民保法4条1項に「・・・担保を立てるべきことを命じた裁判所又は保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所・・・」とあります。
1. 「又は」がどのように掛かるかによって色々な読み方ができると思いますが、次のように考えて いいでしょうか?
「・・・(担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供 託所)又は(保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所)・・・」
2. 上記の読み方で良いとすれば、前の( )書きだけでよく、後の( )書きは不要に思えます。なぜ なら、後の( )の保全執行裁判所の場合も、担保を立てることを命じた時のみ、どこに供託するか の問題が生じると思うからです。
なにか考え方が間違っているでしょうか?
3. 条文には度々「又は」が出てきますが、上記のように「又は」がその前後の文のどこまで掛かるか 解りにくいことがよくあります。
何か読み方の決まりがあるのでしょうか?(念のため、「又は」と「若しくは」の使い方の違いに関 する質問ではありません。)
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
>次のように考えていいでしょうか?「・・・(担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所)又は(保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所)・・・」
そのとおりです。
>上記の読み方で良いとすれば、前の( )書きだけでよく、後の( )書きは不要に思えます。なぜなら、後の( )の保全執行裁判所の場合も、担保を立てることを命じた時のみ、どこに供託するかの問題が生じると思うからです。
立担保を命じた裁判所と保全執行裁判所は同じと限りません。例えば「X(住所 東京都北区)がY(住所 東京都千代田区)に500万円を貸したところ、Yが一向に返済しないので、XがYを相手取り東京地方裁判所に貸金返還請求訴訟を提起するとともに、Yの店舗(住所 さいたま市浦和区)に置かれているY所有の宝石を仮差し押さえすべく、本案の裁判所である東京地方裁判所に仮差押命令の申立をしたところ、50万円の立担保を条件に動産の仮差押命令を発令することになった。」という事例の場合、立担保を命じた裁判所は東京地方裁判所ですが、保全執行裁判所は、さいたま地方裁判所になります。仮差押えの執行は、さいたま地方裁判所所属の執行官が行うからです。
そうは言っても、Xは東京法務局に供託するでしょう。なぜなら、「東京地方裁判所に申立をし、即日、裁判官と面談し、即日、法務局で供託し、即日、供託書正本を東京地方裁判所に提示して、仮差押命令を発令してもらう。」という流れですと、東京法務局で供託した方が、移動の手間暇と時間が節約できるからです。
これだと、民保法4条1項のメリットが感じられないので、次のように事実関係を追加します。
「動産仮差押命令が発令されたので、Xは、さいたま地方裁判所所属の執行官に対して動産の仮差押えの執行の申立をし、執行官は、Yの店舗にて、Yの宝石の仮差押えの執行をした。これに対して、Yが東京地方裁判所に保全異議の申立をしたところ、東京地方裁判所は、一週間以内に、Xが50万円の追加の立担保をすることを保全執行続行の条件とする決定をした。」
この場合、もちろん、Xは東京法務局で供託しても構いません。しかし、Xが東京法務局に行くより、さいたま地方法務局に行く方が近いという場合、どうせ、供託書正本は、さいたま地方裁判所所属の執行官に提出するのですから、さいたま地方法務局で供託した方が便利です。
このように民保法4条1項は、立担保を命じられた者の便宜を図る趣旨の規定ということが分かると思います。
民事保全法
(保全異議の申立て)
第二十六条 保全命令に対しては、債務者は、その命令を発した裁判所に保全異議を申し立てることができる。
(保全異議の申立てについての決定)
第三十二条 裁判所は、保全異議の申立てについての決定においては、保全命令を認可し、変更し、又は取り消さなければならない。
2 裁判所は、前項の決定において、相当と認める一定の期間内に債権者が担保を立てること又は第十四条第一項の規定による担保の額を増加した上、相当と認める一定の期間内に債権者がその増加額につき担保を立てることを保全執行の実施又は続行の条件とする旨を定めることができる。
3 裁判所は、第一項の規定による保全命令を取り消す決定について、債務者が担保を立てることを条件とすることができる。
4 第十六条本文及び第十七条の規定は、第一項の決定について準用する。
(追加担保を提供しないことによる保全執行の取消し)
第四十四条 第三十二条第二項(第三十八条第三項及び第四十一条第四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定により担保を立てることを保全執行の続行の条件とする旨の裁判があったときは、債権者は、第三十二条第二項の規定により定められた期間内に担保を立てたことを証する書面をその期間の末日から一週間以内に保全執行裁判所又は執行官に提出しなければならない。
2 債権者が前項の規定による書面の提出をしない場合において、債務者が同項の裁判の正本を提出したときは、保全執行裁判所又は執行官は、既にした執行処分を取り消さなければならない。
3 民事執行法第四十条第二項 の規定は、前項の規定により執行処分を取り消す場合について準用する。
buttonholeさんありがとうございます。私には全く考えが及びませんでした。
どこのどなたか判れば弟子にして頂きたいくらいですが、それは叶わないでしょうから、どんな本を読めばbuttonholeさんのような見識を得られるのかを、次の機会でいいですから書き添えて頂けたら・・・と思います。まあ、私が未熟すぎるための可能性が大きいですから、本を読むことで身に付くことではないのかもしれませんが・・・。
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