No.3ベストアンサー
- 回答日時:
>終止感というのは終わる感じと理解していいのですか?
そう思ってもよいですが、「解決する感じ」と言い換えることもできます。半音の音程での進行の方が「牽引力」が強いので、全音と比べて、隣の音に進行しようとする力が強いのです(初級の音楽理論では扱わないので省略していますが、半音による「導音」という考え方は、上行だけでなく、下行の進行においてもあります)。和音を伴う場合は、V度の和音(属和音、ドミナント)に含まれる音階第7音(つまりイ短調の場合は「ソ」)を半音上げた方が、V→I(属和音→主和音、ドミナント→トニカ)という和音の進行の際に力強い半音上昇ができるので、終止感が強くなります。
古い時代の教会音楽では、ハ長調とかイ短調という考え方はありませんでした。使う音は「ドレミファソラシ」の7つで、主音(開始音)だけをずらしたものを「旋法」として考えたのです。「ドレミファソラシド」の音階を「イオニア旋法」といい、「レ」から始まる「レミファソラシドレ」の音階が「ドリア旋法」、「ミ」から始まる「ミファソラシドレミ」の音階が「フリギア旋法」というように続きます。その後、最初は旋律しかなかった音楽が和音を伴うようになり、それぞれの和音に決まった機能が備わるようになりました。「旋法音楽」から「調性音楽」が確立して、長調の各音階は、主音の高さが違っても音階構造は統一されたのです。その際、平行調の音階同志の音階音は基本的には共通という定義ですが、調性音楽のもっとも基本的な終止形(カデンツ)の終止感を長調と短調でそろえるために、短調のV度の和音(属和音、ドミナント)が長調のV度の和音と同じ性格になるように第7音を半音上げたのです。
譜例をいくつか作ったので、弾いて比較してみてください。1段目には、最初にハ長調のI→V→Iの和音の進行、2番目にイ短調のI→V→I和音の進行が書いてあります。二つを比べると、長調と短調の性格の違いは判りますが、終止感は同じです。3番目に書いたのは、「自然的短音階」にした場合のイ短調のI→V→I和音の進行です。別に聞いておかしいとは感じないはずですが、少し「古風」な感じがするでしょう。これは、「自然的短音階」というより、「ラ」から始まる「エオリア旋法」といった方がよいでしょう。近代になってからこういう形もまた使われるようになり、クラシックだけでなくジャズやポピュラーでも頻繁に使うので、今のわれわれには違和感はないはずです。
2段目の前半に書いたのは、イ短調におけるI→IV→V→Iという和音の進行です。短調を性格づけているのは短3和音なので、IVの和音「レファラ」では、「ファ」はナチュラルです。しかしVの和音では終止感を高めるために「ソ」が半音高くなっています。この和音進行の中で使われている音を並べると「和声的短音階」、「ラシドレミファソ#ラ」になります。2段目後半に、「旋律的短音階」の考え方を書いておきました。下の五線が和音、上の五線が旋律です。滑らかな旋律線を描くためには、上行では「ミファ#ソ#ラ」とシャープになり、下行では「ラソファミ」とすべてナチュラルになります。
短調の場合の五線冒頭の調号は、平行長調と統一することになっていて、上のように音高が変化しやすい音は調号では表示せず、臨時記号で記します。
No.2
- 回答日時:
イ短調の「主要3和音」を弾いてみれば納得できるはず。
下の順番で和音を弾いてみてください。
Ⅰ:ラードーミ
Ⅳ:ラーレーファ (レーファーラ)
Ⅰ:ラードーミ
Ⅴ:♯ソーシーミ
Ⅰ:ラードーミ
これを聞いてみれば、自然ですよね。音楽は「耳で聞いて」作られ演奏されてきたものです。理屈はその後付けで作られています。(「和声的短音階」というのも「理屈」です)
さらに理屈をいえば、「終止感を持たせるには、半音下から主音に戻る」(イ短調の主音は「ラ」、半音下は「♯ソ」、これを「導音」と呼ぶ)というのがセオリーです。
聞いてよければすべてよし、聞いてよければそれを「セオリー」にするのです。
No.1
- 回答日時:
長調と違って、短調には3種類の音階の変形があります。
イ短調のもとの形は、「自然的短音階」という、ソに#が付かない「ラシドレミファソラ」の形です。冒頭に調号が付かないのはそのためです。「ソ」に#を付けるのは、長調と同じような強い終止感を出すための「導音」を作るためです。ハ長調の音階「ドレミファソラシド」の最後の「シ→ド」は半音ですね。全音よりも半音の方が進行の力が強いので、主音を導き終止させる効果が高く、それゆえ「導音」と呼びます。イ短調の自然的短音階の場合、ソに#を付けないと、「ソ→ラ」が全音の幅になり終止感が弱いので、長調と同じような終止感を出すために、第7音「ソ」を半音上げます。この終止感は、和音の進行の際に必要なので、このように第7音だけを半音上げた「ラシドレミファソ#ラ」の形を「和声的短音階」と呼びます。しかし、今度は旋律の流れで考えたとき、この「和声的短音階」の中の「ファ♮→ソ#」は増2度という不自然な音程になります。そのため、第3の形として「旋律的短音階」というものがあり、上行と下行で音が変わります。上行形は「ラシドレミファ#ソ#ラ」。上行では第7音が主音の「ラ」に向かうので、第7音は半音上げて「ソ#」にした方がよく、「ファ♮→ソ#」という旋律的に不自然な音程を避けるためにファを#にして整えているのです。逆に下行形では、第7音「ソ」は「ラ」へ向かうのではなく「ファ」へ下がっていくので、半音上げて「ラ」に対する「導音」にする必要はなく、「自然的短音階」同様、「ソ」も「ファ」もナチュラルのままの「ラソファミレドシラ」という形の方が旋律的には自然になります。音階には古い歴史があります。中世までの古い音楽では、イ短調に当たる旋法には「ソ#」という音はありませんでした。音楽が次第に発展し、単旋律の音楽から和音を伴う音楽へ転換したときに、「ソ#」という音が必要になったのです。
冒頭に書いたように、イ短調の原型は「自然的短音階」です。つまり、平行調同志の構成音はもともと共通であることが前提になっているので、調号は同じになります。現在われわれが普通に聞く音楽はバロック以降ですので、イ短調で書かれた音楽の中では半音上がった「ソ#」の方が普通に感じますが、必ずしもいつも半音上がるわけではありません。五線冒頭の調号で変える音は固定的で常用する音なので、短調の第7音の変化は考慮に入れないのです。
この回答へのお礼
お礼日時:2015/06/27 00:45
わぁ
詳しくありがとうございます
うれしいです
それで、ひとつからないところがあったのですが終止感というのは終わる感じと理解していいのですか?
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