皆さまのお知恵をおかしください。
勤めていた会社が倒産し、弁護士(管財人)一任という形で清算となりました。しばらくして未払いの給与も支払われました。しかし、清算が済んだにも関わらず請けていた仕事に関してできる限り続けてもらいたいとの弁護士からの指示で、会社の土地が売れるまでの間、取引先にご理解いただけたおかげで、新規事業とし一人が個人事業の届を提出しそのまま数名で業務を続けておりました。
機械製造業でしたので、それなりに機材などもありましたがどれも古く、資産価値はなくかえって処分に多額の費用がかかり、その費用までは弁護士側では用意ができないということになりました。そのため在庫等(倒産前の仕入れ分)も含め土地建物以外を弁護士が放棄し、私たちで会社建物の明け渡しに関わる費用を負担しました。
仕事は移転して継続することとなり在庫は今後使用できるので換金せず、明け渡しに関わる費用は自分で用意しています。
そこで疑問が。
実費としてかかったものは請求書、領収書はあります。しかし、弁護士が放棄した在庫については帳簿上(経理上?)どのように処理すればよろしいでしょうか。在庫は購入したものではないため、領収書等はありません。
棚卸にだけ在庫として計上しなくてはいけないのでしょうか?
無知な質問で恥ずかしい限りですが、ご指導よろしくお願いいたします。
No.1
- 回答日時:
仕入れゼロ ってことですが、特別計上しなければならない・・ってことはありません。
利益が大きくなるだけです。通常の転売、物売りなら、まるまる利益に成るだけ、加工品でも、原価ゼロが手間賃だけの原価の物が 通常価格で売れるだけ。
どうでもなら、品名をはっきりさせて、ゼロで計上すれば良い。
もしくは、製造原価報告書を作成するタイプの決算書なら
実費を物に按分して、それを、部品原価とする。つまり、掛かった費用を経費で無く 仕入商品、部品とする。
お察しの通りと申しますか、仕入れとできずに棚卸資産として計上すると、所得が増大し税金が…という問題にぶつかっております。当初は管財人からも在庫使用の許可はありませんでしたので、新規に仕入れもおこなっており、こちらの分の在庫はわずかなのですが…。
早速のご回答ありがとうござました。感謝いたします。
No.3
- 回答日時:
>棚卸にだけ在庫として計上しなくてはいけないのでしょうか?
棚卸ではなく、仕入に計上します。
会社倒産に伴って必要になる「会社建物の明け渡しに関わる費用」は、本来は管財人が負担すべきものです。それを質問者たちが負担するのですから、譲り受ける在庫(弁護士が放棄した在庫)の対価とみなすのが常識的な処理のように思えます。従って仕入を計上するのが正しい経理処理になります。もし将来、税務調査があった場合には、そのように主張すれば税務署は否認しないと思います。
仕訳の例:
〔借方〕商品仕入高 ☆☆☆☆☆/〔貸方〕元入金 ☆☆☆☆☆
《注》
・☆☆☆☆☆は、「会社建物の明け渡しに関わる費用」の金額です。
・借方は、在庫が商品ならば「商品仕入高」、在庫が機械の部品ならば「部品仕入高」になります。
・個人事業を始めるのですから、貸方は「事業主借」または「元入金」になります。このように処理すれば、質問者たちが負担した「会社建物の明け渡しに関わる費用」を、今後の事業(個人事業)を通じて回収することができます。
このように仕訳をして帳簿を作成して下さい。このようにすれば所得が増大するようなことはありません。
なお、個人事業の開業届を提出したのであれば、青色申告をするようにお勧めします。税金上の特典があるので節税になりますよ。↓
国税庁>……>青色申告制度
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2070.htm
がんばって下さい。
ありがとうございます。詳細までご指導くださり、不安が解消されました。
在庫に関しては処分して換金するより、材料として使用したほうがはるかに価値のあるもので、管財人も好意から配慮してくださったのだと思いますが、金額として証明するものが倒産後に確認された「数字」でしかなく途方に暮れておりました。
がんばってみようと思います。
また機会がありましたらぜひお知恵をお貸しください。ありがとうございました。
No.4
- 回答日時:
仕入 A倒産法人の在庫の最終価格(簿価) / 事業主借 B明渡に関して支出した合計額
開業費 B-A
上記の仕訳が必要ではないかと考えます。
理由
清算法人では在庫処分として、清算時の在庫を新たに開業する個人に売却したのです。
利益を付けて売却をせずに最終簿価で売却したというわけです。
そのため、清算法人の最終在庫額と、それを購入した個人の仕入れ額とは同じにならないと整合性がとれません。
清算人に聞けば清算時の最終在庫額はわかります。
また、在庫額の内訳も知っておくと、個人事業の決算時の棚卸に役立ちます。
No.5
- 回答日時:
念のための確認ですが、「会社の土地が売れるまで」「土地建物以外を弁護士が放棄し」ということは、土地建物は清算法人が所有している(していた)のではないでしょうか。
もしもそうであれば、ご質問者さんたちは法律上、そこを無償で間借りして(転貸借して)業務を続けていたとの理解になります。そして、その明け渡しに関わる費用を間借りしている者(転借人)が負担するのは、ありうる話であり、むしろ当たり前といえます。当たり前の負担をしたのでしたら、これを在庫等の対価にするのは適切とはいえません。在庫等の入手とは切り離して考える必要があります。
転貸借関係にあったとご質問文から読み取れることから、先の回答はこれを前提にしています。すなわち、明け渡しに関わる費用負担とは切り離し、無償で在庫等を譲り受けた時の時価で在庫等を計上する必要があります。「倒産前の仕入れ分」でしたら、時価の下落もほとんどないでしょうから、仕入時の価格で計上する必要がある、といえます。
引き続きご回答いただきありがとうございます。
読み取っていただいた通り、間借りという状態でした。元々は清算を円滑に進めるにあたり、請けていた仕事を完了させる必要が出てしまい、さらに退去費の見積もりが出て、その費用が捻出できないとのことから、協力を要請されました。
わかりやすくご説明いただき、感謝しています。
税務署にも質問に行ったのですが、担当される方によって回答が曖昧で混乱してしまい、こちらで皆様のお知恵をお借りしたいと思ったしだいです。
ありがとうございました。
No.6
- 回答日時:
ご参考に、税務署に問い合わせてもいいと思います。
電話相談もいいと思いますし、ご質問文からは事実関係がやや複雑と思われますので、出向いて話を聞くとさらにいいと思います。No.7
- 回答日時:
なるほど、
>税務署にも質問に行ったのですが、担当される方によって回答が曖昧で
との事情がおありだったのですね。それは大変だったでしょう。
推察するに、回答があいまいになるのは、税務判断の前提として法律関係の判断が必要になるところ、税務署の職員はそれを判断するのに躊躇を覚えるからだと思います。法律関係の判断を誤ると税務判断も誤ってしまうのですが、税務署の職員は法律関係の判断に長けているものでもありませんし、判断する権限も有していません。そのため、あいまいな回答にならざるを得なかったのだと思います。
転貸借関係にあり退去時の原状回復費用は転借人負担が通常だと整理すれば、税務判断は税務署の職員が判断に迷うような難しいものではないと思います。
いろいろとわかりやすくご説明いただき、感謝しております。
実は、前回ご回答いただいた内容を参考に再度税務相談に出向きました。
退去費用に関しての当初の見積もりと当時の在庫金額に差がない場合には、対価として判断しても問題ないこともあるようです。ですが、それらが一致することは多くはない上に、実際の退去費用は負担する側の努力によって変わる場合もあるため、在庫は当時の仕入れ価格による計上、残れば期末棚卸高とする、退去費用は通常の処理で計上する。ということで問題ないと思われるとのことでした。
やっと税務相談で答えらしい答えをいただけたのも、puihvarfk様をはじめ皆様にご回答、ご指導いただけたおかげです。貴重なお時間を割いていただきありがとうございました。
No.8
- 回答日時:
No.3です。
複雑な経緯があるようですね。その後の情報も加味して、もう一度、考えてみます。
>新規事業とし一人が個人事業の届を提出しそのまま数名で業務を続けておりました。
>弁護士が放棄した在庫については帳簿上(経理上?)どのように処理すればよろしいでしょうか。
>所得が増大し税金が…という問題にぶつかって・・
>新規に仕入れもおこなっており、こちらの分の在庫はわずかなのですが…。
材料在庫の帳簿処理に関するご質問ですから、仕訳計上の方法をはっきりさせなければなりません(※仕訳を総勘定元帳に転記すれば帳簿は出来あがる)。
◆仕訳方法1:
税務署の「在庫は当時の仕入れ価格による計上」という見解は、所得税法施行令に基づくものです。
無償で取得した棚卸資産の取得価額は、「その取得の時における当該資産の取得のために通常要する価額」とされています。
【根拠法令等】所得税法施行令第百三条
ですから、材料在庫を計上するときの仕訳は、
〔借方〕材料仕入高 ☆☆☆☆/〔貸方〕事業主借 ☆☆☆☆
※☆☆☆☆円が、「その取得の時における当該資産(材料)の取得(仕入)のために通常要する価額」
ここで、〔貸方〕を事業主借で処理することにより、「所得が増大し税金が…という問題」を回避することができます。
※なお、この仕訳には税法上の微妙な問題を含んでおりますが、それを承知の上で質問者の利益を考慮して仕訳を書きました。”微妙な問題”が何であるかは、公開の場では言えません。
◆仕訳方法2:
無償で取得する棚卸資産(材料)に係る利益を仕訳で表示する方法もあります。
〔借方〕材料仕入高 ☆☆☆☆/〔貸方〕雑収入 ☆☆☆☆
※〔貸方〕は、「雑収入」または「受贈益」になります。
このようにすると、「所得が増大し税金が…」という問題が発生します。
しかし、税務署がいうように「退去費用は通常の処理で計上」すれば、「増大する所得」は退去費用と相殺されますから、「所得が増大し税金が…という問題」は小さくなることになります。
〔借方〕退去費 ◎◎◎◎/〔貸方〕事業主借 ◎◎◎◎
※雑収入が退去費より大きい場合は、その差額は「所得の増大」であり、小さい場合は、その差額は「所得の減少」につながります。
No.9
- 回答日時:
>在庫は当時の仕入れ価格による計上、残れば期末棚卸高とする、退去費用は通常の処理で計上する。
ということで問題ないと思われるとのことでした。私もそれで問題ないと思います。ご質問者さんの解決につながって嬉しく感じます。
なお、ご質問者さんなら大丈夫と思うのですが、仕訳は例えば「仕入/雑収入」などと相手科目を収益で受ける必要がありますので、ご留意ください。これを例えば事業主借など収益以外の科目で受けてしまうと、収入金額の計算において所得税法違反となり(所得税法40条1項1号)、その結果過少申告となるおそれがあります。過少申告のリスクをなくすには、仕訳段階から収益で受けておくのがよいと思います。
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