混乱してわからなくなったので教えてください。
宇宙空間に静止している宇宙船を考えます。
推進剤を燃焼させて一方向に単位時間当たり一定量・一定速度で放出させます。
(1)この場合宇宙船は一定の力を受けて「等加速度運動」をするのでしょうか? ただし、光速度よりはるかに小さい速度域で、かつ放出した物質の分の質量の減少は無視できるとします。
(2)「等加速度運動」である場合、2時間後の速度は、1時間後の速度の2倍になりますよね? 運動エネルギーは4倍になります。ですから点火から1時間後までに得た運動エネルギーを1とすると、1時間後から2時間後までに得た運動エネルギーは3になりますよね?
(3)消費する推進剤(のエネルギー)は時間当たりで一定という前提なのに、なぜ得られる運動エネルギーでは1になったり3になったりするのでしょうか? なにか勘違いをしていると思いますが、自分ではわかりません。
No.1
- 回答日時:
(1)は、その前提が正しければ確かに「等加速度運動」になります。
ただし、
> 放出した物質の分の質量の減少は無視できる
この前提は難しいです。
推進剤を放出することによる速度の上昇は、「運動量保存の法則」で求まります。
つまり、放出した質量と宇宙船本体の質量比で、放出後の推進剤の速度と宇宙船自身の速度が決まりますから、
「放出した物質の分の質量の減少は無視できる」とすると、すなわち、
「放出した物質の質量は宇宙船自身の質量と比べると無視できる」わけですから、逆に「宇宙船自身の加速度は無視できて、推進剤だけが後方に飛んでいく」ことになります。」
それを考えると、(2)の「1と3で三倍」にはなりませんが、
(3)については、確かに、速度0からの加速よりも、速度が上がってからの加速の方が、同じ噴射でも得られる運動エネルギーが大きくなります。
それは、噴射した推進剤の得る「運動エネルギー」を忘れてるからです。
例えば静止している状況で噴射すると、宇宙船本体はほとんど速度は変わりませんが、推進剤は高速で後方に噴射されています。
一方、加速後の宇宙船の速度はほとんど0ですから、双方の運動エネルギーを考えると、燃焼によるエネルギーはほとんどすべて推進剤の運動エネルギーになってしまっています。
一方、噴射速度と同じ速度で宇宙船が進行している場合を考えます。
このとき、噴射後の推進剤は速度0になるので運動エネルギーは0になります。
つまり、燃焼のエネルギーを全て宇宙船の運動エネルギーに変換できているのです。
この回答への補足
こんにちは。
>>放出した物質の分の質量の減少は無視できる
>この前提は難しいです。
運動量保存の法則、昔高校物理で習ったのを思い出しました! たしかに質量が無に等しい物質を噴射してもその反作用は期待できませんね。納得。
>それは、噴射した推進剤の得る「運動エネルギー」を忘れてるからです。
噴射後も放出された推進剤が運動をする限り、噴射のエネルギー全部が船体の運動エネルギーに変換されるわけではない、
しかも、船体の運動エネルギーに変換される割合も加速当初とある程度加速してからでは違う(後者の方が効率がいい)ということですね?
つまり「船体を押す力も経時的に変化する」という理解でよいですか?
>一方、噴射速度と同じ速度で宇宙船が進行している場合を考えます。
>このとき、噴射後の推進剤は速度0になるので運動エネルギーは0になります。
そのまま噴射を続ければ、船体の速度は噴射速度を超えますか?
超えた場合、推進剤は船体の後を追うような運動をするのでしょうか? その分、船体につたわる運動エネルギーは目減りしますか?
立て続けに質問すみません。お暇ならお付き合いください。
No.2
- 回答日時:
エネルギーの大半は、放出された推進剤が持って逃げているからです。
簡単な場合を考えます。静止していた物体が質量Mとm(M>>m)の二つの部分に分裂したとしましょう。分裂後の速度をVとvとします。運動量保存から MV + mv = 0 です。運動エネルギーの比をとると、MV^2/mv^2 = -V/v = -m/M <<1です。
No.5
- 回答日時:
こんにちは。
1.
まず、
「放出した物質の分の質量の減少は無視できるとします。」という前提についてですが、
推進剤を弾丸(質量m)であるとし、1秒当たり1発ずつ発射するとします。
このとき、宇宙船の質量Mは、mより十分大きいとすれば、
近似的に、前提は成り立ちます。
ここまでは、いいです。
2.
上記の近似が成り立つとすると、それは、もはや、地上を走っているクルマと同じ話になります。
摩擦などの要因を排除し、ハンドルを真っ直ぐ構えるとすれば、
アクセルを一定に踏むとき、クルマは等加速度直線運動をします。
そして、やはり、
時間当たりのガソリン消費量は一定なのに、運動エネルギーは、
1→4→9→16→・・・・・
となり、差分は、
3→5→7→・・・・・
となります。
「だから、同じガソリン消費率でも、加速の度合いは変わる」
ということになると思われるかもしれませんが、
それは違います。
等速直線運動をしている限りは、クルマであれ、宇宙船であれ、
単純な慣性系として考えることができます。
ところが、加速度のある運動を考えるとき、速度が変わるごとに「新しい慣性系」になる、
という都合のよい考え方をすることはできません。
運動エネルギーを考えるときは、あくまでも、
ある慣性系から見たときの、ある時点の速度・運動エネルギーを基準として、
絶対座標で考えなくてはいけないのです。
以上、参考になりましたら。
No.6
- 回答日時:
#2、3です。
>時間とともに V , v も変化するので、それも考慮にいれるとどうなるのでしょう?
M>>mである限り、何も変わりません。#2、3の式は、ある時間間隔における平均的挙動を表していると思えばよいと思います。
M>>mが成り立たなくなった時刻においても、放出された推進剤が持って逃げるエネルギーを考慮しなければならないということに変わりはありません。
なお、質問者さんが仮定しておられる二つの条件
>推進剤を燃焼させて一方向に単位時間当たり一定量・一定速度で放出させます。
と
>消費する推進剤(のエネルギー)は時間当たりで一定という前提
は一般には両立しないと思います。(計算で確認はしていませんが。)
No.7
- 回答日時:
No.4です。
燃焼によって放出されたガスの質量と速度が一定であれば、力は一定となります。
ご質問は、燃焼エネルギーと力の関係についてでしょうか。燃焼エネルギーがすべて宇宙船の運動エネルギーになるとは思いませんが、このあたりは専門家に聞いて下さい。
No.8
- 回答日時:
#6の後半「なお」以下は間違いですね。
(推進剤の「一定速度」を宇宙船に対するものとすると。)取り消します。すみませんでした。次のようになるようですが、またどこか間違えていたらご指摘ください。
時刻 t での宇宙船の質量を M = M0 - m t、その速度を V、放出される推進剤の速度を V - u とすると、
d(M V)/dt + m(V - u) = 0
これより
dV/dt = (m/M)u
積分して
V(t) = u ln(M0/M)
M0 >> mt の場合は
V(t) ≒ (m/M0) u t
で等加速度運動。
運動エネルギーの増加率は
dE/dt =d(M V^2 /2)/dt + m (V - u)^2/2
=m u^2/2
で一定。
No.9
- 回答日時:
こんばんは。
あなたが出された問題を私なりに考えてみました。その結果を書きましょう。
t秒~t+Δt秒の間の、エネルギーの変化を式で書くと、次のようになるはずです。
(t秒後の宇宙船の運動エネルギー)
+(t秒~t+Δt秒の間のΔt秒間の燃焼により発生するエネルギー)
=(t+Δt秒後の宇宙船の運動エネルギー)
+(そのΔt秒間の燃焼により噴射されるガスの運動エネルギー) …(1)
ただし、ここでは燃焼で発生する熱エネルギーはすべて、
宇宙船の運動エネルギーと噴射されるガスの運動エネルギーとに、
転化すると仮定しています。
実際には他のエネルギーにも転化しているでしょうが
(例えば、宇宙船の加熱や光や振動など)、
問題を簡単にするためにこの仮定をします。
あなたの推論の(3)で矛盾が生じた第1の原因は、
上の式の(そのΔt秒間の燃焼により噴射されるガスの運動エネルギー)の項を
忘れていることです。
エネルギーに関するあなたの考えを式で表すと、
(t秒後の宇宙船の運動エネルギー)
+(t秒~t+Δt秒の間のΔt秒間の燃焼により発生するエネルギー)
=(t+Δt秒後の宇宙船の運動エネルギー)
ということに、なると思います。これは間違いであり、正しいのは(1)の式です。
このことは、ANo1さんや、ANo2さんが指摘されていることです。
No.10
- 回答日時:
No9に続けて書きます。
次にあなたの問題を数式で表して見ましょう。
宇宙船が一定値a[kg/s]の割合で燃料を消費しながら進むとします。
またその燃料の燃焼により1秒間に発生するエネルギーをb[J/s]とします。
bも定数です。静止している宇宙船が動き出す時刻を0秒とします。
その0秒の時の宇宙船の質量をM0[kg]とし、t秒後の宇宙船の質量をM(t)[kg]とします。
M(t)=M0-at です。
また、宇宙船が動き出してからt秒後の速度をV(t)[m/s]とし、
時刻t~Δt秒に噴出される、aΔt[kg]のガスの速度
(宇宙船の速度と同じ座標系から見たもの)をv(t)[m/s]とします。
さて、ANo9の(1)の関係を式にすると、次のようになります。
1/2M(t)V(t)^2+bΔt=1/2{M(t)-aΔt}(V(t)+ΔV)^2+1/2aΔt{v(t)}^2…(2)
また、このΔt秒間の噴射において、全運動量が保存しますから、それを式にすると、
M(t)V(t)={M(t)-aΔt}(V(t)+ΔV)+2aΔtv(t)…(3)
この(2)を変形し、Δt→0 の極限を考えると、
M(t)dV(t)/dt=a(V(t)-v(t))…(4) が導けます。
(3)も変形し、Δt→0 の極限を考えると、
2M(t)V(t)dV(t)/dt=a(V(t)-v(t))(V(t)+v(t))+2b…(5)
が導けます。これに(3)を代入し、いくらか変形すると、
dV(t)/dt=√(ab)/M(t)
M(t)=M0-at を代入すると、上の式は簡単に積分できます。
さらに、t=0の時V=0を使うと、
V(t)=√(2b/a)ln(M0/(M0-at))
という解を得ることができます。
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