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エントロピーと不可逆変化について
いま学校の物理でエントロピーについて勉強しているんですが、
問題集の中に解き方がわからない問題があって困ってます。
その問題がこれです。

問題:熱容量Ca,温度Taの物体Aと熱容量Cb,温度Tbの物体Bとを接触させて熱平衡状態にした。
   Ta>Tbとし、また外部との間に熱の出入りはないとする。
(1)接触後の熱平衡状態の温度Tfを求めよ。
(2)この過程における物体AとBのエントロピー変化を、それぞれ求めよ。
(3)この過程において全系のエントロピーは増加していることを証明せよ。
  ここでは、Ca=Cb=Cとしてよい。  

教科書や参考書を見てもいまいち解き方がわからないので、解き方と答えを教えてほしいです。
よろしくお願いします。

A 回答 (3件)

#1、#2です。



この問題を扱っている本をいくつか紹介します。

大学演習「熱学・統計力学」
原島鮮「熱力学・統計力学」
小出昭一郎「熱学」、「エントロピー」
山本義隆「エントロピー」
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#1です。



#1でこの問題はエントロピーを理解する上での基本問題だと書きました。
熱力学の最初に出てくる重要なステップだと思います。
でも必ずしもすべての本で扱われているわけではありません。
「温度差のあるところで熱が移動するという不可逆過程を考えることによってエントロピーとはどういう量であるかを理解するためのもの」のはずですが違った扱い方をしているものがあります。

その代表は 
移動した熱量をQ、温度をT1,T2 (T1>T2)とした時のエントロピー変化を
△S=Q/T2-Q/T1
とするものです。
よく見る表現です。

この表現が書かれているい本ではご質問の問題は出てきません。
私はこれは誤りだと思っています。
少なくとも熱力学の入り口でエントロピーとはどういうものであるかを理解しようとしているときに出す式ではないと考えています。
戸田盛和「熱・統計力学」でもフェルミ「熱力学」でも出てきます。ファインマンの本でも出てきます。ネットでよく引用されるE-manの物理でも出てきます。
これは平衡状態の熱力学の範囲から外れているものです。
非平衡状態の熱力学で出てくる式です。かなりの説明と補足がなければ使うことができない式のはずです。

熱力学が分かりにくい、特にエントロピーが分かりにくいとよく言われます。
熱力学の教科書にもそう書かれています。「この本ではその点に考慮して分かりやすくなるように努めた」という文章も書かれています。
でも1つも分かりやすくなっていません。
E-manにしても分かりやすい熱力学を書いているつもりでこの式を使っているのです。
この式を使えば分からなくなってしまうとは考えていないのです。

分かりにくくなっている理由の一つが上に書いたことではないかと思っています。
平衡状態の熱力学の理論を展開している文章の中に非平衡状態の熱力学的な表現とか解釈が紛れ込んでしまっているということです。その気になって見てみるといたるところに平衡状態の熱力学では言うことのできない表現が見つかります。
意図的に紛れ込ませていると主張している本もあるようです。非平衡状態への繋がりを意識しているというのがその理由のようです。

熱力学の入り口にいる学生にそういう内容の本を見せても混乱するだけでしょう。





 
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エントロピーが不可逆変化を表す量であるということを確かめる基本問題です。


第二法則は不可逆変化の存在を認めて出発します。
その不可逆変化の代表は
(I)圧力差があれば物質の移動が起こる、
(II)温度差があれば熱の移動が起こる
の2つです。

どの本でも扱っている(はずの)問題です。
エントロピーを理解するための基本的なステップだと思います。
エントロピーという量のからくりもこの中に詰まっています。
(A)エントロピーは平衡状態で定義されています。
(B)不可逆変化を表す指標になります。
いくつかの本では(A)が重要なのだから(B)には深入りしないという立場をとっています。
そういう本の中では(I)、(II)をきちんと扱っていない場合があります。

問題
(1)これは高校レベルです。温度の異なる水を混ぜたときという問題と変わりません。
熱量が保存されるという性質を使えば出てきます。
AからBに熱が移動します。Aの温度が下がり、Bの温度は上がります。
Ca(Ta-Tf)=Cb(Tf-Tb)
Tf=(CaTa+CbTb)/(Ca+Cb)

(2)(1)の変化は不可逆変化です。途中の状態は非平衡状態です。
エントロピーは平衡状態で定義されている量です。変化する前の状態と不可逆変化で行きついた先の平衡状態で定義されます。それが状態量であるということです。2つの平衡状態でのエントロピーの差を求めるのはその2つの状態をつなぐ準静的な変化を想定して行います。準静的な変化というのは平衡状態をつないだような変化ですから変化の各段階で温度が決まります。エントロピーも決まります。
(△S)a=∫[Ta→Tf]CadT/T=Caln(Tf/Ta)
(△S)b=∫[Tb→Tf]CbdT/T=Cbln(Tf/Tb)

(3)△S=(△S)a+(△S)b
     =(Ca+Cb)lnTf-CalnTa-CblnTb
(1)で求めたTfを入れると△S>0が成り立ちます。
これは対数関数が上に凸であるということから出てきます。
Ca=Cb=Cとすると分かりやすくなります。

A、Bを合わせた全体は断熱系です。
断熱系の内部で不可逆的に熱の移動が起これば全体のエントロピーは増えるという結果が出てきます。

エントロピーは状態量であるというのがしつこく強調されていたはずです。
状態が決まればエントロピーが決まります。
その状態を実現する変化が可逆変化であるか不可逆変化であるかには関係がありません。
可逆変化であればエントロピーは増えることも減ることもできます。その変化を実現するような準静的な過程を考えればいいのです。熱が入ってくる場合も出て行く場合もあります。
閉じた系の中で不可逆変化が起こればエントロピーは増えるだけです。


エントロピーの定義 dS=δQ/T は平衡状態でのものです。したがってδQは準静的な変化に伴って出入りする熱量です。
△S≧q/Tと書かれる時の熱量qは実際に起こった変化で移動した熱量です。
(今の問題で言えば断熱ですからq=0です。)
左辺の△Sは準静的な変化で評価します。実際に起こった変化が不可逆変化を含んでいれば不等号が成り立つという主張です。
熱量が二重構造になっています。
これが分かりにくいところだと思います。
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