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樹脂製部品において吸水率なる指標があり、水分を吸うと体積膨張(線膨張)が起きるという意味かと思いますが、これを環境湿度で考えた場合、湿度が上がると膨張すると考えてよいのでしょうか。
また、湿度が再び下がると元の体積にもどると考えてよいのでしょうか。(特にこちらを知りたいです)
詳しい方ご教示ください。

A 回答 (2件)

吸湿性のある樹脂は、湿度が高い所に置かれると吸湿し膨張し、


逆に湿度が低い所に置かれると水分を出し収縮します。

これを、吸湿性の高いポリアミドPA(ナイロン)6と66に付いて
見てみましょう。
温度10~70℃の範囲で、かつ相対湿度が0~100%の範囲で変化するなら、
PA6の吸湿率は0~7.7重量%の範囲で、PA66の吸湿率は0~6.9重量%の
範囲でほぼ直線的(僅かに下に凸)に変化します。PA6,66の比重は1.13です
から、水の比重1.0とほぼ同じと考えれば、この重量変化の立方根が寸法
変化となります。更に近似的には、吸湿率の1/3、つまり、PA6の寸法は
0~2.6%の範囲で、PA66の寸法は0~2.3%の範囲で変化します。
PAがガラス繊維強化樹脂の場合は、ガラス繊維が伸縮に抵抗するので、寸法
変化は未強化樹脂の1/3~1/2程度になります。
普通の使用条件の湿度範囲を40~80%とすると、寸法変化はPA6で0.8~1.8%、
PA66で0.7~1.7%の範囲です。

さて次の問題は、吸湿率が平衡になるにはどの位の時間が掛かるかです。
空中放置の場合は大変に長い時間が掛かり、23℃相対湿度50%の条件下で
100~200日のオーダーです。
言い換えれば、吸湿して一度安定寸法に達したPA樹脂成形品は、その環境
温度と湿度変化に対して極めて反応が遅く、安定寸法の回りで上述の寸法変化
範囲の数分の一の範囲で伸縮の変動を繰り返します。

PA樹脂は吸湿性が高く、吸湿すると靭性が高くなります。成形直後の
吸水率がほぼゼロの物に温水中で吸水させ、所定の吸水率にした物を
耐衝撃性の要求される部品に使います。さらに耐衝撃性を向上させる成分を
加えていますが、ナイロンキャスターは吸水処理による寸法安定化と靭性
向上の1例です。

PA以外の樹脂は吸湿性が低いので、吸湿による寸法変動はPA程問題には
されません。しかし、吸湿による寸法変化の原理はPAと全く同じです。
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この回答へのお礼

知りたかったことを原理を含めて丁寧にご説明いただきありがとうございます。

お礼日時:2016/03/03 15:55

吸水率と体積膨張が比例関係にあるのは同じ物品だけのことです。


もともと多孔質なものは吸湿しても膨張は少ないです。
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この回答へのお礼

大変勉強になりました。

お礼日時:2016/03/03 15:56

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