
シリーズ・ヘミングウェー5
(過去に「マコンバー」で2回、「キリマンジャロ」で2回質問しております。)
負傷兵のブラブラした日々と、ほのかな友情を描いた、この作品“In Another Country”は、非常に短いのですが、劈頭の一文から頭を痛めました。
(ほかに、少なくとも2箇所、強い疑問を抱いている部分がありますが、それは後日)
In the fall the war was always there, but we did not go to it any more.
(このあと、It was cold in the fall in Milan and the dark came very early.と続きます。)
簡単な構文ですが、にもかかわらず、理解できません。とくに前半。
ちなみに翻訳は、
1)「秋には、いつも戦いが激しくなるのだったが」(龍口直太郎)
2)「秋になると、たえず戦闘がつづいていたが」(大久保康雄)
3)「秋には戦闘が切れ目なくつづいていたが」(高見浩)
とりわけ(1)は他と異なり、「毎年、秋になると」というニュアンス(加えて「激しく」という形容辞)があるので迷います。
どう理解すべきでしょう?
No.7ベストアンサー
- 回答日時:
"always" は、一般的な意味に解しておけばよいとおもいます。
書き出しの部分では、 "always" の範囲について "In the fall" と限定し、いままでの戦況についてはなにも述べていません。( ところで、 "the fall" は、この短編の場面をなす特定の秋をさすとおもいます。それは (2)、(3) の訳ということになります。秋一般をあらわすのに the をつけることもあるので、 (1) の訳も文法的な誤訳とはいえないでしょうが、その解釈には疑問がのこるということについて、後述します。 )
読者は、 "but we did not go to it any more." まで読んで、 "われわれ" がもはや戦いにいかなかったこと、すなわち、それまでは戦いにいっていたということ、つまり、戦いがそれまでにもあったということを知らされます。しかし、なぜ戦いにいかないのか、という理由については、まだ明らかにされません。こうした叙述の効果をかんがえても、 "always" は、その "秋" に限定して、 "戦いがたえまなくあった" と読むべきではないかとおもいます。
さて、同じ段落で "fall" が3回くりかえされたあと、病院の場面になると、冒頭とよく似た文が "in the fall" なしでふたたびあらわれます。
"We only knew then that there was always the war, but that we were not going to it any more."
ここでは、 "always" の範囲が拡大しています。第一次世界大戦のイタリア戦線についての記事 (参考URL) をみても、語り手の参加した前線でとくに秋になると大きな戦闘があったとはかんがえにくいようです。 (実際には大きな戦闘のあいだに小休止があったにせよ、) 戦いはたえまなく [戦争はつねに] あった、というのです。
冒頭の文では、 "秋" に焦点があてられていますが、その "always" の意味は、上に引用した二度めの "always" と同じはずです。はじめの "always" を still の意味に解釈することは、全体の文脈にはあてはまるのですが、冒頭の衝撃力を減じてしまうようにおもうのです。
参考URL:http://en.wikipedia.org/wiki/Italian_Campaign_%2 …
懇切な御回答をどうもありがとうございます。
幾多の点で共感をおぼえるいちばん穏当な解釈という印象をもちました。
すなわち、
(a)"the fall"といっても、一般化されているケースもあるが、ここではそうではない。
(b)そして、"always"は、ヘミングウェイの平易な文体からして、stillと同義であると取るまでも無い。
(c)第一次世界大戦における「秋」の特殊性は見出せない。
結局、「その秋は、始終戦闘をやっていたが、もはや僕らが出陣していくことはなかった。」というような訳に落ちつきそうですね。
No.8
- 回答日時:
日本語訳3例とも「戦闘が続く」、「激しくなる」など、ダイナミックな訳になっているのが気になります。
原文で使われている動詞は存在を示すbe動詞で、かえって静的なニュアンスを醸し出しています。また、thereの出す他人事のようで無視できない距離感というものが少しも訳出されていないのも不思議です。後続のbut we did not go to it any moreが、"我々"と戦争との距離感を敷衍しているとも受け取れます。文学者というものが一語一語を練りに練ることを考えると、これは偶然ではなく、戦争の圧倒的な存在感を示すために作者が選択した仕掛けではないでしょうか。したがって、#7さんのように、"戦いがたえまなくあった" [戦争はつねに](そこに) あった、とするのが一番妥当では、と考えます。文学作品の翻訳にあたって動詞もすべて呼応させよと主張しているわけではなくて、ケースバイケースなのですが、ここではあまりに原文の持つインパクトが訳文で薄れてしまっている気がします。
In the fallについては、秋になると、ではなくduring the fall寄りに考え、秋の間、と解釈すれば、alwaysがすんなり入ると思います。(冬の間、夏の間、に比べで今ひとつ一般的な言い回しではありませんが・・・。)
ご意見をありがとうございます。
be there の兼ね備える意味が、ある種の遠隔性、「静的」な「距離感」と、「圧倒的な存在感」との両方だ、とご指摘されたことは、もっともだと思います。
私としても、当初 alwaysが、「毎日」あるいは「一日中」というニュアンスで迫ってくる印象を受けましたので、ご意見に大変賛同できます。
冒頭 In the fall も、きっと「その秋の間は」という意味でしょう。
結局、この箇所の龍口直太郎訳は、おかしいですね。
No.6
- 回答日時:
alwaysには「常に」という意味しかないという固定観念を持たれているのではないでしょうか。
この単語は「(以前から)ずっと」(つまり今でも相変わらず)という意味も持っていることはご存じでしょうか。グランドコンサイス英和辞典にはこの意味が掲載されていますし、さらに、主にスコットランドではstillの意味でも使われると掲載されています。なお、alwaysに該当するフランス語はtoujoursですが、フランス語の辞書では「今でも、相変わらず」とう訳語が見出しの部分に記載されています。以上の理由で私の最初の訳とこのフランス語訳は適切な訳だと考えますが、この訳がどのように歪められた訳なのでしょうか。さらに、その根拠として貴兄はどのような訳を想定されているのでしょうか。
なるほど、MayIHELPYさんのように、"always"=stillだと断言されるなら、ここでの私の疑問はほぼ氷解します。
また、フランス語でalwaysをtoujoursにおきかえているなら、とくに作為的ということでもないようです。
そこには、私の誤解があったようですね(つまり、龍口訳に、わずかな可能性があるのか、あるなら、若干そちらへウェイトを残しておくべきなのか、という疑惑・観点から、各回答を読んでおりましたので)
No.5
- 回答日時:
フランス語訳を検索したら「秋になり、相変わらず戦いは続いていた」と訳されていました。
情報をありがとうございます。
ただ、そのフランス語訳も、ヘミングウェイを微妙に歪めているような気はしますね。
もし「相変わらず」なら、always ではなく still になりそうですが。
ヘミングウェイは、always を使っているので、これがとても気になります。しかも、きわめて簡単な語なのに理解できない。
No.4
- 回答日時:
秋に(なると)そこではいつも戦いがある(起こる)のだが、我々はもうその戦いに行かなかった。
後の文章の go to it any more を読むと「(前に行ったことがあるが)それ以上行くことはなかった」と読めるので上のように解釈した方が近いと思います。
つまり、前の文は、戦いが今まで秋にはいつもあったと言う事実を示していると思います。
1)の激しく2),3)の絶えず、切れ目なく、は可笑しいような気がします。
ご意見ありがとうございます。
すると、(1)の龍口訳を支持されるわけですね。(私としては違和感があるのですが……)
"in the fall" という表現が立て続けに2度現れる、一見稚拙とも思える文章の流れも参考になりそうだと考えて、質問の中で引用しておいたのですが、「毎年秋には」と訳す場合には、この2つめの文章が難無く読める、というメリットがあるような気はします。
No.3
- 回答日時:
この場合のIn the fallは、「秋になっても」または「「秋になったが」というニュアンスだと思われます。
全体の訳としては、「秋になっても依然として戦いが続いていたが、負傷していた私たちがその戦いに赴くことはもうなかった」ではないでしょうか。「毎年秋だけ戦いが激しくなる」という訳は不自然だと思われます。
ご意見ありがとうございます。
やはり、ふつうに考えると、「毎年秋だけ」というのは奇妙ですよね。
ただ、数年に渡って続いた第一次世界大戦にも、いわば“夏休み”があったとすれば、毎年秋には、いざ戦闘再開、という雰囲気になったかもしれないですし、その辺りの事情に疎いので、よく分かりません。
まあ、可能性は薄いと思いますが。

No.2
- 回答日時:
こんばんは。
「異国にて」を読んでいないので内容から意味を推測できないのですが、このセンテンスだけを考えると・・・
まず、質問者様が考えるように、(1)の訳は他の2つとは意味が異なると思います。(1)の訳は「何年も戦争をしていて、特に秋には激しくなる」と解せます。やはり「反復」ですよね。しかし、the fallは特定の秋なのですから反復はおかしいですよね。
「激しく」も意訳でしょう。
ご意見をくださいまして、ありがとうございます。
> the fallは特定の秋なのですから反復はおかしい
――とのことですが、そこが難しい点で、このような定冠詞theの用法が、私自身よく分からないんです。

No.1
- 回答日時:
三人の翻訳は同じですが、1)の「激しく」が翻訳者の単なる思い込み(筆のはしり)なのか、他の場所では秋以外のシーズンでも小さな小競り合いがあったので、それとの対比で本格的な戦闘といいたかったのか分りません。
こういう訳の仕方もあるのかと受け止めればよいと思いますが。ご意見をお寄せいただいたことに感謝します。
それにしても、私自身「三人の翻訳は同じ」とは思えないのですが……
(1)は、例年この季節になると、という反復的ニュアンス。
(2),(3)は、この年の秋に入ってからは、というニュアンスですよね。
お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!
関連するカテゴリからQ&Aを探す
医師・看護師・助産師
薬剤師・登録販売者・MR
医療事務・調剤薬局事務
歯科衛生士・歯科助手
臨床検査技師・臨床工学技士
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
臨床心理士・心理カウンセラー・ソーシャルワーカー
介護福祉士・ケアマネージャー・社会福祉士
弁護士・行政書士・司法書士・社会保険労務士
フィナンシャルプランナー(FP)
中小企業診断士
公認会計士・税理士
簿記検定・漢字検定・秘書検定
情報処理技術者・Microsoft認定資格
TOEFL・TOEIC・英語検定
建築士
インテリアコーディネーター
宅地建物取引主任者(宅建)
不動産鑑定士・土地家屋調査士
マンション管理士
電気工事士
美容師・理容師
調理師・管理栄養士・パティシエ
シェフ
保育士・幼稚園教諭
教師・教員
国家公務員・地方公務員
警察官・消防士
その他(職業・資格)
おすすめ情報
デイリーランキングこのカテゴリの人気デイリーQ&Aランキング
-
in what+S+Vの表現について
-
partsとcompornents、部品と部...
-
「あれっ?」「あれれっ?」
-
ポレポレ38
-
詳しい方:AgentとRep違い
-
世界の地域名(北米とか中近東...
-
英語の短い台詞ですが・・・教...
-
「人民の、人民による、人民の...
-
have to offer の使い方
-
提示文の解説依頼について
-
valueの意味
-
every which way but loose
-
order-of-magnitude estimate
-
契約書におけるCONSTRUCTIONの意味
-
pound into (~に打ち込む) の...
-
Given that all patients had s...
-
F.O.B.Shipping Point とDestin...
-
どれが正しい???
-
The implant was placed to be ...
-
音楽における「解釈」、英語で...
マンスリーランキングこのカテゴリの人気マンスリーQ&Aランキング
-
in what+S+Vの表現について
-
世界の地域名(北米とか中近東...
-
英語についてです。before long...
-
ポレポレ38
-
「あれっ?」「あれれっ?」
-
過去の不規則な習慣について質...
-
partsとcompornents、部品と部...
-
around the country 国中? 国...
-
was to be seen と was seen ...
-
研究期間の英訳について
-
Master Term の訳をご存知の方
-
詳しい方:AgentとRep違い
-
英文の解釈について。 It's the...
-
複数? 単数? 定冠詞?record hi...
-
英文解釈
-
<2011年度・京都大学の英語>
-
ふぁっきゅーの意味について
-
every which way but loose
-
和訳 I am ashamed of you.
-
『アレンタウン・ジェイル』の...
おすすめ情報