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「厚生労働省の「厚生」という言葉が、中国の古典『書経』にある「正徳利用厚生惟和」に由来していることは、よく知られている。昭和13(1938)年に旧内務省から独立した際、保健社会省として発足するはずが、漢籍にくわしい人の意見が通ったらしい。」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090521/ …

という、本日のサンケイ新聞の「産経抄」で初めて「厚生」という言葉の由来を知ったのですが、ここで疑問がわきました。
昭和13年に、漢籍に詳しい人が「書経」から引っ張り出した言葉なら、それ以前には、日本語には「厚生」という言葉はなかったのでしょうか?
だったら当然「福利厚生」なんて言葉もなかったのですよね?
「economy」に中国の古典から「経世済民」を引っ張り出して「経済」という漢字を与えたのは福沢諭吉だそうですから同じような話なのですが、「厚生」は昭和13年と、現代に近いので、それまで「厚生」という言葉がないとはにわかには信じられないのです。

A 回答 (3件)

>昭和13年に、漢籍に詳しい人が「書経」から引っ張り出した言葉なら、それ以前には、日本語には「厚生」という言葉はなかったのでしょうか?



ご推察の通り、それなりの「種本」はあったと思われます。
すでに120年余り経過していることと、命名の一年前に当る昭和12年に活字文庫として刊行されたという点であるいはと思えます。

「大槻玄沢は、文化8年(1811)に天文方の「蕃書和解御用掛」を命ぜられ、この翻訳事業に参加する、いわゆる『厚生新編』がこれであり、稿本のまま、後述の葵文庫に伝えられ、昭和12年に刊行された」(「英語事始」日本英学史学会編)
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この回答へのお礼

「厚生新編」ですか、初めて聴く言葉です。
検索してみましたら百科事典なんですね。
http://digital.tosyokan.pref.shizuoka.jp/aoi/3_g …
それがなんで「厚生」なの?って感じもしますが、少なくとも「厚生」が江戸時代から日本にある言葉であることはわかりました。

ありがとうございました。

お礼日時:2009/05/21 23:59

2009年5月21日付けの「産経抄」にある「漢籍にくわしい人」とは、南弘(みなみ・ひろし)のことです。



この人は、東京帝大を卒業後、内閣書記官、内務省、内閣書記官長、貴族院勅撰議員、福岡県知事、文部省次官、台湾総督、逓信大臣、国語審議会会長を経て、1937年(昭和12年)に枢密顧問官になりました。

その年、内務省から保健・衛生部門等を独立させた新省を設立することになり、その省名を決めるに当たり、「産経抄」にあるような経過になりました。このため、南弘は「厚生省の名付け親」とも呼ばれています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E5%BC%98

大事なことは、漢籍から引用したことではなく、どうして「社会保健省」(産経抄では「保健社会省」とありますが、多分「社会保健省」の間違い?)という名前ではダメだったのか、ということです。それは、「昭和12年(1937年)」という当時の時代背景にあります。

簡単に言うと、1910年代にロシア革命があり、その後、ロシア(ソ連)から世界中に社会主義・共産主義革命の風が吹き荒れ、日本政府もその対処に頭を悩ませていました。要するに、「社会保健省」という名前では、当時脅威であった社会主義を想起させる、という反対論が出たわけです。たかが省名とはいえ、当時は切実な問題であり紛糾しました。このため、新省の発足が当初予定から3か月も遅れたそうです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9A%E7%94%9F% …
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この回答へのお礼

南弘という人ですか。
福沢にしても南にしても昔の方はえらかったですねえ。あたらしい概念にぴったりの漢語をあてはめるのですから。
それに引き換え、今の日本語はカタカナばかりで、コンピュータ用語はよほど中国語の方がわかりやすいです。

ありがとうございました。

お礼日時:2009/05/21 18:04

「福利厚生」という考え方自体が、とても新しいものだと思います。


元は社会主義の影響から出てきた考え方であろうかと思います。
それが、既に日本で昭和13年という早い時期に定着した考えになっていたということの方が、私には驚きです。
イギリスは福祉国家の先駆けを作った国ですが、そのきっかけは1942年に、ベヴァリッジによって提出された「社会保険および関連サービスに関する報告」というものだそうです。
ずいぶんと新しい考え方だと思われませんか?
しかし、私は専門家ではないので、これ以上のことは知りません。
もし興味をお持ちでしたら、福祉の歴史などお調べになられてはどうかと思います。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
確かに戦前の貧しかったわが国では社会福祉について欧米諸国より遅れていたとは思いましたが、「厚生」という言葉自体がなかったことに驚きました。
調べてみたら「福祉」という言葉もGHQの指令にあるWelfareを翻訳するため戦後に作られているのですね。
当時の社会福祉的法制をみると1874(明治7)年に制定された「恤救規則」やら、それにかわる1929(昭和4)年の「救護法」等のいわゆる救貧制度で、厚生でも福祉でもないですね。
勉強になりました。

お礼日時:2009/05/21 17:53

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