親が大変古い家を貸しているのですが、共に入院しがちで年老いた両親なので潰して二世帯住宅を建て、同居することにしました。ちなみに私はその賃料より高い家賃のマンションに住んでおります。
嫁も入り口が別ならということで同意してくれて、不動産屋さんと協議の上、連名で六ヶ月以内に退居して下さいとお願いする旨を連名で送付したのですが、先日借り主から連絡があり、(1)保証金全額(2)引越し代全額を請求されております。
不動産屋さん曰く、あまり揉めたくないならそのまま払うのも手とのことですが、2年更新のタイミングでお願いしている事や、契約書上は保証金の一部しか退居時に返還しない旨を明記している事からちょっと納得しかねる条件と考えており、親もそれなら取り消して次の更新時に値上げすると言ってます。
とはいえ、ローンの払える年数もあるし、このご時世値上げするのも難しく、あまり長引かせたくはないのです。どうか良い解決策をお教え下さいませ。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
いわゆる立退き料というものは、借地借家法 第28条のなかで、
「建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。」
と書かれているように財産上の給付として法律でも認められていることの一つであり、その趣旨は借りている人が大家の都合により不利益を受けないようにという考えにもとづいています。
今回の話で言いますと、立ち退いてもらうことで大家側は利益を享受します。
一方借りている人は財産上の給付がない場合には損をします。
従いまして、その借りている人の財産上の損失がなくなるようにするというのが法律の趣旨ですから、一定の範囲での財産上の給付は必要になります。
もちろんこれが大家にとっても損失となる場合、つまり大きな損失を小さく抑えるためだけに立ち退きを求める場合には、ある程度大家側の事情も考慮して過大な損失とならないような判断はなされます。しかしご質問の場合は特段のそのような事情が発生してというわけではないので、それなりの財産上の給付は必要になるでしょう。
敷金については話がややこしく、ご質問者のところは関西の敷き引きのあるところですかね。その場合ですと敷き引きという契約自体も実は問題があって、これをまともに保証金として考えると、こちらの都合による解約に限らず全額返金しなければならないお金ということになります。
ただ関東における礼金や権利金としての正確を敷き引きに持たせている場合には、有効と認める判例が多数あります。とはいえ、短期間での解約や借りる側の責任が小さい場合での解約の場合には、敷き引きは無効とする判例もあるため、契約上敷き引きをすることになっているからといっても、必ずしも法廷で認められるとは限りません。
特にご質問のような大家都合の解約の場合には敷き引きの全額返還を求められる可能性は十分にあると思われます。
また引越しに必要な費用の負担については、今回の解約が大家の都合であることから、借家法の借りている人の損害が最小になるようにという趣旨に照らせば全額負担というのは過大な負担にはならないと考えることもできるでしょう。
ということで、不動産屋は貸し手の立場でものを考えますのでそんなものという人が結構いますが、現実は更に大家にとって厳しいのが実情です。
通常の立ち退きではこの上更なる迷惑料なる立退き料の上積みなどがなされて、立ち退きにかかわる賃貸人の労力や引越し先での必要な諸費用(家のつくりが変わるとカーペットやカーテンなどの出費があります)まで考慮されますが、あとはどこまで大家の損失・利益と比較して考慮するのかという話になります。
正直言いますと、引越し屋に支払う費用と敷金全額返還であればそれほど大家にとっても悪い提案ではないかと思いますが。
No.4
- 回答日時:
正当事由は、家主と借家人との利益を比較衡量して個別具体的に決められるのですが、ご質問文の場合に正当事由が認められるかは、五分五分だと思います(裁判をやってみないとわからない)。
「建物の賃貸人は自ら使用することを必要とする場合」であれば、常に正当事由があるわけではなく、それは正当事由の一要素にしかすぎないと考えられています。
家主の正当事由を補完するものとして、立退料が考慮されます(借地借家法28条)。
立退料は、家主からの申し出により立ち退きを余儀なくされた借家人が被る直接的な出費のほか、迷惑料(=慰謝料)的な性格も有するものです。
具体的には、同等の借家を新たに借りるための敷金、宅建業者に支払う仲介手数料、新居に移転するための引っ越し費用は、家主からの立ち退き要請がなければ、借家人に発生しなかった費用ですから、これについては全額が立退料を構成するものと思います。
これに、引っ越しを余儀なくされたという迷惑料(=慰謝料)を加算して、立退料は家賃の6ヶ月~1年が標準だと思います(店舗の借家ならもっと高いこともある)。
さて、ご質問文では、保証金を全額返還することを渋られているようですが、保証金は賃貸借契約の担保あるいは、退去時の原状回復費用の一部です。
賃貸借契約が終了すれば、担保としての必要性はない。借家を取り壊すのなら、原状回復費用を取ることは矛盾しています。よって、保証金については、全額返金するのが当然であると思います(全額返金しなければ、借家人は同程度の借家を借りられないと裁判所は判断するでしょう)。
ご質問文には、借家人から、「(1)保証金全額(2)引越し代全額を請求されております。」と書かれていましたが、この条件は家主にとって破格の好条件だと思います。保証金はもともと借家人のものですし、それを返還するだけです。実質、引越し代金だけで立ち退いてくれる借家人は、大切にすべきだと思います(もっとも、今も家主さんと良好な関係だから、借家人は「借家権価格」など法外な請求をしないのだと思いますが…)。
結論として、この場合の立退料は、保証金全額返還と引越し代金(ただし、宅建業者への仲介手数料や荷造りの手間賃も加味した金額)が妥当だと思います。これでも、家主にとっては好条件だと思います。
ご質問者さんの新築を祝う意味でも、借家人と争議にならないほうがいいと思います。
No.2
- 回答日時:
こんにちは
正当事由とは
(1)建物を必要とする程度
(2)従前の経過
(3)利用状況
(4)建物の現状
(5)立退き料
を総合的に考慮して認められるものです。(借地借家法28条)
実際には、ご質問文に書かれていない事情も考慮しなければなりません。そのために、少し誤解が混ざるかもしれませんがご容赦ください。
(1)「建物を必要とする程度」
賃貸人側では、介護などの必要から2世帯住宅を建てるために、建物を必要とするわけです。他方、賃借人も生活のために建物を必要としているでしょう。
(2)「従前の経過」
長年貸している建物なら、賃借人更新を期待しているといえ、賃借人に有利です。
(3)「利用状況」
住居としての使用でしょうから、生活にかかわるという点で賃借人に有利です。
(4)「建物の現状」
古い建物であり、取り壊しが自然であると言えるぐらいなら、賃貸人に有利です。
さて、ここまでの検討でやや賃借人に有利な事情が多かったとします(あくまでも質問文から分かる限度ですので、実際は異なるかもしれませんが)。
そうであるにもかかわらず、更新拒絶をするときは「立退き料」を払って、なんとか逆転を目指すわけです。
ですから、(5)「立退き料」とは、それ無しでは正当事由がないときに、なんとか正当事由を発生させようとして、賃貸人が賃借人に払う金銭のことなのです。
正当事由があるときは、支払わなくても良いのです。
結論としては、引越し費用と保証金全額返還は妥当なラインだと考えます。
2年更新のタイミングであることは普通のことです。期限の定めのある賃貸借においては、賃貸人は期限まで貸す義務があるわけですから。
また、「契約書上は保証金の一部しか退居時に返還しない旨を明記している事」については、どうでしょうか。
契約書にこのように書いてあるから、全額返還が「立退き料」としての意味を持つのです。賃貸人が、自腹を切るのが立退き料ですから。
以上から、わたしは賃借人の請求どおりに支払うことが問題を早期に解決する作戦だと思います。(法外な請求ではありませんし)
この回答への補足
ご回答頂きまして有り難う御座います。
補足ですが、
(2)従前の経過については入居して数年であり、それほど年数は経っておりません。
(4)建物の現状ですが、戦前の木造であり免震構造という面で問題であるかと思います。
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