A 回答 (4件)
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No.2
- 回答日時:
prop さんの書かれているとおりですが,もうちょっとつけ加えます.
状態A => (断熱自由膨張) => 状態B
でエントロピー変化を計算するためには
状態A => (可逆過程) => 状態B
というAとBと可逆過程で結ぶようなものを探して,
その過程に沿って ΔS = ΔQ/T を加え合わせる
(実際には dS=d'Q/T を積分)しないといけません.
もうひとつ,
> また内部エネルギー変化も0(∵Tが一定)になるのですが
は理想気体の時のみですね.
それから,論理が逆です.
断熱自由膨張ですから d'W=0, d'Q = 0 と熱力学第一法則より
dU=0 で内部エネルギーが変化しません(理想気体でもそうでなくても).
一般には内部エネルギー U は温度 T と体積 V の関数ですが,
理想気体では体積依存性がありません.
つまり U(T) です.
したがって,U 一定 ==> T 一定,というわけです.
理想気体でなければ断熱自由膨張でも温度は変化します.
No.3
- 回答日時:
すでにNo1さんやNo2さんのお答えの通り不可逆性に由来しております。
エントロピー生成の由来をお考えになるのでしたら、連続の方程式から入ることになります。ご存知でしょうが物理量について、∂ρ/∂t+div(ρv)=0
となります。一項目が系内での増減で二項目が系から外界への流れ出し量です。そしてエネルギーだの電荷だのでは保存則がありますから、系内の量の変化は、外界からの流れ込みあるいは外界への流れ出しとつりあいます。
しかしエントロピーは系内での湧き出し(σ)があります。これがエントロピー生成で必ず正の値をとります。形式としては
∂ρ/∂t+div(ρv)=σ
です。エントロピーについての連続の方程式の説明は私の手にあまりますが、概略以下の通りです。
Tds=de+pdv-ΣμdN (Σは化学成分についての和)
この両辺に密度をかけ、流体力学的微分
d/dt=∂/∂t+Σvi∂/∂xi (Σは空間座標x, y, zについての和)と(湧き出しなしの)連続の方程式を組み合わせた
ρdφ/dt=ρ∂φ/∂t+Σρvi(∂φ/∂xi)=∂(ρφ)/∂t+Σ∂(ρviφ)/∂xi
を適用します。すると
T∂(ρs)/∂t+Tdiv(ρsv)=∂(ρe)/∂t+div(ρev)+p div(v)-Σμ[∂ρ/∂t+div(ρv)]
のような形を得ます。右辺三項目はρでなくp(圧力)です。さらに内部エネルギー釣合い、質量の釣合いなどをいれて、纏めることができます。(長い式になります。)エントロピーの流れは外界からの熱や物質の流れ込み(流れ出し)などが入ってきます。
エントロピー湧き出し(生成)は、系内での熱の移動、物質の移動、化学反応から生じます。(系の流体に粘性があるとそれの寄与もあります。)上記の計算で得られるとおりの形を使わず、二つの部分(1と2)からなり、全体で一つの系を構成する孤立系を例にして説明します。
系内の熱の流れ;(1/T1 - 1/T2)dΦ/dt (それぞれの部分の温度の逆数に熱流をかける)
系内の物質の流れ;-Σ(μ1/T1-μ2/T2)dn1/dt (Σは化学成分についての和。それぞれの部分の化学ポテンシャルを温度で割った値の差に物質の流れをかける。一方(1)から出たものが他方(2)の入りになる。)
系内の化学反応;A1v1/T1 + A2v2/T2 (親和力A=-Σνμを温度で割ったものに反応速度vをかける。νは化学反応式の係数、Σは化学成分全体の和。因みに平衡でA=0)
しかし熱力学は便利で、平衡になるまでにどれだけのEntropyが変化したかを計算するには標準Entropyを知ればできます。たとえば化学反応で原系成分の化学ポテンシャルを知っていれば、その時点での親和力は分かりますが、反応速度は分かりません。しかし、最終的に平衡になったときのEntropyと原系のEntropyの差は簡単にわかります。
理想気体ならば、単位モル体積、温度TでのモルエントロピーをS°とすれば、
S=S°+ R ln v (vは容積)
ですし、単位圧力、温度TでのモルエントロピーをS*とすれば、
S=S* - R ln p (pは圧力)
です。
No.4
- 回答日時:
こんにちは。
すでに答えは出ているのですが、もう少し易しめに説明してみますね。
> 得た熱を絶対温度でわったら、エントロピー変化になる(ΔS=ΔQ/T)と書いてあった
その前には、「微小可逆過程で」ということが書かれていなかったでしょうか。
この等式は、ANo.1にあるように、可逆過程でのみ成立ちます。
まず、そのことを説明しましょう。
熱力学では、もともとエントロピーは次のように定義されています。
適当な基準状態Oを設定し、状態AのエントロピーS(A)は、
S(A) = ∫_O^A dQ/T … (1)
と定義されます。ただし、ここで積分の経路は、基準状態Oから、状態Aまで、可逆過程をとるものとします。
このように定義する理由は、熱力学では、任意の可逆サイクルで、
∫dQ/T = 0 … (2)
を示すことができるからです。ここで積分経路は可逆サイクルを一周して元に戻る経路をとり、普通は∫の記号に○印をつけて表現します。
(2)より、S(A) はその経路が可逆でありさえすれば、基準状態Oから状態Aにいたる道筋に依らない量になります。
なぜなら、O→A の二つの可逆な道筋C1とC2を考えたとき、
∫_C1 dQ/T - ∫_C2 dQ/T = ∫_C dQ/T = 0
を示すことができるからです。ここで、経路Cは、O→Aと経路C1に沿って進み、次にA→Oと経路C2を逆向きに進んでOに戻る閉じた経路です。
最後の = 0 は、(2) によります。
これにより、
∫_C1 dQ/T = ∫_C2 dQ/T
を示すことができ、S(A) は、可逆でありさえすれば、どんな経路に沿った積分で定義しても、同じ値になることになります。
これは、S(A)を終点の状態Aのみによって決まる関数(状態量)とみなすことができるということを意味していて重要です。
また、
S(B) - S(A) = ∫_O^B dQ/T - ∫_O^A dQ/T = ∫_A^B dQ/T …(3)
が成立つことも言えます。ただしエントロピーの定義より、AからBにいたる経路が可逆でなければなりません。
変化が微小で可逆なら、
ΔS=ΔQ/T …(4)
というご質問文にある式が成立ちます。
ところで、熱力学の第二法則から、不可逆過程も含む任意のサイクル C' では、
∫_{C'} dQ/T ≦ 0 …(5)
を示すことができます。
今、状態A→状態Bと可逆過程C1(A→B)で動き、状態B→状態Aと不可逆(かもしれない)過程C2(B→A)で戻るサイクルを考え、それをC'とすると、(5)より、
0 ≧ ∫_{C'} dQ/T = ∫_C1(A→B) dQ/T + ∫_{C2(B→A)} dQ/T
= ∫_C1(A→B) dQ/T - ∫_{C2(A→B)} dQ/T
が成立つので、
∫_C1(A→B) dQ/T ≧ ∫_{C2(A→B)} dQ/T
すなわち、(3)より、
S(B)-S(A) ≧ ∫_{C2(A→B)} dQ/T
がいえます。この右辺は、(3)とは異なり不可逆過程をとっても良いわけです。
A→Bを微小な変化とすると、
ΔS ≧ ΔQ/T …(6)
と書くことができ、これがANo.1のご回答の不等式です。
等号は、A→Bを可逆変化でたどった場合に成立ちます。
(4)と等号不等号が違うのは、ΔQが可逆過程と不可逆過程で異なるからです。
他のご回答でも書かれているように、断熱自由膨張は、不可逆過程です。なぜなら、膨張する過程で、気体の中に流れが起こり、通過する状態はもはや平衡状態ではないからです。可逆過程は平衡状態から無限小しか異なっていない状態だけを通って最終状態に到達しなければなりません。
断熱ΔQ=0 で不可逆ですから、(6)より、
ΔS>ΔQ/T = 0
となり、ΔS=0にはならず、エントロピーは増加します。
> エントロピー変化は何に由来するのですか?
エントロピーはボルツマンの原理により、k_Bをボルツマン定数として、
S = k_B ln W
と書くことができます。Wは統計重率と呼ばれるもので、平たく言うと微視的状態の数です。「微視的状態の数」とは平たくいうと、ミクロなことまで考えたときに異なるとみなせる状態の数を数えたものです。
今、同じ温度で、体積が広がっているわけですから、気体の分子は狭いところに閉じ込められているときよりも、とれる微視的状態の数が多くなるわけなので、エントロピーSも大きくなります。
これがエントロピー変化が由来するものです。
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