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適法な召集手続を欠いた株主総会における取締役退職慰労金支給決議が、会社法831条1項1号の取消事由ありとして、後日、訴訟で取消されたとします。
この場合、取消事由があることを知らないまま慰労金の支払いを受けた退職取締役が、召集手続当時、現役の取締役だった場合には、取消事由に過失あり(会社法355条違反?)として、民法704条が適用されるのでしょうか?それとも、取消事由があることを単に知らなかったとして民法703条が適用されるのでしょうか?

A 回答 (2件)

別の質問にて回答のリクエストがありましたので、ご回答します。



(1)過失の有無、(2)過失ある場合の返還義務の範囲、
という2つの争点があるように思います。

まず、(1)については、事例毎の個別具体的な判断が不可欠と考えます。

例えば、総会事務を総務部が担当している株式会社において、
職員の過失行為で通知の作成、発送漏れがあったような場合、
総会決議取消事由になりうる重大行為について、
2重3重のチェック体制を構築してこなかった
代表取締役、総務部長兼務の取締役等は過失は認められやすいでしょうが、
非常勤の平取締役等は、会社が全体として業績に応じた人的体制が組まれ、
さしたる不祥事もなく業務運営がされてきたようなときは、
このような個別的な事務の執行行為についての過失を認めるのは困難である
ように思われます。
なお、過失は善管注意義務(会社330、民644)及び忠実義務(会社355)違反と
読替え可能です。

次に、(2)ですが、条文上「善意」である民法704条について、
伝統的には過失は含まないものと解されてきたように思いますし、
最近出た同条後段の趣旨に関する最判平成21年11月09日(参考URL)でも、
理由付けの中で(厳密には傍論)そのように述べられています。
ただ、改めて調べなおしてみると、現在の代表的テキストの内田貴「民法2」では
過失を含むのが多数説との記述がありますね。
・・・まあ、実務的観点からは無視してもいいんじゃないでしょうか。

【追記】
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/6686375.html
の補足ですが、
消費貸借における利息債権は特約によって生じる約定債権であり、
遅延損害金は債務不履行によって発生する法定債権
(ただし、賠償額の予定が可能)であり、
別の根拠に基づいて発生していると言えるのではないでしょうか。
そこで、利息の定めはしたが、遅延損害金率の定めをしなかった場合
(融資実務的には、まずありえない事ですが)、
先の御質問のとおり、債務不履行したほうが負担が低くなるという
おかしなことがあるため、このような事は法定利率以上の
利息約定を定めた債権者の合理的意思に反するものとし、
これを回避したのが民法419条1項後段なのかと思います。

参考URL:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/2009110911242 …
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この回答へのお礼

早速に、こちらの点のご教示も頂きありがとうございます。
ご回答の内容に関して、民法704の悪意に過失が含まれるという点については、私も内田先生の著書を始めとしていくつかの文献で確認をしておりました。

退職慰労金支給決議が取消された場合に、その処理としては、感覚で言えば、ご指摘のとおり、703条で処理してよいと思いますが、その理由付けがいまいちしっくりこないのです。
(この点、剰余金配当決議が取消された場合の株主の剰余金返還の範囲とは、明らかに異なります)

退職取締役が、表見取締役であったり、非常勤取締役であったりした場合には、ご指摘のとおり、召集手続の瑕疵をその取締役の「過失」と言えるかどうかについては、議論があり得ると思いますが(もちろん、過失ありと評価することも可能かと思いますが)、会社法では、過失と重過失とを分けて規定しており、会社法831条の決議取消事由があったときに、善管注意義務(忠実義務)が果たされていたといってよいのかどうかがなお疑問なのです。

結局、会社の規模や、形態(公開会社なのかどうか)、その取締役の具体的な職務内容などを踏まえて判断することになるんでしょうかね。。。

一応、「お礼」のほうに記入いたしますが、もし何か追ってご示唆をいただけるようでしたら、質問は開放したままにしておりますので、引き続きよろしくお願いできればと思いますm(_ _)m

お礼日時:2011/04/24 11:23

再び現れました。


先の回答に誤りを発見しました。

(2)について述べたことですが、

まず、704条の文言は「善意」ではなく「悪意」の受益者ですね。

次に、引用の最高裁判決ですが、よく見たら、最高裁の判示部分ではなく
原審(しかも破棄、、、)部分の理由付けの一部分でした。
これは大きな間違いで、済みませんです。
同判決では、過失については直接の争点ではありませんし、
他の判例でも、このことを直接触れたものは見つけられませんでした。

役員の退職慰労金の返還に利息を付すとなれば、
かなりの額になってきますし、相談者さんが請求する側であるとすれば
過失にも704条適用というのは、主張してもよいかもしれませんが、
703条適用となる可能性の方が高いとは思います。
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この回答へのお礼

早速に、こちらの点のご教示も頂きありがとうございます。
ご回答の内容に関して、民法704の悪意に過失が含まれるという点については、私も内田先生の著書を始めとしていくつかの文献で確認をしておりました。

退職慰労金支給決議が取消された場合に、その処理としては、感覚で言えば、ご指摘のとおり、703条で処理してよいと思いますが、その理由付けがいまいちしっくりこないのです。
(この点、剰余金配当決議が取消された場合の株主の剰余金返還の範囲とは、明らかに異なります)

退職取締役が、表見取締役であったり、非常勤取締役であったりした場合には、ご指摘のとおり、召集手続の瑕疵をその取締役の「過失」と言えるかどうかについては、議論があり得ると思いますが(もちろん、過失ありと評価することも可能かと思いますが)、会社法では、過失と重過失とを分けて規定しており、会社法831条の決議取消事由があったときに、善管注意義務(忠実義務)が果たされていたといってよいのかどうかがなお疑問なのです。

結局、会社の規模や、形態(公開会社なのかどうか)、その取締役の具体的な職務内容などを踏まえて判断することになるんでしょうかね。。。

一応、「お礼」のほうに記入いたしますが、もし何か追ってご示唆をいただけるようでしたら、質問は開放したままにしておりますので、引き続きよろしくお願いできればと思いますm(_ _)m

お礼日時:2011/04/24 11:23

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