実で鎖国の日本を開国させようとした事例がありますが。ジョン万次郎もそうでしたな。ロシア人は馬鹿でもお人よしでもないので、いくら帰国したいと泣き叫んだところで手を貸してくれる人などいません。といいつつ奇跡的にお人よしがいたのです。キリル・ラクスマンです。何の野心も下心も無いラクスマンの尽力によって大黒屋光太夫は皇帝エカチェリーナ2世との謁見に成功しました。そして、この機会に日本と交易したいと考えた皇帝エカチェリーナ2世の至れり尽くせり、おんぶにだっこの絶大な支援によって、ようやく帰国の夢が叶えられた。
許可だの自力だのとそんな生易しい話ではありません。うかつに日本に近づけば、領海侵犯で砲撃を喰らって沈没するかも知れないのです。鎖国とはそういう意味です。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
ひとつには#1さんも書いておられるとおり、日本に帰国したときに罪に問われにくくするため。
それ以外に、光太夫と一緒に船に乗っており、ロシアまでたどり着いた部下のうち2人がロシア正教に改宗したため、彼らの生活の保護(実質的にはロシア国籍を与える勅許)の嘆願と、ロシアを出国する許可を嘆願したため。
当時のロシアは、ようやくシベリア平原を渡り切りオホーツク海に勢力を伸ばした時期で、その先に日本と中国があるのは知っていたため、特に日本の情報を切望し光太夫らは実質的にイルクーツクで幽閉されている状態であった。
密入国ではないが、ロシア国籍を持たず正規の旅券(パスポート)を持たない日本人は、ロシアの場合国家の財産(というか奴隷)扱いになるため、勝手に出発すると脱走になってしまうために、国王の許可が必要だった。
また、イルクーツクのような緯度の高い地域では木材が豊富ではないし、それを利用して船を密造するのは、職得ることが不可能な彼らにとっては絶対的に無理なことだった。
だいたい、船を隠しておくこと自体が不可能だし、イルクーツクの人口自体がそれほどないところに「日本人」は彼らしかいないので、隠密行動は不可能だったし、道具をそろえることも不可能に近かった。
(のこぎりとかくぎとか買うことはできても「何に使うんだ?」と思われたらおしまい)
ということで、当時の国王であるエカテリーナ2世に拝謁し、許可を得る必要があった。特にロシアはものすごく中央集権国家で役人に何を聞いても「モスクワに申請している」といわれるばかりだったので、光太夫もモスクワ行きを決意したといわれる。
ちなみに当時は、途中で死ぬこともありえるものすごい過酷な旅立だったようです。
No.1
- 回答日時:
帰国の許可を貰うというのは名目で、実際はロシア皇帝と
謁見したという実績が欲しかったのでしょう。
(あるいは、単に好奇心の強い人物で、どうせ海外に行く
機会が出来たのだから、それを利用して見聞を広めようと
したのかも知れません。)
無論そう簡単に謁見できるとは思えませんが、
当時、ロシアが興味を示していた日本からやってきた者が
謁見を望んでいるという話が伝われば、謁見の可能性は
高かったと思われます。
また、仮に謁見が出来なかったとしても、それまでに見聞した
ロシアの内情は、重要な情報になります。
そのまま帰れば、お咎めを受ける可能性がありましたが、
ロシア皇帝と謁見した人物となれば、幕府も邪険に
出来ないでしょうし、ロシアの内情を知る人物となれば
なおさらです。
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