過マンガン酸カリウムによるCOD測定を行っています。操作はJISとおなじです。測定を行っていて操作に疑問に思うところがあったので質問します。
硝酸銀溶液を加えることについてですが、塩素の妨害を防ぐとありましたが、塩素が含まれている場合の滴定量は増えるのでしょうか?
試料に塩素がどれくらい含まれていて、どれだけの硝酸銀を加えればいいかはどのようにして判断すればいいのでしょうか?(5mlを超えて過剰に加える場合)
過マンガン酸カリウムを加えたあと、よく振り混ぜるのを忘れていて操作を進め、シュウ酸ナトリウム溶液を加えたとき沈殿が発生してしまいました。硝酸銀とシュウ酸ナトリウムが反応したようですが、なぜ過マンガン酸カリウムを加えて混ぜるとシュウ酸ナトリウムと反応しなくなるのでしょうか?
No.1
- 回答日時:
塩素による妨害というのは、塩化物イオンが塩素へと酸化されることによる誤差のことでしょう。
2Cl- → Cl2 + e-
つまり、試料中に塩素(正確には塩化物イオン)が含まれていれば、それの酸化に要する分だけ、余分にKMnO4が必要だということになります。
硝酸銀を加える理由は、塩化物イオンを水に不溶な塩化銀へと変換するためです。したがって、おおざっぱな考え方としては、塩化銀の沈澱が生じなくなるまでということになるでしょう。ただし、現実問題としてそれが可能であるかどうかについては判断できません。
「COD測定 塩素 硝酸銀」で検索するといくつかヒットがありますので、そちらの記述も参考になると思います。
シュウ酸ナトリウムを加えた時に生じた沈澱は二酸化マンガンではないかと思います。それであれば、真っ黒な沈澱のはずです。溶液が部分的に硫酸酸性になっていなかったのかもしれません。そうなっていなければ、MnO4-による酸化が進みにくくなると思います。
有難うございます。塩化物イオンを沈殿させる理由が良くわかりました。
シュウ酸ナトリウムを加えたときの沈殿ですが、色は白色でした。透明になりかけていた溶液が紫に戻ったので、試しにシュウ酸ナトリウム溶液に硝酸銀溶液を直接加えてみたところ、やはり白色の沈殿が発生しました。
シュウ酸ナトリウムと硝酸銀が反応するということは、過マンガン酸カリウムと何らかの反応を起こしているのではと考えています。何が起きているのでしょうか?
No.2
- 回答日時:
補足です。
沈澱が白いものだとすれば、シュウ酸銀の可能性が高いと思います。参考URLにもありますように、硝酸銀とシュウ酸の反応によって生じる塩であり、水への溶解度は低いものです。シュウ酸のかわりにシュウ酸ナトリウムを加えても同じ結果になると思います。
撹拌不足のために、シュウ酸イオンの濃度が部分的に高くなり過ぎたのかもしれません。
もしも、この物質が、このままの状態で滴定終了までとどまるのであれば、その分だけ結果がずれてくることになります。ただし、滴定の過程で少しずつでも溶けてくるのであれば問題はないでしょう。実際にどうなるかについてはわかりませんが。
なお、透明になりかけていた溶液が紫色に戻るということの理由はわかりません。つまり、この条件で、ひとたび、Mn2+になったものが、MnO4-に戻るということは理解できません。
参考URL:http://www.powerlabs.org/chemlabs/silver_oxalate …
この回答への補足
少しわかりにくい質問ですいません。
硝酸銀とシュウ酸ナトリウムが反応するということは、硝酸銀と塩化物イオンが反応した残りの硝酸銀はシュウ酸ナトリウムと反応するのではないかと思ったのです。しかし、通常の操作を行った場合、シュウ酸ナトリウムが反応することはなく沈殿は発生しません。そこで、間にある操作の過マンガン酸カリウムの添加か30分の沸騰水浴過熱が硝酸銀に何らかの変化を及ぼしているのではないかという考えです。
シュウ酸ナトリウムが硝酸銀と反応しなくなるのはなぜなのでしょうか?
No.3
- 回答日時:
この辺りになってくると、想像の話になってきますが、シュウ酸銀が水に溶けにくいといっても、ある程度は溶けるわけですから、仮にシュウ酸銀の沈殿が生じたとしても、溶けているシュウ酸が酸化分解されるにしたがって、平衡が移動し、沈殿が次第に溶けて、それに由来するシュウ酸も酸化分解されることになると思います。
すなわち、生じたシュウ酸銀が溶けるまで、時間をかけてやれば障害にはならないということだと思います。
なお、KMnO4を入れた後の撹拌が不十分であるということは、MnO4-イオンが存在しない場所があるということにとどまらず、硫酸酸性になっていない場所があるということにもなります。このことが、シュウ酸銀の生成と関係しているかもしれません。
過剰の銀に関しても想像の域を出ませんが、酸化銀(Ag2O)として沈殿しているかもしれません。ただ、溶液が硫酸酸性ですので、そうなっている可能性は低いと思います。
なお、この滴定の初期の段階では、シュウ酸の酸化反応は緩慢で、時間を要しますが、ある程度進みますと、非常に速やかに進みます。そのために銀イオンと反応する前にシュウ酸が分解されるのかもしれません。
なお、溶液を加熱するのは、Agイオンの件とは無関係だと思います。
話がややこしくなったので、まとめますと、シュウ酸ナトリウムが銀イオンと反応しなくなる理由としては、(1)シュウ酸が速やかに分解されるということと、(2)溶液が酸性であれば、シュウ酸ナトリウムがシュウ酸になり、その解離平衡の関係から(シュウ酸は弱酸なので)シュウ酸銀の生成速度が遅くなるといったことを思いつきます。いずれも想像ですが。
この回答への補足
測定値が高くなった件ですが、いろいろと調べてみた結果、シュウ酸ナトリウム添加時に茶色になっていて、その状態では未反応物が残っている状態だったようです。いままでは、茶色の状態で滴定を行っていたことが原因のようです。
本来は、茶色の状態から白色に変わるまで、反応が進むのを待たなければならないようです。
参考までに補足しておきます。
わかりやすい説明ありがとうございます。
実際に、硝酸銀の過剰状態など実験して試して見ようと思います。
環境計量事業者に委託してみたところ、どうしてもこちらの数値が高く出てしまい困っていました。低くなるのであれば、加熱温度の不足など疑いますが、高くなる以上塩化物イオンの妨害が関係するのではと考えました。(実際には水道水を超える塩化物は入っていないはずですが・・・)滴定値では0.5から1mlの誤差です。さすがに人的要因と考えるには誤差が大きすると思います。
使用する水が悪いのではと周囲から言われていますが、空試験の数値も滴定値0.5ml付近で問題ありません。
試薬は市販の調整済みのものを使用しています。
CODの操作特性上、再現性は得られにくいと読んだことがありますが、この程度の誤差は普通でしょうか?
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
COD測定時において投入すべき硝酸銀の量は、当量分+1gと規定されていますが、当量分を簡単に測定する方法については示されていません。
JISの解説には当量の硝酸銀を加えると沈殿が生じるので当量点を判断できるとありますが、塩素イオン濃度が極端に低い場合には、沈殿が生じません。また、懸濁物質の多いサンプルでは沈殿の識別ができません。私は、簡単に塩素イオン濃度を求める方法として、サンプル水の導電率を測定し、同じ導電率の食塩水として塩素イオン濃度を求めています。この方法はOH-以外の陰イオンは全て塩素イオンとして計算してしまうので、実際の塩素イオン量よりは若干過剰になりますが、今のところ、おかしな測定結果はでていません。
エクセルなどの表計算ソフトに登録しておくと、簡単に当量分+1gの硝酸銀量を計算することができます。
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