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『これが無名の芸術家が――我々の一人が、その生命を犠牲にして僅に世間から購い得た唯一の報酬のである。』

誰かがこの文章の意味を説明していただけますか。「購い得た」の主語は「報酬」ですか。我々の命とか世界には「芸術家」の描いた絵は価値があるということですか。それで、語り手は世界には価値のあるものがあまりないということを言っていますか。

『記者は晴々した顔をして、ほとんど嬉しそうに微笑した。これが無名の芸術家が――我々の一人が、その生命を犠牲にして僅に世間から購い得た唯一の報酬だったのである。私は全身に異様な戦慄を感じて、三度この憂鬱な油画を覗いて見た。そこにはうす暗い空と水との間に、濡れた黄土の色をした蘆が、白楊が、無花果が、自然それ自身を見るような凄じい勢いで生きている。………』

https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/113_ …

A 回答 (3件)

購う=買う・購入する・対価を払って手に入れる。

ここでは芸術家が気が違うほどの苦労という対価を払って、その報酬として見るものの微笑を手にしたこと。
主語=「芸術家」
報酬=「記者は晴々した顔をして、ほとんど嬉しそうに微笑した」こと。ただしこの微笑は作品への感動ではなく芸術や芸術家に対する無理解・無知に基づく無邪気な嘲笑。

本文のテーマは、理解するもののない世界で苦心惨憺する芸術家の悲哀です。
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「購い得た」は「買うことが出来た」の意味です。



「購い得た」の主語は「無名の芸術家が――我々の一人が」です。買うの目的語が「報酬」という事になります。しかし、画家が何かを買うことが報酬になるわけではありません。画家が欲しかったのはその絵に対する評価であり、(出来るなら高価な金額で買われることです。しかし、後者はこの画家が死亡しているのであり得ません)できるだけ高い評価が与えられるなら、それは素晴らしい報酬になるでしょう。筆者芥川(語り手)は、あまり好きでない美術記者に向かって二度まで、「傑作です」と繰り返しています。
 「もっとも画が思うように描けないと云うので、気が違ったらしいですがね。その点だけはまあ買えば買ってやれるのです。」という新聞の美術記者の言葉が、「無名の芸術家が――我々の一人が、その生命を犠牲にして僅に世間から購い得た唯一の報酬だったのである。そういう事実を考えるとあまりにも、悲しいではないかという思いがして、筆者芥川は記者に反発する思いも込めて「傑作です」と二度までつぶやいたのです。
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贖(あがな)い得た=あがなうことができた=償えた/手に入れられた



ですから、この主語は「人」になります。「我々の一人」である「無名の芸術家」のことです。

『これが無名の芸術家が――我々の一人が、その生命を犠牲にして僅に世間から購い得た唯一の報酬のである。』

私も好きな作家です。ざっと読んでみました。文頭の「これ」は、”微笑”の言葉に象徴されているこの記者の賞賛ですね。

言い換えて分かりやすくなるようでしたら、

「我々の一人、無名の芸術家が、自分の命を犠牲にして、わずかばかり社会から手に入れられた、たったひとつの報いがこれだった」と言っています。
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