A 回答 (4件)
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No.1
- 回答日時:
低価法ってのは、決算時において棚卸資産に値段をつける方法のひとつだ。
知ってると思う、もうひとつは原価法だな。原価法は棚卸資産を入手したときの値段のまま帳簿に載せるイメージで、低価法は値段が下がったらその下がった値段で帳簿に載せるイメージだ。
このうち低価法は、やり方がさらにふたつに分かれる。
ひとつは洗替法で、これは入手したときの値段(取得価額)と今回の決算時の値段(時価)とを比べて安いほうを帳簿に載せるやり方だ。毎回このやり方でおこなうから、前回帳簿に載せた値段はいったんチャラにする。つまり、洗い替える。
もうひとつは切放し法で、これは前回の値段(帳簿価額)と今回の値段(時価)とを比べて安いほうを帳簿に載せるやり方だ。常に前回と比較するから、前々回以前は過去のものとして捨て置く。つまり、切り放す。
これで、疑問点が何となく解消できてこないかい。
低価法は常に安いほうの金額で帳簿に載せるのだから、「品質低下や陳腐化で棚卸評価をさげる」ことは低価法を使ってるからに他ならない。
ただ、低価法のやり方のうち、切放し法は法人税申告では使えなくなった。だから「品質低下や陳腐化で棚卸評価をさげる」場合でも切放し法は申告上使えず、洗替法でやるしかなくなった。前回の値段(帳簿価額)と比較するのではなく、毎回、入手したときの値段(取得価額)と比較するしかなくなったってこった。
No.2
- 回答日時:
企業会計制度は保守主義を重視した時価主義ですが、税務会計は取得原価主義で構成されています。
それは、税金という公的なものを計算するうえで、「評価」という基準のあいまいなものに委ねることを嫌ったためです。外部監査を受ける大企業ならともかく、中小零細企業がテキトーに評価することを認めたら、好き勝手な利益調整に使われてしまいます。それに、現実に売却や処分をすれば、その時に損益は発生するのですから、それで十分だとも考えられます。仮に、仕入10のものを期末評価で時価の7に落としたとします。それを翌期に8で売ったとしましょう。
切り離し低価法だと、今期3の棚卸低価評価損があり、翌期には、売却益1(8-7)が立ちます。
洗い替え低価法だと、今期3の棚卸低価評価損があり、翌期には、まず低価評価損戻入益3が立ち、棚卸価額を10に戻し、それが売れた時点で売却損2(8-10)が立ちます。結局翌期の損益は差し引き益1で、切り離しの場合と変わりません。
税法では取得原価を重視するので、商品単価の付け替えは原則認めないとしているだけで、長期不良在庫でない限り、損益に大した影響は出ません。
長期不良在庫のようなものについては、取得原価主義の例外として、著しい陳腐化の場合の評価損(強制評価減)の計上が認められています。これは棚卸の期末評価ではないので原価ではなく、特別損失として計上されるものです。
企業会計制度では価値(時価)が下がれば評価も下げる方向で会計制度が改正されてきていますが、これは株主に正しい財産状態の情報を提供するためです。税務会計では、あくまでも企業活動による損益に課税する観点から、企業活動と関係なく計上される評価損は原則として認めず、販売や処分したことによって結果として生じたものを損として認めることを原則としています。陳腐化の評価損というのは、あくまで著しく価値が減少した場合に限って処分前の評価損の計上を認めているということです。
No.3
- 回答日時:
企業会計制度は保守主義を重視した時価主義ですが、税務会計は取得原価主義で構成されています。
それは、税金という公的なものを計算するうえで、「評価」という基準のあいまいなものに委ねることを嫌ったためです。外部監査を受ける大企業ならともかく、中小零細企業がテキトーに評価することを認めたら、好き勝手な利益調整に使われてしまいます。それに、現実に売却や処分をすれば、その時に損益は発生するのですから、それで十分だとも考えられます。仮に、仕入10のものを期末評価で時価の7に落としたとします。それを翌期に8で売ったとしましょう。
切り離し低価法だと、今期3の棚卸低価評価損があり、翌期には、売却益1(8-7)が立ちます。
洗い替え低価法だと、今期3の棚卸低価評価損があり、翌期には、まず低価評価損戻入益3が立ち、棚卸価額を10に戻し、それが売れた時点で売却損2(8-10)が立ちます。結局翌期の損益は差し引き益1で、切り離しの場合と変わりません。
税法では取得原価を重視するので、商品単価の付け替えは原則認めないとしているだけで、長期不良在庫でない限り、損益に大した影響は出ません。
長期不良在庫のようなものについては、取得原価主義の例外として、著しい陳腐化の場合の評価損(強制評価減)の計上が認められています。これは棚卸の期末評価ではないので原価ではなく、特別損失として計上されるものです。
企業会計制度では価値(時価)が下がれば評価も下げる方向で会計制度が改正されてきていますが、これは株主に正しい財産状態の情報を提供するためです。税務会計では、あくまでも企業活動による損益に課税する観点から、企業活動と関係なく計上される評価損は原則として認めず、販売や処分したことによって結果として生じたものを損として認めることを原則としています。陳腐化の評価損というのは、あくまで著しく価値が減少した場合に限って処分前の評価損の計上を認めているということです。
No.4
- 回答日時:
もしかしたら疑問点を取り違えてたかもしれねぇ。
そう思えたので、少し追加するよ。平成18年に、低価法と品質低下・陳腐化評価損とは区別しがたい場合があるし区別する意味に乏しいということで、ぜんぶひっくるめて整理しちまえって話が簿記会計の側で出てきて、税務もこれに合わせて整理されたんだ。だから税務でも、品質低下・陳腐化は低価法にひっくるめて考えてしまえばいい。先の回答でいっしょくたにして話を進めていたのは、このためだ。
それから、品質低下や陳腐化が「著しい」ときは、取得価額と比較することなく時価まで切り下げていいことになってる。これは低価法ではないぜ。低価法は比較することが必要だからな。著しくなければ低価法だ。先の回答では、著しい場合について何も述べてなかったな。
なお、「比較することなく時価まで切り下げ」る方法は、簿記会計では強制評価減と呼ばれることもある。「強制」は文字どおりでそうしなければならないってことだ。ただ、税務では強制されず、品質低下等が著しくても時価まで切り下げるのは任意だ。
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