日本では医師が不足しているという報道をよく目にします。
勿論、病院や科目によっては充分な態勢になっている場合もあるでしょうし、都市と地方で随分と差があると思いますが、少なくとも 「ウチの病院では医師が余って困っている、人員整理しなくては」 というような話は聞きません。 医師のリストラも聞いた事がありません。
救急車のたらい回しが発生するのは、根本的に医師不足が原因と考えられますよね?
質問1
なぜ、少ないのですか?
無論、医師免許を取得するまでには、大変な努力と経験が必要になっているのは理解出来ます。 自動車運転のように誰でも取得出来るわけではありません。
でも毎年どんどん医大卒の新しい医師が誕生するわけですよね? 定年や老齢のため、実際に医療の現場から姿を消す医師も毎年いるとしても、差し引きすると毎年医師全体の数は右肩上がりに増えているはず。 なのに、なぜ?
質問2
以前テレビ番組で、たしか人口に比較した医師の数が世界で1番多かったのはギリシアだと聞いた記憶があります。 日本より数倍多かったと思います。
事実とすれば、ギリシアと日本、医療の面でどこが 「根本的」 に違うのでしょうか? 医師になるのは難しく、大変な努力が必要になるのは世界共通だと思うのですが ・・・
もしかしてギリシアでは医師になるのが簡単なのですか? お金がかからない制度になっているのですか? 偏差値が足りなくても医大に合格するのですか? それとも?
それと医師の大都市偏在という問題も世界共通だと思います。 どの国でも地方の設備の貧弱な病院で医療活動をしたいと考える医師は少ないと思います。 なぜギリシアでは?
ギリシアでなくても結構です。 医師の数が充実している国と日本と、どこが根本的に大きな違いがあるのでしょうか?
とても不思議に感じています。
A 回答 (15件中11~15件)
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No.11
- 回答日時:
内科医です。
医療統計や公衆衛生の専門ではないので「経験者」ということで…。まずは、No.10さんに補足です。
「厚生労働省は、医師数=医師免許保持者数と判断している」とありますが、医師免許保持者は、「医籍」というものに登録されています。
この「医籍」は一般人でも「医師等資格確認検索システム(http://licenseif.mhlw.go.jp/search/top.do)」で検索可能です。
「安部 英」元帝京大学副学長。2005年4月25日に88歳で死去。
「若月 俊一」佐久総合病院名誉総長。2006年8月22日に96歳で死去。
このお二人も検索で出てきます。同姓同名の可能性は100%否定できませんが、登録年から推測するとご本人の可能性が高いです。
厚生労働省の医師数の把握はこの程度です。
まあ、もっとも「医籍」の登録抹消は本人or故人の場合は家族の義務なので、現行のルールでは厚生労働省には罪は無い(?)のですがね…。
個人的な意見としては、やはり勤務医が激減していると感じます。身の回りでも開業する医師が非常に多いです。そのため残された勤務医が疲弊してまた退職するといった負の連鎖を感じます。もっと医療費を増加させて、勤務医を確保すべきでしょうね。
またアメリカなどのように、風邪などの基本的な疾患や、安定している慢性疾患は開業医(家庭医)が基本的に診て、変化があったときや定期検査などで総合病院などの専門医が診ればいいと思います。そして、「勤務医の収入>開業医の収入」となるように診療報酬を設定すれば勤務医数は確保できると思います。
この「診療報酬」というのも曲者で、病院の場合は医師の収入にはなりません。いくら病院の収入が上がっても勤務医の給与は変わりません。また暇な(失礼)科の医師と手術しまくりの外科医の給与は医師の経験年数が同じなら変わりません。外科、産婦人科、小児科医が減るのはそういったことも原因だと思います。
あと、フリーター医師の存在もあると思います。彼or彼女らは勤務医生活に疲れて退職し、外来や当直などの非常勤勤務で生計を立てています。しかし医師不足の現状では働く場所は都市部ではかなりあり、まだまだ売り手市場です。また民間の医師斡旋企業の多くは「フリーター医師」斡旋を行っています。上手にシフトを組むと勤務医時代より年収は高く、自分の時間も持てるようになるとの事です。しかしあくまでも「非常勤」で常勤ではないため、責任のある仕事はしてくれません。彼or彼女らの存在も勤務医不足の原因です。負の連鎖の現状では「フリーター医師」はどんどん増加するでしょうね。
このように「暇な医師の方が意外に儲かっている(様に感じてしまう)」というのが、今の勤務医不足の原因だと思います。もちろん儲かっている開業医さんは経営努力の賜物でしょうし、夜遅くまで開いているところも知っています。でも、年末年始に患者さんを総合病院に託して、海外旅行に行っているのも知っています。そういった情報に踊らされて開業してしまうんでしょうね。
参考URL:http://licenseif.mhlw.go.jp/search/top.do
有難うございました。
日本の医療現場の真の姿が分かったような気がしてきました。
結局は政府の医療行政に原因があるわけですね。
つまり、医療費の抑制が医師個人の待遇に直結し、勤務医が段々と減る、減った分だけ周りの医師の負担が多くなって、また勤務医が減る、この悪循環に陥っているわけですね。
私なら激務の勤務医になるくらいなら、例に挙げられたフリーター医師の道を選ぶかも知れません。 うまくスケジュールを立てればサラリーマンと同じような休暇が取れるでしょうし、おまけに収入はサラリーマンの数倍。
政府が本当に医療の将来を心配するなら、もっと抜本的に「どうすれば医師不足が解消出来るか」を真剣に考えるべきですね。
それと我々患者側に立つ者としても、些細な症状でいちいち通院する事は辞めなければいけませんね。 特に高齢者は病気でもないのに、「あそこが痛い、ここが痛い」と、通院する回数が本当に多いと思います。 高齢者優遇政策を見直す必要があるでしょうね。
大変、勉強になりました。
No.12
- 回答日時:
>例えば開業医の場合は定年が無いので、80歳になっても患者を診る事が出来る。
>そんなこんなで、毎年減る医師より増える医師の方が多い。
>それなのに医師が足りない ・・ まだ、よく分かりません。
医師の総数も足りませんが、今、世間で痛感している「医師不足」というのは、夜間救急の医師や産科医師、僻地医師などのことを指しているのではないでしょうか?
夜間受け入れは行わず、9時~6時の診察のみ、専門が限られた診療科の開業医がいくら増えても「医師不足」を解消できたと、世間が実感することはないでしょう。
余談ですが、私は持病で2つの婦人科にかかっており、片方が主治医で、片方がサポート医師です。
この2人は、大学の同期という関係です。
主治医は、専門的な治療を行うクリニックで、駅前一等地に立つ高層ビルの最上階にあり、診察時間は10時~7時。分娩は行わず、入院設備なし。夜間受付は原則なし。オペは他院で週1回。
盆正月にはまとまった休みをとれ、診察は完全予約制なので、1日に診察する患者数は限られていて、患者1人にかける時間もゆったり。
自由診療で、他のクリニックに比べれば良心的な価格だけれど、腕もいいので経営はうまくいっているらしく、けっこう儲けていると思います。
とはいえ、診療時間以外にも、仕事はあるので急がしそうですが、勤務医に比べれば、プライベートの時間も持てていると思われます。
対して、サポート医師は、ベッド数300超の総合病院の産婦人科医で、同科常勤医師は3名。
それで、外来、病棟、分娩、オペをこなしているので、かなりの激務。
午前の診療と午後の診療の間に、オペがあり、時間が押して、オペ着のまま外来に駆け込む姿もよく見ます。
午前は午前で、夜中から朝方まで分娩があり、そのまま外来に駆け込むということもあるようです。
床屋に行くこともままならないようで、看護師に、お願いこの日の午前中は予定いれないでと、頼み込んでいる姿を見たことがあります。
それでいて、収入は、私の主治医の何分の一かでしょう。同期で歳も同じなのに。
これじゃ、開業したくなるのもわかるなあと思ってみています。
私の主治医も数年前まで、大学病院の第一線で働いていた人で、実績もあり評価の高いチームを持っていたのですが、そのチームを引き連れて、開業したために、大学病院ではかなりの痛手だったようで、手薄になり評判も落ちたと聞きます。
有難うございました。
おっしゃるとおりです。 私が何となく医師不足と感じたのは、救急病院や産科の医師の事でした。
たしかに私の会社の周辺には歯科医や眼科は多いです。 最近、閉院した歯科医もあるくらいです。
以前、救急病院の医師を特集した番組があったのですが、「よく体が続くな」と感じました。 お答えにありますサポート医師の先生と同じ境遇でしょうね。
ところで一体、欧米の産科医師や救急病院の医師はどうなっているのでしょうね? 日本と同じように深刻な医師不足に陥っていて、救急患者のたらい回しもあるのでしょうか? それに恵まれた環境にいる医師は早く開業医になって、勤務医として残るのは運が良くなかった医師か、高い志を持った医師しかいないというような状況なんでしょうか?
特に産科医師の場合なんですが、いつ妊婦の陣痛が起きるか分からないので夜も安心して熟睡できない、一生懸命やっても下手をすると訴えられる、これはどこの国の産科医師でも同じ状況だと思うのですが、なぜ日本でこれだけ社会問題化しているのか今でも分かりません。
やはり医師に対する報酬の問題なんでしょうか・・・ つまり、収入が増えれば産科を目指す医学生も増え、その結果、産科に限らず都市部で溢れた医師が地方へどんどん移転していって、その結果、地方の医師不足もアッと言う間に解消 ・・・ こうなるんでしょうか?
No.13
- 回答日時:
質問者さんはなかなかいい点に目をつけていますし、
ここでのコメントも理解して吸収しようとなさっていて非常に熱心だと思いますが、
いかんせん理解が浅いですね。
各コメントを深く理解して、ご自身の考えをまとめてください。
>>私が何となく医師不足と感じたのは、救急病院や産科の医師の事でした。
それは現在医師不足が露出したのがその科だ、というだけで、
ここのコメントでも散々言われているように、潜在的にほとんど全ての科で医師不足です。
歯科は医科と別だから分けて考えるとして、医者で供給過剰なのは眼科開業医だけです。
(眼科でも勤務医…特に硝子体手術を出来る医者は不足しています)
このまま対策を練らなければ、医者にかかりたくてもかかれない時代というのは目の前です。
>>欧米の産科医師や救急病院の医師はどうなっているのでしょうね?
No6さんの回答どおりです。
オンとオフがはっきりしているので、特別しんどい科ではありません。
日本でも、大きな病院で勤務医が沢山いるところでは、まともな生活をしていますよ。
簡単に言えば、医者が7人いれば週に1回当直すればすむわけですよ。
それが2人だとすれば週に3~4回の当直が必要になる。
それはしんどいから人が減る。悪循環です。
>>やはり医師に対する報酬の問題なんでしょうか・・・
日英以外の先進国では医療に日本の2倍の額をかけているんです。
これは別に必ずしも医師が2倍の報酬をもらっているという意味ではない。
医師が2倍いる、とも考えられるわけです。
日本の医師が欲しいのは、お金じゃなくて人並みの生活です。
2500万円で今の産科勤務医するのか1500万円で眼科開業医をするかを選ばせたとしても、
後者を選ぶ医者の方が多いでしょう。
(しかも現実は報酬は逆です)
医者を2倍に増やせばおそらく人並みに休暇が取れるのです。
それさえクリアできれば後はいい循環に回るはずです。
>>それと女医の件ですが、高い志を持って医師になられたのですから、
>>結婚や出産を理由に現場から離れないでほしいですね。
女医が現場を離れざるを得ない現在の医療環境をご理解ください。
人並みの生活が出来る職業なら、子育てしながらでも出来るんですよ。
>>高齢者に対する医療制度が過度になってしまって、
難しい問題です。
老人医療費が日本の医療費に極めて大きな影響を与えているのは事実ですが、
それが社会保障というものなのです。
自らの不摂生で招いた状態…例えば(2型糖尿病の人の)糖尿病性腎症による透析などは、
老人保険・国民健康保険を適用しない、といった政策は必要かもしれません。
(線引きが難しいので実現は厳しいでしょうが)
何度もお答え頂いて感謝します。
医師不足になっているのは、何も産科や救急病院だけの事ではなかったんですか。 たまたまメディアで取り上げられたから目立つという事なんですねえ。
という事は、やはり人数そのものを増やす事しか解決策は無いという結論になると思います。
とすれば、なぜそれが出来ないのか、あるいは出来なかったのか? ・・ 来年度から各医大の募集定員をそれぞれ数十人程度でも増やせば、10年もすれば日本全体の医師数は足りる事になりますよね。 簡単そうに見えるのですが ・・
皆様のご意見を伺って医師が不足しているというのは、何もここ数年の問題ではなく、ずっと以前から指摘されていた問題のように感じました。 では、医師の増員を「妨害」とまでは言わないとしても、すくなくとも「積極的に協力しなかった」勢力・団体はどれなんでしょうか?
自民党などの政治家でしょうか? 大学の医学部でしょうか? それとも日本医師会でしょうか? あるいは?
No.14
- 回答日時:
10番です。
> 医師一人を育てるのに膨大な社会コスト(税金)を掛けている
これは都市伝説です。下記サイトで詳しく検証されています。
http://ameblo.jp/doctor-d-2007/entry-10033761818 …
簡単にまとめると教育費用は実際は自己負担で賄われており、1人頭1億円伝説は「大学や付属病院全体の維持や、世間の為の新たな治療法などの研究の為に使われて」いるお金も含めての計算です。
助成金が出ていること自体を問題にするなら、全ての大学を卒業をした人に対して、就職・離退職の制限を設けるべきとなるでしょう。
で良いか悪いかは別にして欧米の例としては。
・ヨーロッパでは70歳や75歳を基準にある程度を超えたら、ある程度のラインの診療は自費になるという仕組みをとっているところもあります。10歳の子供は国が治療をバックアップするが、80歳の人は自分のお金でやってくださいという切捨て措置です。
・福祉が非常に充実していることで有名な北欧等は医療費も完全無料というシステムをとっているところがあります。そのかわり収入の70%は税金でもっていかれるような税制になっています。
イギリスも公的保険制度(NHS)が整っていたのですが、サッチャー時代にあまりに医療費を切り詰めたために、崩壊しました。現在立て直し中です(確か昨年ぐらいから予算を一気に1.5倍まで増やしています)。
崩壊した結果どうなったかと言うと、虫歯は自分で抜歯とか日本人からみれば笑い話ですが(ただし日本も着実にその後を追っています)。
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health …
・「下手をすると訴えられる、これはどこの国の産科医師でも同じ」
欧米でも医療制度に矛盾が無いわけではありません。幾らでもアラ探しはできます。ただし法制度が根本から異なるしその他の事情もあるので一概に比較することが難しいです。また民事と刑事でその性質が大きく分かれます。
「アメリカで医療事故を理由に刑事訴追されることは非常に稀で、明らかに加害の意志があった場合などに限られる」
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/0 …
ただしアメリカでも刑事免責ではないです。刑事になるような例としては下記サイトのコメント欄の方で解説されています。
http://blogs.yahoo.co.jp/momohan_1/27214306.html
アメリカは当然民事訴訟も活発ですが、元々訴訟大国ですから備えも万全です。保険や弁護士の制度が充実しているため。ただそのかわりその費用が医療費用によって賄われていることになるので、医師側の給料も大部分が保険に消え、一方患者側にしてみれば、個人破産の理由としてのトップが医療費になってしまっています。
出産で150万(日本は30-40万。皇室・芸能人が利用するような病院で100万)。
http://www.urban.ne.jp/home/haruki3/america.html
盲腸なら200万(日本なら20-30万程度)。
http://web.aiu.co.jp/ota/mocho.htm
※ちなみに政府のスタッフ(しかも補佐官クラスの中核の人)が自身の癌治療費が払えなくなるから辞めそうになったという事例すらあります。
またその保険の負担に耐えかねて、医師が逃げ出す事例もあります。確かネバタ州は一時的ですが産科医が0になったことすらあるそうです。
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2002dir/n24 …
医師以外のスタッフも含めてその数は極端に多いです。というか日本が極端に少ないです。アメリカと比較するとベット当たりの医師・看護士数は日本の5倍です。ただこれは元々アメリカではベットが少ない(値段の比較したサイトにもありますが入院期間が極端に短い)という事情もあります。
一人の医師が出産こなせる件数の目安としては、アメリカでは一人年間120件というような目安があり、それを越える場合は保険会社が適用を拒否します。一方日本では産科医で一人300件とかザラです。
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20071025
救急もスタッフは当然日本よりは充実していますが、やはりシステムが根本から異なるため単純に比較できるものでもありません。アメリカのERはあらゆる患者を受け入れてその場で処理するため、そもそもたらい回しがありえません。http://www.geocities.jp/machi0822jp/nandemo4.htm
一方日本では専門医レベルでないと結果が悪ければ賠償なので、(研修医が主力となる)この制度をそのまま導入できません。
http://power123.blog95.fc2.com/blog-entry-3.html
※ちなみに関西で所謂たらい回し事件が続いたのはこの判決の影響が大きいのではと指摘されています。上の「日本型救急と北米型ERの違い」の日本でも導入されつつある?という話は、この事件以前の話です。
再度のお答え、有難うございました。
色々な解説を伺って、医師不足の問題は、最終的には国がどれだけの予算を医療行政に投入するかで決まるように思いました。
先進国の中で日本の医療関連予算は最低レベルなんでしょうね。
日本の「国民皆保険」は世界に誇れる制度なんでしょうが、安いのをいい事にバンバン好きなだけ使い、その結果、国の予算を圧迫し、結局、医療予算が抑えられて、医師の激務につながる ・・ こんな形になっているんでしょうか。
そうだとすれば、「使い放題」になってしまう今の国民皆保険のあり方を見直す必要がある事になりますね。 ただそんな意見を少しでも言うと、すぐに「弱者切捨て!」とかの反論が出るでしょうが ・・
No.15
- 回答日時:
No.11の内科医です。
>欧米の産科医師や救急病院の医師について
欧米、特に北米では日本のようにフリーアクセス(患者がいつでもどこでにでも自由に受診ができる)制度はありません。かならず家庭医(きめる義務があります)を受診(当然ですが要予約)して、専門医の診察が必要と判断されたら、紹介状を書いてもらい、専門医の予約をとります。そこで初めて専門医を受診することができます。すべて予約制なので、一人の診察時間は30分と決めてしまえば、1日に15人程度の診察です。それでも日本より高収入になるように診療報酬が設定されています。
アメリカでは病院によっても異なりますが、医療費の中の手術代は麻酔費用と手術の手技料で、これは麻酔科医と外科医での折半になります。そこから、手術室使用代など(いわゆるショバ代)を病院払って、秘書などのスタッフの給料を払って、残りが外科医の報酬になります。さらに病院との契約料(基本給)も入ります。
また勤務シフトがきちんと組まれていて、例え担当患者さんが急変したりお亡くなりになっても主治医は呼ばれません。すべて夜勤担当が対応します。主治医は翌朝のミーティングではじめて知ることになります。日本では違和感を感じるかもしれませんが、看護師さんたちは同様のシフト制(看護協会により義務付けられている)なので、担当の患者さんがお亡くなりになっても知るのは次の出勤の時だそうです。
救急ですが、欧米には、Emergency Room(救急室)あるいは、Walk-in clinic(夜間診療室、日本での医師会の休日診療所に近い)がありますが、数時間待ちは当然です。また診てもらっても、専門医の予約をとってくれるだけの場合もあります。それでも日本のように「もう30分もまってるゾ」という声が上がる事はありません。みんなじっと我慢しています。その代わりに待っていればいつかは必ず対応してくれます。また看護師などが症状を確認し、緊急性の有無を適宜判断しているので、重傷者が待たされることは少なくなるようにはなっています。
このシステムは医療従事者にはとてもよいシステムなのですが、実際には家庭医が見つからない(予約が一杯で受け入れてもらえない)人も多くなってきているようです。また手術が数ヶ月待ちということもあるようです。また完全自由診療で支払いに応じて、待ち時間が軽減されるような病院もあるようです。そのため多くの患者さんは「風邪」や「腰痛」などは市販薬を飲んで様子を見ることが多いようです。
日本だけが医療での問題を抱えているわけではありません。一昔前は「日本の医療システムは最も優れている」と言われていました。実際には医師の使命感と患者さんの医師への信頼で成り立っていました。
また近年、医師・看護師個人に対する刑事告訴が増えていますが、医療における訴訟で刑事責任が問われるのは日本だけでしょう。これの原因の一端には、公立病院が医療ミスをした医師・看護師を簡単に懲戒免職など処罰することもあります。そうすると警察が刑事事件として動きやすくなります。
私は患者側の権利主張を否定するつもりもありません(自分も患者ないしは患者家族ですので)。限られた医師を有効活用するために医師以外のスタッフの拡充と業務の分担(権限の緩和)、専門医へのフリーアクセスを制限しての開業医の有効活用が、最も有効な手段ではないかと思います。
また訴訟に対しては明らかな故意以外は刑事罰は無くし、その代わりに、たとえ病院の責任が認められなくても患者・遺族に給付金が出るようなシステムを作るべきでしょうね。
この回答への補足
多くの方からご意見を頂き、この場を借りてお礼申し上げます。
日米の医療現場の実態をかいま見たような気がしています。
あまり長く掲載すると迷惑になりますので、この辺で締め切りたいと思います。
本来はポイントをお贈りしなければいけないのですが、特定の方にお贈りすると、他の回答者の方々にかえって失礼になると思い、このまま締め切らさせて頂きます。 ご理解の程、お願いします。 有難うございました。
再度のお答えを頂き、有難うございました。
アメリカの医療現場の姿を教えて頂いて、とても勉強になりました。
日本とアメリカ、どちらが良いのか難しいですね。
医師側からすれば当然アメリカ型の方を選択するでしょうし、患者側からすれば今の日本の国民皆保険に保護された立場を守りたいでしょうし。
今回の質問を通じて、診療科目に関係なく日本の医師の総数が不足しているのも理解できましたし、アメリカの現状もある程度は理解できたと感じています。 どの国も「完璧」な制度を目指しているとは思うのですが、やはりどこかに歪みが出ていますね。
ただ患者側として痛感したのは、国民皆保険制度を逆手にとって、実に些細な症状でもすぐに医師の診療を受けるというのは考え直す必要があるなあと思いました。
廻り回って結局それが我々の医療環境を悪化するわけですから。
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