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登記事項要約書についての質問です。

今は登記情報交換システムにより、地方法務局の管轄外の登記の謄本(全部事項証明書)も簡単に取得できます。しかし、管轄外の要約書は、その法務局の管轄区の分しか取得できない決まりがあります。

また、法務局に備え付けの自動発行請求機でも、全部事項証明書は申請できるのに、要約書は申請できません。オンライン申請もできません。

なぜ要約書の取得をする場合は必ず管轄地区の窓口に行かなければいけない、という厳しい制限があるのでしょうか。

要約書をオンライン申請できるようになったり、管轄区以外の法務局でも取得できるようになったりすると、具体的には、誰に(どこに)どのような不都合が生じると考えられるのでしょうか。

詳しいかた、教えてください。

A 回答 (2件)

要約書(の交付)というのは「閲覧の代替だから」ということなのだと思います。



登記情報交換システムができる前は,閲覧はもちろん登記簿謄本の交付も,管轄登記所でなければできませんでした。ただ,登記簿謄本の交付については,当該システムが施行実施される前であっても,(証明書の交付をすればその実施は可能であったことから)郵送申請も認められていました。登記情報交換システムは,その郵送手続きを省略することを認めるだけで,同じことがほぼ実現できます。登記情報の特別な処理をしなくても実施が可能,従前の処理以上の負担を必要としない手続きだとしてそれが認められたのだと思います。

ところが閲覧については,現行の不動産登記規則202条にその片鱗が残っているとおり,「登記官又はその指定する職員の面前でさせる」方法でしか認められていません。閲覧者は,必要に応じて登記簿等の必要事項を筆記謄写することしかできませんでした(登記所内にコピー機が設置されていた時であっても,登記簿のコピーは認められていません)。登記情報の電算化にともない,登記簿の閲覧はできなくなりましたが,だからといってこれを単純に廃止することはできません。閲覧に代わる方法として法務局に設置された端末での確認をさせることも可能ではありましたが,それに伴う端末機器の設置やそのためのスペースの確保といった問題があるためにそれは見送ることになり,その代わりに,謄本交付には劣るけれどまあこれだけの情報があれば足りるだろうという程度に一部の情報を省略した書面を交付することとしたのだと思います。

ただ,閲覧に代わるサービスですから,従前どおりの「管轄登記所において」という制限を廃止することは当然に行うべきものとは言えませんし,一部事項の省略という観点から,その抽出作業も必要です(省略する事項を特定する方法で定めたために,たとえば抵当証券発行特約付き抵当権の債権分割登記等が要約書には記録されるという,なんだか本末転倒的なことが起きています)。その実施は登記事務に過大な負担を要することになることから,管轄登記所に限って認めることにしたのであろうと考えます。

オンライン申請ができるということは,登記情報提供サービスも利用できる環境にあるということですから,今更要約書のオンライン提供を認める実益がありません。登記情報提供サービスを利用する場合に比べると要約書の交付の方が手数料が高いために,これを利用する国民がほぼいないであろうことが容易に推測でき,実施する実益がないのもその理由になるでしょう。

ただ,登記事項証明書ではできないけど,要約書ではできることがあるんですよね。共有物件の共有者の持分通算は,登記事項証明書の現在事項証明ではされませんが,要約書では現在効力のある事項のみを「抽出して記載」することになっているために,要約書であれば,数度にわたって持分を取得した人や,持分を一部失った人の「現在の持分」が記載されることになります。専門家向けのソフトにも似たような機能はあるものの,読み込んだPDFファイルからテキスト抽出した情報を再計算するという処理をすることから,持分計算の結果に誤りがあることがあります。要約書ではデータから直接それができるためにそのような誤りが生じることはないために,それが欲しいと言うだけの理由で要約書の交付をしてもらいに管轄登記所に行くことがあります。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。とてもわかりやすく解説してくださり感謝します。

>ところが閲覧については,現行の不動産登記規則202条にその片鱗が残っているとおり,「登記官又はその指定する職員の面前でさせる」方法でしか認められていません。

そういう規則がちゃんとあるのですね。知りませんでした。

>端末機器の設置やそのためのスペースの確保といった問題がある
>一部事項の省略という観点から,その抽出作業も必要です(省略する事項を特定する方法で定めたために,たとえば抵当証券発行特約付き抵当権の債権分割登記等が要約書には記録されるという,なんだか本末転倒的なことが起きています)。その実施は登記事務に過大な負担を要することになることから,管轄登記所に限って認めることにしたのであろうと考えます。

それは、思い至りませんでした!でも冷静に考えたらそうですよね。
イメージとして、要約書の方が情報量が少なく簡素なので、もっと簡単に交付できても良いように思えていたんですが、抽出作業についての手間を考えた場合、逆ですね。

>登記情報提供サービスを利用する場合に比べると要約書の交付の方が手数料が高いために,これを利用する国民がほぼいないであろうことが容易に推測でき,実施する実益がないのもその理由になるでしょう。

オンライン申請ができる環境にある。という前提だったら確かに、そうですね。

>要約書であれば,数度にわたって持分を取得した人や,持分を一部失った人の「現在の持分」が記載されることになります。
>要約書ではデータから直接それができるためにそのような誤りが生じることはないために,それが欲しいと言うだけの理由で要約書の交付をしてもらいに管轄登記所に行くことがあります。

そういう理由で要約書を取得する方がおられるんですね!知りませんでした。
詳しい回答をしていただき、勉強になりました。ありがとうございました。

お礼日時:2020/06/13 19:20

登記簿の閲覧の代替なのでそれ以上のサービスを提供したくないのでしょう。


登記事項証明書のオンライン申請とたいして料金は変わらないし証明力の無い文書なのだから登記情報提供サービスを利用した方が安価。

登記簿が公開であるという原則を守るための手段でしか無く実質的には無用なサービスなのでしょう。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。そうですね。要約書はブック時代の「閲覧」の代替にすぎないから、という話は私も聞いたことがあります。証明力の無い文書というのも知っています。ただ、そうであればこそ、余計に(ネット時代の今は、旧時代的な窓口申請に限定せずに)オンライン申請や管轄外の申請ができるようになってても、いいんじゃないかなあと思ったりもするのです。しかし、それは手間がかかりすぎるということみたいですね。

>実質的には無用なサービスなのでしょう。

ちなみに乙号事務をしている者ですが、実質的には「全部事項(謄本)までは必要ないが、ちょっと所有者確認をしたい」みたいな動機から(全部事項証明書を取得するよりも安い)要約書を申請される方は結構いらっしゃいます。窓口でもそのように案内することがよくあります。田舎町ということもあり、とくに高齢者はインターネット環境に無い場合も多く、登記情報提供サービスを案内しても、ネットは利用できない、わかりにくい、証明書ではなくていいので、紙で出してもらいたい、と言われることも多いです。ほかにも、一度に何筆もの土地の所有者確認をしたい方も、要約書を便利にされているようです。

要約書は閲覧の代替と言う意味では、まあ安易になくしてはいけない大事なサービスだとは思います。
ただ回答者様の指摘される通り、そのサービスには限界があるし、要約書の利用者は少数派になるのでニーズも限られる、ということみたいですね。

回答ありがとうございました。

お礼日時:2020/06/13 18:55

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