1度質問をしたのですが回答をいただけなかったのでもう1度あらためて質問させてください。
2000年センター試験追試なのですが、納得が行かない箇所があります。
第1問問6
5が正解となっていますが、「芸術を純粋で特権的な存在と思わせている」とか「芸術をそうした専門化の用語や言葉から開放し、だれにでもわかる一般的な言葉で鑑賞の仕組みを説明するため」とかいうのは、どこから読み取れるのでしょうか。
http://hiw.oo.kawai-juku.ac.jp/nyushi/center/00/ …
No.8ベストアンサー
- 回答日時:
これを私からの最終回答といたします。
fuhyonさんの見解と立場は良くわかりました。
まず、出題文に対する私の見解を表明しておきます。私はこの方の文章は非常に読みにくい文章だと思っています。論理の展開に甘さがあったり、概念の定義に曖昧さや重複があるため、叙述の流れに付いて行くのにしばしば抵抗を覚えるからです。芸術の特性を述べる為に、科学や服装と比較するくだりが始めにありますが、正直に言えば全く付いて行けません。「もし科学がその目標に到達して、すべてをきれいに説明できるような日が来れば」という仮定は、「完璧な曲を作ったのだとすれば」という仮定同様、「完璧」を測定する方法がないのですから意味を成しません。また、「服装の流行は循環しうるが、芸術の場合は過去と全く同じスタイルが復活することはないように思われる」という文にも抵抗を覚えます。服装の流行も「全く同じスタイル」を復活することはないからです(服装関係の方が読んだら大笑いするでしょう)。芸術も「全く同じスタイル」は勿論無いにしろ、古典を模倣したり、原点に帰る(例えば、ルネッサンスのような復古主義のように)という形で「循環」はあると思います。このように、頷けない論理展開が随所にあり、私にはこの方の文章を読み返すのは結構苦痛なのです。
問6について、「論理的」に正答を選択し切れるのか改めて検証します。まず、fuhyonさんが指摘されているように、本文中に直接の叙述があるかという観点から見れば、すべて不正解になります。その点については同意します。ですから、一般の問では、「本文に叙述が無い」ということで、×に出来るのですが、この問では「叙述されていない」ということだけではなく、本文と「矛盾しているかいないか」という観点から選択し直さなければなりません。論理学になりますが、「叙述されていない」ということと「矛盾する」ということは同義ではありません。Aと言う集合に入れる証拠がないというのが「Aとは叙述されていない」というレベルで、Aという集合の外にあることが証明されるというのが「Aとは矛盾する」というレベルです。Aとは、この場合、本文の意図です。完全な「証明」ができれば言うことはありませんが、この場合、問題の性質上、「蓋然性」の高低を比較するというレベルに留まらざるを得ないでしょう。以下、選択肢を再度この観点から見ます。
答えやすい順で見てゆきます。
(2)「機械であるロボットが、芸術を理解することは一見不可能に思われている。そうした社会的な通念をくつがえすという刺激的な方法によって、」とありますが、本文の最後のほうに、「芸術を解するロボットの備えるべき条件は、感性というよりは、この種の理解である。しかし、それを実現するのは難しい。」とあります。「社会的な通念をくつがえすという刺激的な方法」が成功しているとは思えません。よって本文の内容とは「矛盾する」ものと見ます。
(3)「人を機械になぞらえて論じることによって、芸術の理解や表現の仕組みを客観的なメカニズムとして説明するとともに、」とありますが、本文では人間の芸術理解の内容を解き明かしてゆき、最後にそれをロボットに求めることができるかという論理の展開なので、「機械を人間になぞらえることができるか」という論法で、この選択肢の叙述とは方法が反対です。また、「芸術の理解や表現の仕組み」を「メカニズム」として説明しているのではなく、本文が主題としているのはむしろ「理解の内容」です。本文と「矛盾する」ものと見ます。
(4)「美や芸術という言葉は、科学によって説明しがたいように思われるが、その理由は、機械には到底理解できない複雑な条件と能力が人間には備わっているからであり、それがいかにすぐれた能力であるかを示すために、対比的に『芸術を解するロボット』が必要とする条件について論じている。」とありますが、この選択肢の主旨は、「機械には到底理解できない複雑な条件と能力が人間には備わっているからであり、それがいかに優れた能力であるかを示す」であると思われます。「機械に到底理解できない」人間の優位性を示すのであれば、「感情」や「感性」と言ったことが第一にあげられると思います(これは私の主観ですが)。ところが、芸術の理解という文脈の中で、この「感情」や「感性」といった条件はむしろ「理解」の本質的な主題としては棄て去られています。このことは、「芸術の理解」という内容を詰めていくことに主眼があり、人間とロボットの優劣を説明することに主眼があるのではないことを想像させます。人間対ロボットの比較で人間を浮かび上がらせることに主題があるのではなく、「芸術の理解」ということの内容を明らかにしていくことに主題があるものと捉え、この選択肢は本文と「矛盾する」ものと見ます。
(1)「芸術作品や美の問題を、作品自体の普遍的な性質として説明するのではなく、また、鑑賞者の感情や内面といった言葉で説明するのでもなく、作家の創作過程の問題としてとらえ、」とありますが、本文では「制作や鑑賞」と言葉をあいまいにしているものの、実際に説かれていることは芸術作品を理解する時の「理解の内容」についてです。「作家の創作過程」については踏み込んでいませんし、「理解の内容」を解き明かしていく文脈の延長で「芸術を解するロボット」という言葉にも辿り着いています。その上で、「この種の理解」をロボットに実現させるのは難しいと言っています。論旨として一応のゴールに辿り着いており、「作家の創作過程」について改めて論じられる必然性が見出せません。「芸術を解する」という筆者の主題の展開の元で、捨象されている項目と見、本文の主題展開のあり方と「矛盾する」ものと見ます。
(5)これほど本文に無い文はなく、すべて本文に無い叙述です。それだけに、と言うことも言えますが、本文との「矛盾性」は見出せません。「芸術作品の美や価値は、しばしば限られた専門家の中で論じられ、そのことが芸術を純粋で特権的な存在と思わせている」という叙述は、おそらく原作のほかの部分で実際に書かれていることなのでしょう。フェアではありません。ですが、この選択肢を「本文に書かれていない」と言うことは出来ますが「本文と矛盾する」と言うことは難しいように思います。
「芸術を解するロボットの備えるべき条件」について自分なりに想像してみると言うのは、言わば「補助線」です。「芸術を解するロボットの備えるべき条件」という言葉のうち、「芸術」「解する」「芸術を解する」ということについては本文中に叙述があるわけですが、「ロボット」については最後に到着点として出て来るだけですから、この問に関する限り、自分で想像する作業を加えないとアプローチの仕様がありません。その一例は前回書いたとおりです。もう一つの消去法による証明作業は、今書いたものがその一例になります。「証明」としては、反論される余地のあるものだとは思いますが、それは私の能力の限界か、問題の正当性の限界かのいずれかでしょう。新たな論点としては、「書いていない」ということと「矛盾する」と言うことは別のことであるということです。
また、これは補足になりますが、設問の文章自体がヒントになることもあります。問6の設問文にはこう書かれています。「著者は、芸術や美の理解という問題を、『芸術を解するロボット』を作るにはどうすればよいか、という問いを立てることによって考えている。」人対ロボットの問題よりも、芸術や美の理解が主題であり、ロボットは、それを解き明かしていくためのツールとして用いられていることが暗示されています。「芸術や美の理解を解くために、ロボットを小道具に使うのはなぜか?」という観点で考えて見なければなりません。
小論文的に考えれば答えがいくつもあるというのはおっしゃるとおりでしょう(私とfuhyonさんとで感じ方も考え方も違うように)。ですが、選択肢に頼らず本当に自分の頭で考えて見られたのでしょうか?オリジナルな自分の言葉で、問に対する回答をほんとうに考え「書いて」見られたのでしょうか?この点は、fuhyonさんの書かれているものを見てもはなはだ疑問です。
また、選択肢が本文と「矛盾する」ことを証明していくと、一通り解釈をしてみましたが、完全な「証明」をしかねる点があります。そういうことから、この設問は論理的に穴の開いた問だと言えると思います。ですから、「納得できない」というのがfuhyonさんの立派な回答だと思いますが、いかがですか?結局、問題が悪いか、自分が不足なのかという判断は最終的には自分で下すしかないと思うのですが(つまり、納得するのは他でもない自分だと言う意味で)?問題が悪いかもしれないけれど、自分が間違っているかもしれないから…と言っていたら、埒が明きません。結局他人に聞いて見ても、自分で納得しなければその意見だって受け入れられないわけですから、fuhyonさんは他人に問題が間違っているか、自分が間違っているかいずれかの「証明作業」までやってもらおうとしているわけです。「納得する」「しない」は自分の仕事、「納得しない」は立派な自分の結論です。
何度もお付き合いいただきありがとうございました。大変感謝しています。
予備校の先生が「センター国語はきちんと正確に読めばどんな問題も正解にたどり着く」というようなことを言っていました。
悪問だといえばそれまでなのですが、それでもなおきちんと選択肢が選べるような問題ならきちんと理解しておきたいという思いはあって、解説を見ても分からない問題はここで質問させてもらっていました。
いただいた解答は何度か読んだのですが、それでも納得はいきませんでした。私の国語力が弱いからだと思います。自分では納得できないと思っても、ほかの人が納得できるのであれば、それはやはり私の読解力が足りなかったのでしょう。そのためにお世話をかけてしまって申し訳ありませんでした。
選択肢を先に見てしまうと自分のオリジナルの解答をつくるというのは難しかったです。最初に解いたときはこの問題が小論文的なものをたずねているとは思いませでした。
No.9
- 回答日時:
一点だけ書き落としていたことに気が付いたので、その点について補足します。
これは最初の回答の際に、チラッと思っていたことですが、説明しにくいものであったことと、文や字句が本文にあるかどうかという問題に注意を奪われすぎてずっと忘れておりました。文章には、実際の文や字句が書かれており、それが書かれているかいないかと言うことは目に付きやすいことですが、もう一つ、目には見えにくいが書かれているものがあります。これは普通、無意識に感じ取っているものですが、その文章の持つ論法やプロフィール(性格や特徴)というものです。本文の論法やプロフィールについて振り返って見ましょう。もう、何度も読んでほぼ頭に入っている文章なので、逐一本文には当たらず、recollectして、その特徴を拾って見ることにします。木を見て森を見ずという言葉があるように、そういう方法のほうが、全体の印象を再現できるように思うからでもあります。
(1)極力やさしい一般的な言葉で説明しようとしているのが感じられる。たとえ話もたいへん多いことからもそれが伺われる。本文のほとんどは、例を引いてのたとえと、それに基づく一般化である。
(2)筆者は、科学や服装、野球といったことについてはそれほど詳しくない。また、実体験的な事柄よりも、聞いた話といったものが多い。だが、敢えてあまり詳しくない事柄についても、説明の例のために引用されているのだと思われる。
(3)ジャズについては、他の例と比べて極端に詳しく、生き生きとした描写が為されているので、おそらく経験があるか、趣味でやっておられるのだろう。
(4)以上のことから、実業のように広く世間に出て立ち回り、付き合いも広いといった方ではなく、どちらかというと、こもりがちな職業。比較的狭い社会で付き合いを深めていく仕事。学者タイプの方ではないかと思われる。また、例を頻繁に引かれて説明するところから、学生と親しい大学の先生のような方を想像させます。
(5)論法の特徴としては、実例をひいてはその特徴を述べ、そこから一つの結論を帰納する(帰結させる)という非常にシンプルな方法に忠実です。その繰り返しと対比によって、話は進んでいます。
(6)全体を俯瞰して見て、ロボットと人間の関係や優劣、社会問題ということに関心があるのではなく、あくまでテーマにされているのは「芸術を理解する」といったことを優しい言葉で明らかにすることにある印象を受けます。
以上のようなことを振り返ったうえで、問6の選択肢を見て見るとどうでしょうか?(5)はなるほど直接にはこういう記述は見当たりませんが、本文の特徴をかなり良く表していると言えるのではないでしょうか。
普段は無意識に誰もがやっていることですが、文章を読みながら、作者がどんなタイプの人なのか想像したり感じ取りながら読むことが大切だと思います。また、人様が書いたものを読んで理解すると言うことの中には、文字を追うばかりでなく、自分の側の主体的な経験と言うものが常に理解の大きな要素としてあるような気がします。本文でも、ジャズを知っている人なら、そのくだりは手に取るように面白く読めるでしょうし、子供と始終接している人ならグランドキャニオンの話で身につまされて笑うかもしれません。年齢が進むにつれ、文章がよく読めるようになるのは、日本語の経験とともに、実生活の経験が増していくからです。そのことで自分側の感応力が培われていくからだと思います。誰でも、自分の詳しいジャンルについては、手に取るように(丁度筆者がジャズについて語っているように)すごくデリケートな雰囲気の違いについてまで読み取る(もちろん、文章に限らず、感じ取ることが)ことが出来るものです。
経験の質を問い、それを深めることに資すのが「書かれているもの」の持つ力だと思います。そして、主体的な経験の深まりと広がりへ導いてくれるのが国語の役割だとも思います。「書く」ということも、ひとつの主体的な経験です(問題を作ると言うことも、一つの主体的な経験の意味でした)。お互いの経験を深め、対話していくと言うことが国語、ひいては言葉と言うものの中身だと思います。変形の理解と言うことも、そういうことではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
No.7
- 回答日時:
(1)この質問でどのような回答が得られることを期待されたのか。
(2)私の回答を今まで読んできて、総体としてどのような感想をもたれたのか。
(3)あなた御自身は、現時点として出題文や第1問全体、および問6についてどのような評価をされたか。
以上の三点について補足してください。長さはNo.5での私の回答の半分ほどで結構です。補足がなければ私のほうからはこれ以上特に申し上げることはないです。失礼ながら、私の回答もごく表面的な読み方しかされていないようですので・・・。
国語の力はやはり「書く」ことです。「良い書き手」はまず間違いなく「良い読み手」でもありますから。この意味が分かりますか?
おじゃまいたしました。
この回答への補足
問題文の『なぜ「芸術を解するロボット」を用いて考える必要があるのか」ということについては、とりあえず本文中には書かれていません。ですから、自分でまず答えをつくるということは出来ませんでした。それで選択肢を見ると、1は「作家の創作過程の問題としてとらえ」という箇所が間違いで、先行する芸術品の理解とか、ジャズでどこを演奏しているとか、野球で選手がどう動くかなどのことなら当てはまると思いました。2は「機械、技術の新たな可能性ついて論じていく」という部分が、本文の続きを読まないと分からないので不適だと思いました。3は「人間が機械的に理解したり、画一的な表現に陥ったりする危険性をも批判的に明らかにしていく」という部分が、本文からは読み取れません。4は「機会には到底理解できない複雑な条件と能力が人間には備わっている・・・それがいかに優れた能力であるかを示す」という箇所も本文からは読み取れません。5は「芸術を純粋で特権的な存在と思わせている」「誰にでも分かる一般的な言葉で鑑賞の仕組みを説明する」という箇所も本文からは読めません。
ここですべての選択肢が消えてしまい、壁にぶち当たりました。そこで、予備校が出している答えを見ましたが、どの解答も、消去法で行けば5が残るとか5には間違いといえるところがないとかいったことしか書いてなく、納得がいきませんでした。
そのあとここで質問をさせてもらいました。
私はセンター試験については「本文中に根拠を求める」ということを考えてきたので、この問題についても選択肢5の根拠がどこかにあり、それを指摘してくださることを期待しました。
解答をいただきましたが、なかなかすんなり納得がいきませんでした。問題を作成してみると正解以外の選択肢が見えてくるというのは、私は問題を作成したことがないので失礼なのですがよくわかりませんでした。
あとこの問題は本文中には根拠がなく、小論文的な要素を含むということでした。今まではいわば本文中に根拠がある問題しか解いた事がなかったので戸惑いました。答えようがあるのかと思いました。本文を根拠に出来るなら、答えもある程度は絞れますが、小論文的な要素を含むといわれると何を書いても自由だということになります。頂いた解答にあったように、問題文から、芸術の要素を分解し、理解し、それを当てはめるというのが、芸術をきちんと理解するのに必要だことは分かります。そこから5のような「芸術は特権的で、ロボットは芸術を誰にでも分かるように説明する」というのも本文から直接は分かりませんが、小論文としてならこのような考え方もあると思います。しかし、小論文としてなら、これ以外の考え方も当然認めてよいと思います。小論文は答えは1つということはありません。
私はむしろ4に近い考え方です。芸術を十分に味わうには、感性だけではなく教育や訓練も必要です。専門家となるには教育や訓練を受けて理解を身につけないといけないのです。では、専門家の理解に至るまでの道のりは困難かどうかというと、そこでロボットを登場させて、ロボットにこのような理解を実につけさせるのは難しいと本文では述べてます。やはりロボットは人間のように芸術に対する理解を身につけようとすると、かなり難しいのです。もちろん素人の人間でも難しいでしょうが、人間の専門家がいるのに対してロボットの専門家はいませんから、ロボットに比べれば素人が理解を身につけるのはある程度は簡単でしょう。そうすると、4のような「機会には到底理解できない複雑な条件と能力が人間には備わっている」という考えが近いです。
本文に根拠を求めようとすると4も5も間違いなのでしょうが、本文をもとにしてある程度自由に考えたことなら、4が間違いで5が正解というのに納得がいきませんでした。
それから、前回4は本文とずれていると書いたんですが、今回改めて考えてみて私の考えは4に近いものでした。1はやはり本文と外れていると思います。2,3については私は選択肢の考え方は思いつかないのですが、間違いともいえない気がします。1は本文を根拠にして間違いといえるのですが、他の選択肢は本文には書かれていないことで、間違いの判定の基準をつくることが出来ません。
No.6
- 回答日時:
No.5
- 回答日時:
>この文章で、小論文的な考えの下に選択肢を選ぶと、どういう判断で5以外の選択肢を消すのでしょうか。
私の場合どのように消去したかは、あとでお示しいたします。「小論文的な考えの下に」ということについて、一言注釈を付けさせていただきます。私が「小論文的な」と言った趣旨は、この問がそもそも本文に無いことを問うているからです(本来なら、その時点で設問としてはファウルなのかも知れません。あまりない設問だとも思います。ただ例え悪問だとしても、設問者の意図が有っての問いなのですから、そこから学べるものがあるはずだと考えてみたいです)。そこで自分自身としては、作者がなぜ「芸術を解するロボット」という設定を選んだのか想像してみる必要があると思いました。その結論としては、前回述べたように「プログラミング→その前提としの「芸術」の意味の解析→共通言語化→読者への説明手段としての有効性」ということでした。それを自分の手持ちの回答として、選択肢を見ていったわけです。ですから、「小論文的」と言ったのは、「手持ちの回答」をまず得るための作業であって、選択肢を消去する際に特に意識していたわけではありません。また、選択肢それぞれを「小論文」として見ていたわけでも採点したわけでもありませんので、その辺をご了解いただきたいです。
>小論文的な考えをとると、文章からどのように感じようと自由なので、ある意味ではどの選択肢も正解になってしまうと思うのです。
確かにそれは言えるかも知れませんね。ですから、全く自由にということではなく(やはり問に対するレシーブですから)、あくまで本文をよく読みこんだうえで、そのコンテクストの中で自分の想像や考察を展開すると言うことになるのだと思います。本文を改めて読み直しましたが、作者のスタンスとしてはこのようなことが言えると思いました。
(1)芸術の本質的な捉え方として、「先行するものの変形」としていること。
(2)その「変形」は、科学の目的指向のものとも違うし、「服装」の流行的循環とも異なる。「変形」していくことそのものに芸術の特性があるとしているらしいこと。
(3)それを前提とした話の流れの中で、「すぐれた芸術作品は時代を超えて胸を打つ」「芸術は(知性ではなく)純粋な感性に訴える」といった言葉には誤解が潜むと言っている。いずれの言葉についても、芸術の理解には「先行するもの」からの変化の流れの中で、その作品を位置づけると言うことが必要だと言っているように思われる。つまり作品にコンテクストを与えると言うことではないか?
(4)専門家の話しに移行。ジャズの例は、作品の構造を理解すると言うことのようである。グランドキャニオンの例は少し分かりにくいが、同じものを見ても、その人の中で対象をどのようなコンテクストに位置づけているかによって見ている内容は全く違ってしまうと言う例であろう。
(5)つまり、対象(芸術作品)を理解するとは、「先行するものからの変形」としてその作品を歴史と言うコンテクストの中に位置づける認識が必要であるが、具体的にはその前提として、作品の「構造」を理解すると言うことであり、それには教育や訓練が必要だと言うこと。
(6)作品 → 専門的理解としての「構造の解析」→ 変形のコンテクストの中での位置づけ。これが「理解」ということの内容。
やはり、作者の基本的なスタンスは、「構造の解析」→「再構成」→「コンテクストの中に置きなおす」ということではないかと思います。この趣旨に沿って、選択肢も消去していくことになると思います。
この文章自体が哲学的な概念の変換作業になっていると思うんですね。ですから、読みながら、自分の側でも翻訳して概念的な把握をしていくことを求められているように思いました。問四なども、選択肢だけを見ると混乱させられるかもしれませんが、「専門家=分析的・構造的な把握」という本文での用い方を自分でまずまとめてみれば、正解を選ぶのに苦労しないと思いました。
>できればfieldsさんのおっしゃった、構成力・発想、文字・用語、素材、表現力、総合にわけて、それぞれの選択肢を採点みたいな形で示していただけるとうれしいです。
先ほど述べましたように、選択肢そのものを「小論文」として捉えているのではないので無理な作業です。私の言った趣旨とは違いますので、省かしていただきます。
私が問六の選択肢をどのように消去したかは以下のとおりです。
(1)「作品自体の普遍的な性質」や「鑑賞者の感情や内面」ではなく、「作家の創作過程」の問題として捉え、
とありますが、前二者は確かに本文中で主張の中心としては否定されています。「作家の創作過程」についても、本文では深く立ち入っていないと思います。
(2)「機械であるロボットが、芸術を理解することは一見不可能に思われている。そうした社会通念」というのも、もちろん本文には出て来ません。また、「機械、技術の可能性について論じ」ていく方向に本文が展開していくようにも思えません。ただ、文章の今後の展開しだいでは、全くないと証明することも出来ないでしょう。「刺激的な方法」というのは、その辺の可能性を減らすためにあとから付け加えたのでしょう。
(3)「人間が芸術を機械的に理解したり、画一的な表現に陥ったりする危険性」については、本文にないとともに、論旨の方向から言っても、「理解の内容や質」を問う次元で話を進めているので、機械的・画一的かといった次元にまで戻ることはおそらくないでしょう。「メカニズム」や「機械的」といった言葉は引っ掛けだと思いました。
(4)「機械にはとうてい理解できない複雑な条件と能力が人間には備わっているからであり、それがいかに優れた能力であるかを示すために」では、「芸術を解するロボット」の必要条件を大真面目に考える本文のスタンス自体成り立たないですね。
(5)「しばしば限られた専門家の中で論じられ、そのことが芸術を純粋で特権的な存在と思わせているが」「芸術をそうした専門化の用語や言葉から開放し、誰にでもわかる一般的な用語で鑑賞の仕組みを説明するために」。確かに、本文中にはこのような叙述は、一行たりとも書かれていませんね。ですから、前回の回答の中で述べたような自分自身の推論に基づくと、本文作者の狙いとして一番可能性が高いのではないかということで、自分が受験生なら、これに「票を投じる」ということです。
本問が「良問」であるか「悪問」であるかということについては、ここでは言及いたしません。問題のある設問だとは言えるでしょう。私の言いたいことは、第一に、設問者の真意を見抜くこと。第二に、選択肢を見る前に自分の手持ちの解答を作ること。その二点に尽きます。
本文も今回再読しましたが、「芸術と科学」「芸術と服装」の比較の部分は、詰め方が甘くあまり説得力がないように私には感じられました(原作全部を読んだわけではないので部分的な印象にすぎませんけれども)。
例え、僅かでも参考になるところがあれば幸いです。長々と失礼いたしました。
(なお前回問五について言及した部分は問四の間違いでした)
この回答への補足
ありがとうございました。
とても参考になります。
せっかく回答をいただいているに悪いのですが、どうしてもまだ完全に納得がいきません。
確かに「プログラミング→その前提としの「芸術」の意味の解析→共通言語化→読者への説明手段としての有効性」というのが筆者の言いたいことであるといわれると、それはそうかもしれません。
ただ、ほかにもいろいろと筆者のいいたいことの捉え方が出てきたときに比較してどちらがいいとかの判断がつきません。
選択肢でいえば1と4は本文を読んでずれているということは分かるのですが、2,3,5を比べたときにどれがいいのか分からないのです。
5の考え方を認めるのなら、2や3の考え方も認めてもいいのではないかと思うのです。
私の読みが足りないのでしょうか。
本当に何度もすみません。
No.4
- 回答日時:
>小論文はどのように優劣をつけるのでしょうか。
客観的にお答えできる資料を持っていないので、私の考えしかお答えできませんが、それでもよろしいでしょうか?
体操競技の採点のように、項目別の加点形式で点数を付け、合計点を出すのではないでしょうか。
例えば、構成力・発想(30)、文字・用語(10)、素材(体験等の具体例)(20)、表現力(20)、総合(20)といった具合です。
おっしゃるとおり、主観的な作品の優劣を決めるのはそれはそれで難しい部分があるでしょう。ユニークさよりも、構成がしっかりしているかといった技量の部分が採点の対象になりやすいのではないでしょうか。誰の目にも優れているといった作品は問題ないでしょうが、ボーダーラインをどこで引くのかは難しいだろうと思います。最終的に、最後に残った点差のない作品を並べた品評会になってしまうのではないでしょうか。あくまで想像ですが。
>それから問題の作成を試みたということですが、そのことで何か問題を解く上のテクニックのようなものが得られたのであれば教えてください。
作問者は、素材の選択から始まって、その作品の一つの急所の部分を切り取って来ます。そして、その部分を何度も熟読することで全体を俯瞰し、表現の転回点やツボになっている箇所、微妙な味わいの醸されているところ、主張の結集点をピックアップし、さらに全体のバランスを考えて絞り込んでいきます。全問を通して、その素材のエッセンスを汲みつくしたいというのが設問者の願いです。ですから最後に必ず全体を俯瞰する大きな問いを設定し「まとめ」をするわけです。
テクニックといわれても困りますが、やはり問題そのものの文面に振り回されず、以上のような作問者の立場を理解して、その「意図」を見抜くことでしょう。なぜ、その箇所に傍線を引いているのか。なぜ、それを問うのか、ということです。その部分を感じ取れるかどうかが大事なところです。質問の「意図」が分からぬまま、質問文や選択肢の細部に気を取られていると、振り回されるような気がします。
問題を二度作ってみて、一番発見だったのは、選択肢を作るのが思いのほかたいへんな作業だということです。明らかな誤答を並べたのでは「問題」になりませんから、設問の指定箇所について、敢えて違う解釈をひねり出すわけです。これを四つ、五つ作るのはなかなかたいへんな作業です。ネタが尽きてしまうんですね。また、そうやってひねり出した解釈が、逆に「そういう見方もありうる」ということに気付くこともあります。ひねり出した誤答のほうが真実味を帯びてくる場合です。そのために、明らかな誤答とするための表現や用語をあとから加えることにもなるわけです。これが選択肢のからくりです。
出題の文章を深く読むことは言うまでもないことですが、問題に答えるというのはその文章を選んで来て、素材として分析し、線や空欄を設け設問・選択肢を備えた作問者との対話に他なりません。出題文を深く読み、また一方で俯瞰し、分析することは作問者の立つ地平に自分も立つことになります。
私もずっと、作問者の存在ということをあまり意識はしていませんでした。ですが、以前のfuhyonさんのご質問に回答した際に、なぜ設問者と回答者のあいだにギャップが生じるのかが疑問として浮上して来ました。また、他の回答者の方々のご意見を読んで問題の解法に自分とは違う視点のあったことに気が付きました。そのようなことから、問題を作ることで見えてくる部分があるのではないかと思い当たり、あえて試みてみたわけです。その日の新聞小説を材料にしました。自分の関心のみで読んでいる場合より、はるかに読みの深まることは事実でした。特に、小説の構造、微妙な言葉の選択やテクニック、伏線というものが驚くほど鮮明になって来ます。
問題作成者が、もちろん感性の違いということはあるにしても、素材の文章について回答者よりはるかに読み込んでいることは、確かなことです。ですから、回答するということは、結果的に設問者の感性に気が付くことでもあります。人間の書いたものを材料に、人間が問題を一つの作品として作っているわけですから、完璧ということはありえないと思います。要は作品素材の意図と設問者の意図をキャッチできるかどうかに掛かってくると思います。
前にも一度お奨めしたので、今後はもう申し上げないつもりですが、一度作品としての問題を作ってみることをお奨めします。発見のある作業なので、時間の無駄にはならないと私は思いますが…。少なくとも、選択肢に対しては、より自由な立場に立てるようになると私は感じました。一種のロール・プレイイングでもあるわけで、回答者としての立場から作問・設問の立場に立つことで違う角度から「問題」というものを眺められるようになると思います。以上です。
この回答への補足
ありがとうございました。
なかなか問題作成までする余裕がないのですが、すこしがんばってやってみます。
後もう少し質問させてください。
この文章で、小論文的な考えの下に選択肢を選ぶと、どういう判断で5以外の選択肢を消すのでしょうか。
小論文的な考えをとると、文章からどのように感じようと自由なので、ある意味ではどの選択肢も正解になってしまうと思うのです。
できればfieldsさんのおっしゃった、構成力・発想、文字・用語、素材、表現力、総合にわけて、それぞれの選択肢を採点みたいな形で示していただけるとうれしいです。
No.3
- 回答日時:
補足してくださってありがとうございました。
賛否は別にしても私の考えをお伝えしておきます。
まず、問題構造を外から眺めたいというのが私の正直な気持ちです。
問六の「なぜ芸術を理解するロボットを作者は設定する必要があったのか」という問いは、この出題文全体に対するsurvey を要求するとともに、出題文の部分からだけでは回答し得ない問いになっていると思います。もちろん材料はある程度提供されていますが、状況証拠のようなレベルだと思います。
ですから、作問者の意図は、自分の頭でも「その部分」を想像してみてほしいということではないかと思いました。「本文中に書いてあるかどうか」という、選択肢と本文との擦り合わせ作業になってしまっている「問」のあり方に一石を投じているのではないでしょうか。
「センター試験の解法」にはないが本来は国語の基本的な作業であることをやってみるかどうかが、この回答へのステップになっていると思います。
土屋賢二さんという方は確か哲学の先生ですよね。この方は、なぜ「ロボット」というツールを叙述のスタイルとして採用したんでしょうか?
以下は私の考えです。
「ロボットというのはマシーンである。基本的には、人間がプログラミングをしなければ『ゼロ』である。つまり、芸術というきわめて人間的だと思われている要素も、プログラミングしなければロボットには無いことになる。プログラミングのためには、芸術の創造・理解という構造を『解析』しなければならない。
『解析』とは、誰にでも分かる、これ以上噛み砕けないところまで分解し、構造を明らかにすることだ。その作業によって芸術の内容は単位的なところから出発して、その構造が明らかにされるので、誰にでも分かる共通言語的なものにもなる。
この『共通言語』にまでさかのぼるという方法自体は、『一般の読者』に対する叙述の方法としても優れているように思われる。また、『解析』は哲学を職業とするこの作者のおそらく職人技を発揮できるところでもあろう。面白く、かつ有効な説明法を作者は嗅ぎあて、選び取ったと言えるのではないだろうか?」
私自身はこんな風に考えました。そこで選択肢に当たってみると、(1)から(4)まではそれぞれ、誤答とするための要素が意図的に組み込まれているのが分かりました(以前に問題作成を二回ほど試みましたので、このあたりの見分け方は容易になりました)。最後に、(5)を読み、用語として本文にないものを用いてしまっているなと私も感じましたが(多少、ファウル気味だなとも思いました)、述べられている内容が、私自身が推測した内容とも基本的に一致するものでしたので、最終的に回答として選択をしました。間違いのない正答として選ぶというより、以上のような過程を通じて、「票を投じた」という感じです。
私は、この問題の作者は、このような出題文を素材として選択していることにもあらわれていますが、「証拠による現場検証」のような作業になりつつあるセンター国語試験の設問のあり方やそれに教育されてしまっている回答者の感性に異議を呈しているのではないかと思いました(異議というよりもひそかな抵抗という感じです)。誤答を選択してしまう恐れから、少しでも違和感のある要素が入っていたらバツとして切り捨てるという感性のあり方を、受験者はセンター試験から知らず知らずに「教育」されていると思います。それは試験者の意図というより、デジタル方式を採用していることそのものによって出題する側も回答する側もデジタル的感覚を共有せざるを得ないからです。国語を学ぶとか、国語の力を問うということは、本質的にはアナログな部分の占める割合も大きいと思うのですが、制度そのものの前にやや存在感がありません。それらのことに一石を投じる設問形式だったのではないでしょうか(問五なども、工夫した少し変わった設問の仕方だと思います)。作業内容としては、小論文的なものを含んでいるのではないかと思ったしだいです。
この回答への補足
回答ありがとうございました。
小論文的なものを含んでいるということですが、小論文はどのように優劣をつけるのでしょうか。実際に入試で小論文を課す大学はどのように合否を決めるのかと思ったことがあります。題材についてどう考えるかは自由なのでなかなか優劣つけられるものではないと思うのですが。
それから問題の作成を試みたということですが、そのことで何か問題を解く上のテクニックのようなものが得られたのであれば教えてください。
No.2
- 回答日時:
私の考えを述べさせていただきます。
確かにこの問いの答えは、他の回答が明らかな誤答として作ってあることが分かりますので、そのことから到達することが出来ます。
けれども、それは作問のルールをクリアするための、表向きに備えられた「公道」という気がします。
この問い自体には、もう一つ積極的な、出題者のメッセージというか、「意図」があるように私には感じられました。
そこで私もfuhyonさんにお聞きしたいのですが、もし、この問いがマークシートの回答ではなく、記述式か小論文形式の問いだったとしたら、原作者が「芸術を解するロボット」という設定をしたのはなぜかという問いにどう答えられますか? 本文を参考にして「自分の考えを述べよ」と問われているものとします。
この回答への補足
問6に記述で答えよといわれると
芸術を解するには知性だけでも足りないし純粋な感性だけでも足りません。教育や理解の要素が必要です。筆者がロボットを出したのは、ロボットは知性なら備えているでしょうが、この教育や理解の要素は知性とは違うということを強調したかったためです。
と考えました。
選択肢では1の「作家の創作過程」の部分を「教育や理解」といった言葉に置き換えれば正解に近いと思います。
明らかな誤答で消していくと、どうも5も間違いになると思うのですが。
No.1
- 回答日時:
この問題は「悪問」の一種と言ってもいいでしょうね。
詳細は河合塾の出版社「河合出版」から出されている「入試センター試験過去問レビュー国語」の解説に書かれていますので御覧になって下さい。
簡潔に言えば、他の選択肢が本文に即した説明になっていないのに対し、5のみ誤りを含んだ説明になっていないので正解と解説しています。
つまり消去法で解いていかなければ、正解にたどり着けないという問題なのです。はっきり言って、河合塾の解説もかなり苦しげなものになっています。
この回答への補足
ありがとうございます。
一応代ゼミ、河合、駿台の解説は見てみたんですがどれも納得がいきませんでした。
消去法でいけば5も本文で述べられていない事柄なので消えると思うのですが。
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