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No.1
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有機金属触媒反応では反応経路内で金属原子の価数が変化します.
これは酸化的付加,還元的脱離と呼ばれています.
まず錯体の価数ですが,錯体全体の価数と,金属イオンの価数を
それぞれ考える必要があります.
酸化的付加の例としては,全体で0価,金属イオンも0価ののPd錯体(Pd(PPh3)4)に
ブロモベンゼン(Ph-Br)を加えると,0価の配位子である
トリフェニルホスフィン配位子(PPh3)が2つ外れて,代わりにフェニル基と臭素が付加します.
このとき,生じたPd錯体全体の価数は0ですが,
配位子であるBrとPhはどちらも1価の陰イオンであるとして計算されるため,
Pdイオンの価数は+2となります.
(フェニル基が1価の陰イオンというのは,例えばグリニャール試薬をイメージしてください.
Ph-Mg-Brに水を加えるとフェニル基がH+を奪ってベンゼンとMgBr(OH)が生じます.)
このように,加えた分子の結合が切れて-1価の配位子2つが
金属に配位するという形態での配位子交換反応を,『酸化的付加』と呼びます.
酸化的,というのはPdのイオンの価数が0から+2になったことを指します.
還元的脱離はこの逆で,例えば錯体全体では0価だけれども金属イオンが2価のPd錯体
(PdにPPh3が2分子とヒドリド配位子H-と臭化物イオンBr-が配位したもの)を考えます.
注意していただきたいのは,Hは水素イオンではなく水素化物イオンであるという点です.
通常,金属に配位した水素原子はヒドリドとして扱われます.
この2価のPdからHBrが外れると,錯体全体で0価,Pdも0価の錯体であるPd(PPh3)2が生じます.
これは先ほどとは逆にHBrが脱離して金属イオンの価数が減ったため,還元的と呼ばれます.
また,トリフェニルホスフィンは主に0価の配位子や還元剤として用いられます.
塩基として用いられるのはむしろアミンや炭酸塩でしょう.ヘック反応では生じるHBr等を
何らかの形で不活性にしてやる必要があるため,塩基を加えます.
このような内容は大学生向けの無機化学の教科書に詳細が記載されていると思います.
気になるようでしたら図書館等で探してみるのがよいかと思われます.
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