
「読み損ねていた雑誌やムック本。湯気で傷んでも惜しくないし、特にファッション誌は表紙買いして全部読んでいないものがたまるので、長風呂は絶好の機会」(senkanburiakiさん)や「小説を持ち込みます。お風呂の蓋の上にタオルを敷いて、そこで本を読みます。その時は半身浴ですね。汗ダラダラになりますけど……」(ノムリンさん)など、本を持ち込むという声が多かった。
ところで長風呂に本となって欠かせないものはドリンクではないだろうか。ペットボトルのお水を入浴のお供にしている人もいることだろう。だがそこで気になるのが、「夜遅くに帰宅、御飯とお風呂、どちらを先にするといい?」という記事で紹介されていた「通常食後30分程度は消化不良をおこさないため入浴は避けるべき」ということである。固形物ではないとはいえ、水をがぶがぶ飲みながら入浴すると、胃に何か影響が出る可能性があるのでは……? 気になったので内科医に話を聞いてみることにした。
■入浴中と入浴前後の水分補給が望ましい
今回お話をお聞きしたのは、医療法人長岡内科医院院長の鈴木飛鳥先生だ。入浴中に水分補給をすることの胃への影響を聞いてみた。
「胃腸の機能が低下した人は、特に入浴で血液が全身に回り、胃腸の血液が減少します。腸内運動が減弱し『食べ物』の消化不良をおこすことがありますので、食後すぐの入浴は避けたほうがよいとされています。しかし、『水を飲みながら入浴する』のは発汗した分の水分を補給することになりますので、全く問題ありません」(鈴木先生)
消化不良の原因となる可能性があるのはあくまで食べ物であり、水分は別と考えてよいことがわかった。
■風呂では血液がドロドロに
鈴木先生によると、入浴時は自分で感じている以上に発汗しており、水分はむしろ意識的にとる方がよいとのこと。特に長風呂の際は、水分補給が必須と考えていいようだ。それは以下の理由からである。
「長風呂をすると発汗量が多くなり、血液の粘度が高まります。また、水圧による利尿作用で血中の水分が尿となり、さらに血液がドロドロになります。お湯の中での発汗は気づきにくく、40度のお風呂に10分間入ると約500ccの水分が失われるといわれています」(鈴木先生)
本人に自覚がなくとも、体から水分がどんどん失われているのだ。入浴中に水分が失われることを踏まえ、鈴木先生は「入浴後は、発汗のため喉が渇き、水分補給をする人は多いのですが、入浴前にもコップ一杯程度の水分補給をすることがポイントです」と指摘する。さらに摂取する水分についてもアドバイスいただいた。
「長風呂やサウナに入るのであれば、汗をかいた分、その都度水分補給が必要です。水分とともに電解質も失うため、スポーツ飲料などが素早い水分補給に適しています。くれぐれも一気飲みは避け、少しずつゆっくり飲んで下さい」(鈴木先生)
ちなみに鈴木先生によると、手軽にスポーツドリンクのように効率的な水分補給を行うには「1リットルの水に小さじ半分の食塩(約2g)とお好みで砂糖大さじ1~3杯を溶かしたもので代用できます」とのことだった。
人によってはトイレに行きたくなるので、入浴前や入浴中に水分を控えたいと考えてしまうこともあるかもしれない。だが高齢者や持病がある人などの場合には、特に身体に負担がかかるので、入浴前には必ず水分補給しておくことをおすすめしたい。
●専門家プロフィール:鈴木 飛鳥
内科医。医療法人長岡内科医院院長。生活習慣病、肺炎などの感染症の治療や消化器疾患の治療を得意分野とし、安心・安全で質の高い医療を提供し、地域医療に貢献することに力を注いでいる。