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高校古典の現代語訳の問題の質問です。

女出で来て、「え出でおはせじ。 とどまり給へ」といふ。

え出でおはせじ。 を現代語訳するのですが、問題集の回答には「出てお行きになることはできないだろう。」と書いてありました。

この場合、おはす は補助動詞となり、「お出でになることはできないだろう。」となるのではないでしょうか??

どなたか教えてください!!

A 回答 (2件)

 こんばんは、「出づ」という動詞には幾つかの意味があります。


(1)内から外へ、奥から表へ(場所を移動して)姿を見せる。
(2)湧く
(3)生まれる
(4)音が発せられる
(5)籠っていた場所からでてくる、山籠もりしていた場所を下りる、世間に現れる
(6)出発する、発つ
(7)外出する、外に出る
(8)狭い場所から広い所に広がる
(9)帰る、退出する
(10)人前に立つ、公の場に立つ
(11)所属していた所から離れて縁を絶つ、出家する
(12)超越する
 ここまでが自動詞ダ行下二段活用としての「出づ」の語釈です。
一方の他動詞ダ行下二段活用としての「出づ」には
(13)あらわす
(14)生み出す
(15)外に連れ出す、外出させる
との意味があります。

 この「出づ」は元々、その存在が初めから全く見えなかったものが、外から見えるようになる、現れるとの意味から発した言葉です。
 そして、この動詞「出づ」と「おはす」の関係になりますが、「おはす」にもサ変自動詞としての使い方(敬語動詞)と質問者様が仰る補助動詞としての使い方の二種類があります。
 先ずは「敬語動詞としての使い方」からお話しします。
「おは・す」は「おはします」と共に「御座す」「御座します」として、「有り」「居り」「行く」「来(く)」の尊敬語です。現代語の「いらっしゃる」「おいでになる」などに当たります。つまり「そこに居る」「そこに行く」「そこからここに来る」との意味と同じです。
 では一方の「補助動詞としての使い方」はどうでしょう
この場合も「尊敬の意を添える」形になり、現代語の「…でいらっしゃる」「お…になる」に相当します。この使い方は『源氏物語』の「若菜 下」にある「世にかしこくおはする人にも………」や『徒然草』の104段にある「或人、とぶらひ給はんとて、夕月夜の覚束なきほどに、忍びて尋ねおはしたるに………」と同じです。
 
 この「え出でおはせじ」に続く「とどまり給へ」およびこの一文の前後にあるシチュエーションを踏まえて訳すことが必要となりますので、その部分にも目を向けてみてください。
 その女性が男に対し「ああ、行かないで下さい」と頼んでいる状況ですから、男は女の許を去ろうとしていると理解するなら、僕は女の切実な願いを受けての敬語動詞的な使い方と理解します。
 もし「お出でになることはできないだろう」としてしまいますと、向こうからこちらを訪ねてくることはないだろうとして、逆の意味になる可能性も多分にあります。
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この回答へのお礼

詳しく教えていただきありがとうございます!!

よく分りました!!

お礼日時:2014/04/28 20:45

ボケ防止のために、このジャンルに対して、たまには質問したり回答したりしている高齢者です。

質問者のお考えも、質問者が引用された問題集の回答も、よく考えられた質の高い内容だと思っております。「え~打ち消しを不可能と捉えている点」「助動詞じの意味を打ち消し推量と捉えている点」「おはせを尊敬の意味の補助動詞と捉えている点」は両者遜色なしと思います。違いはわずかに「出で」の意味の捉え方にあるのでしょうが、引用された文章だけではどんな場面か判断が私にはできません。
 もしも、身分の高い男性が身分の高い女性のもとに「妻問い」に訪れたと推測するならば、質問者の「(この場に女君が)お出てになることができないだろう」となるというお考えの方が、私は良いなと思います。
この拙い意見がより正しい答えを導く呼び水となることを期待しております。
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