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亡くなった親から生前に1000万円贈与を受けて、相続の税務調査が入ったとします。
親の通帳から、子供の通帳に振り込まれて記録も残っている場合とします。
また、他の家族もその事実を知っていると仮定します。
日本民法では贈与は諾成契約であるため、口約束などによっても有効に成立する(民法549条)
とあります。
相続で税務署は、贈与契約書等の証拠がないので名義預金として、その贈与の事実を否認して
課税するケースが多いらしいです。
なぜ、贈与事実を否認という形で、事実そのものをなかったものにできるのでしょうか?
その法律の根拠は判例ですか? それとも法的な根拠があるのでしょうか?
もし、この理論が成り立つなら、証明できないものは否認という形で国家権力による
財産も略奪も可能になりそうで人権や財産権の侵害にならないのか不思議だと思います。
証明できないからお前が痴漢だと冤罪で罪に問われることと似ていると感じます。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
親名義の通帳に預金が残っていれば相続財産となります。
これを避けるために子名義の預金口座を作成し入金します。
このとき「贈与する」「貰いました」と相互の意思があれば贈与税の対象になります。
この時贈与税申告をしていれば、税務調査官も贈与と認めざるを得ませんが、無申告のケースですと、贈与税申告をするように指導し、あるいは決定をします。
贈与税の徴収権は6年で時効消滅しますので、相続税調査開始時に既に消滅時効になってる贈与税の課税はできません。
ここで、子名義の預金を「借名預金」と認定することを税務署長は考えるわけです。
「それは預金を子の名義にしただけで、真実の所有者は被相続人である」と言うわけです。
これには「名義人である子が管理していた預金であって、被相続人が名を借りて作成した預金ではない」事を証明していく必要がでます。
相続税調査で「被相続人のものである。贈与行為はない」とされるケースは「口座開設の書類の筆跡が被相続人のものである」事が多いです。
つまり「子が作った口座ではないでしょ、被相続人が自分のお金を自分名義口座に残しておくと相続財産になるからと名前を借りてつくっただけでしょ」という主張をしてくるのです。
所有権者は誰か?という問題です。
子が銀行窓口で申し込み書類を記入し、贈与されたお金以外にも利用している場合には、ご質問のように税務署長でも「贈与行為はなかった」と認定できるものではありません。
贈与事実を否認するのではなく「預金の真の所有権者は誰か」という帰属認定の問題です。
ですから、預金通帳を子が作成しており、贈与された金額のほかに給与振込があったり、子による入出金があれば、贈与契約書が作成されてなくても、子の所有してる口座であると税務署長が認めざるをえません。
贈与税申告義務が時効で消滅してなければ贈与税申告をしてくれと言われる事になります。
税務署長が贈与事実を否認という形で、事実そのものをなかったものにするのではありません。
それをしたら、国家権力による事実の否認となります。
「証明できないものは否認という形で国家権力による
財産も略奪も可能になりそうで人権や財産権の侵害にならないのか」という疑問も当然発生します。
「贈与です。あげる、貰うという口頭契約がありました」と納税者が主張したときに「その主張は認めない」として、やれ口座作成手続きが被相続人の筆跡だとか、入金だけがされていて、その後の名義人(子)による入出金がないのは不自然だとか言い出して、口頭による贈与契約があったとする主張を退けるわけです。
なんでもかんでも「贈与契約書がないから被相続人が作った借名預金だ」としてくるわけではありません。
税務署長が訴えられて裁判になっても「このような理由で借名預金だと認定し、相続財産と判断した」という裏付けがないと、おっしゃるような「贈与ではなく、相続財産だ」と言い出すことはないです。
ただし、まことに嫌らしい調査を長々として「調査を早く終わらせて欲しかったら、贈与行為などなくて、借名預金だったので相続財産に加えて修正申告書の提出をします」と納税者に言わしめるようなケースも考えられます。
このような修正申告はしないように指導する税理士だと良いのですが、他の否認事項があるケースで、「借名預金と認めるから、他の否認事項は見逃してくれ」とするケースも考えられます。
ここまで来ると租税法定主義はどこに行ったのか?となります。
いずれにしても「帰属認定」の問題です。
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