No.4ベストアンサー
- 回答日時:
Q1)なぜ、光を直交する二つの偏光成分の重ね合わせで表すことができるか?
「重ね合わせ」という言葉は、古典電磁気学などでも使われています。ただ、量子力学でのその言葉が示す状態と全く同じものは、古典物理学には存在しません。この光の偏光の問題は、この量子力学的な重ね合わせ状態の性質に由来しています。現象のだいたいの説明は古典電磁気学でも可能ですが、古典電磁気学には存在しない『光子』状態に話を進めた時点で破綻します。
さて、先の回答から改めて手持ちの教科書を読み直してみました。結果、ファインマン物理学V 量子力学の11-4(光子の偏りの状態)で、この問題そのものをブラケット形式で扱っていることを見つけました。また関連した事項を同じV巻の17-4で扱っており、古典電磁気学での扱いがII巻8-1に記載されていました。もちろん、ファインマン物理を直接読んで頂いて全く問題ありません。ただ物理学を専攻した身からすると、量子力学はどんなに考えても最後は丸呑みしないといけない部分が残りますので、J.J. Sakuraiのように最初に公理的なものを提示して、ブラケットの扱いに慣れてしまうやり方の方がわかりやすい気がします。
あくまで、個人の好みの問題かと思われますので、お好きな方を読まれればと思います。
J.J.Sakuraiの場合、話は光子ではなく原子を利用した類似の実験であるシュテルンゲルラッハ実験を中心に進んで行きます。この偏光の問題は、p.7で「光の偏光との類似性」で取り上げられています。なお、脚注に、光子の偏光から量子力学の基礎概念を把握したい場合には、Baym(1969)の第一章が啓発的であると書かれています。
ペレスの場合は、複屈折をもちいた偏光実験と、シュテルンゲルラッハ実験を同時に取り上げています。
いずれにせよ、ブラケット形式を用いた学習で、量子力学的重ね合わせ状態についての理解が得られたら、この偏光の問題は簡単に理解する事ができるようになります。
2)x偏光した光(子)が、45度偏光板によってy偏光した光に変化すると考えて良いのか?
これは、45度偏光板を用いた測定の固有状態が、x偏光状態とy偏光状態の量子力学的重ね合わせであることから、y偏光状態を含む状態に収縮したというのが量子力学的な説明です。ブラケット形式の量子力学を知らないとチンプンカンプンでしょうが、ブラケット形式を学習すればこの問題が非常に典型的な例であることがわかるでしょう。
ブラケット形式については、ここで私などの解説を聞くよりも、これまでにあげた教科書を読まれる方がよほどわかりやすいかと思います。ブラケット形式の公理的部分の分量は、講義1、2回分程度でしかありません。問題は、それがあまりにも日常の直感とかけ離れているので、受け入れるまでにどれだけ時間がかかるかという点にあります。
有難うございます。図書館にJ. J. Sakuraiの教科書が無かったですが、代わりにDiracの量子力学の教科書が有りました。これに、おそらく同等の説明を見つけました。自分の理解では、
p439: 量子論においては、斜めにかたよった状態に有るときに、平行にかたよった状態と、垂直にかたよった状態の二つのことが同時に“部分的に”実現されていると考える。
p16: 体系が二つの状態のそれぞれに部分的に存在していることが、別の一つの状態に存在していることと同じである、という新しい考え方になれることが必要である。
p440: 一つの光子が経路A、経路Bのどちらも部分的に通過すると考え、光子は自分自身とだけ干渉すると考える。
この辺りがポイントではないかと思っています。後は自分でブラケット形式を学んで理解したいと思います。
どうも有り難うございました。
No.3
- 回答日時:
波の合成で説明できると思いますが。
説明の便宜上、1枚目の偏光板の通過する偏波面をx
2枚目をy軸にとると、
1. 45度の板を入れない場合、
1枚目通過後の光の偏波面成分は(x,0)で、2枚目を通過しない。
2.45度の板を入れると、
一枚目通過後の偏波面(x,0)=(1/2x,1/2y)+(1/2x,^1/2y)
(+45度とー45度の波の合成として考えることができる)
で、45度の偏光版を通すと、右辺一方だけ(たとえば(1/2x,1/2y))が通過する。
2枚目の偏光板で(1/2x,1/2y)->(0,1/2y) の光が通過する
と。
解釈としては、
a. 単純に、波の合成で(見かけ上?)キャンセルしていたy成分が45度板の挿入でバランスが崩れて、現れてきた
b. 45度偏光板を挿入することで、45度偏光板での条件を満たすように、(x軸成分のエネルギーの一部を使って)y軸成分が励振された。
の2通りをとることができるかと思います。
有難うございます。
foobarさんのおっしゃる通り、波の重ね合わせで説明できます。
ただ、どうしてもしっくりいかないのは、
なぜ、解釈a.のように、光を直交する二つの偏波成分の重ね合わせとして考えることができるか?という点です。
また、解釈a.で考えると、光子を1個ずつ偏光板に入射させた場合は、波が合成できないので、45度の偏光板を入れても光は透過しないことになりませんか?
解釈b.で考えると、45度偏光板が、x偏光した光から、y偏光した光をが作り出した、と考えるのでしょうか?
これらに関してコメント等有りましたらよろしく御願いします。
No.2
- 回答日時:
これは、量子力学の基本原理の一つである、観測による状態変化に関連しています。
ですから、行列形式の量子力学の基本原理の提示から話を進めて行く教科書ではよく冒頭で、この問題ないしは、本質的に似た実験であるシュテルンゲルラッハ実験をとりあげます。そういった教科書としては、
・J.J.サクライ著 現代の量子力学 (吉岡書店)
・ペレス著 量子論の概念と手法―先端研究へのアプローチ (丸善)
などがあります。
ただ、光を量子力学できちんと取り扱い、古典的な電磁気学と整合性を持って語るには、第二量子化という手順が必要になります。これは初等的量子力学の教科書では扱わないことが多いので、きっちりと勉強されたい場合には、上記教科書でブラケット形式に慣れた後、量子光学関連の教科書を読まれればいいでしょう。
なお、第二量子化の手法についての理解という点では、
・ハーケン著 固体の場の量子論(吉岡書店)
がおすすめです。こちらは、本来フォノンや励起子等、固体中の励起を扱った教科書なのですが、上巻で第二量子化が丁寧に説明されています。
有難うございます。
回答に挙げて頂いた教科書を読んでみます。
ブラケット形式は、観測による状態変化を記述することができると考えていますが、教科書は、以下の疑問に答えてくれているでしょうか?
1)なぜ、光を直交する二つの偏光成分の重ね合わせで表すことができるか?
2)x偏光した光(子)が、45度偏光板によってy偏光した光に変化すると考えて良いのか?
また分からないことが有れば質問します。
No.1
- 回答日時:
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