No.2
- 回答日時:
裁判所が適法な申立(この場合は「自動車競売申立書」となりますが。
)があれば「自動車競売開始決定」と言う決定があります。(この点、ご質問のような「差押決定」と言うのはないです。)次に、裁判所が競売価格を決めるため評価しますが、その評価額と競売手続費用とを照らし合わせ、競売手続費用の方が評価額よりも高ければ、申立債権者に配当するお金はないわけで、そこから先の手続きは無駄なので、その競売開始決定は取消しされます。
以上が、1、の回答で、2、は、仮に、自動車の競売があり、その配当では全額回収できなかって場合だけ、次の財産の差押えは認められます。
実務では、債務名義に「奥書き」しますので、幾ら残っているかが一目瞭然とわかります。
なお、自動車の差押えと給与の差押えは、同時進行でかまわないようですが、債務名義は1つしかなく、それを提出するので、2つを同時にはできないです。(例外がないわけではないですが。)
この回答への補足
貴殿には何時もお世話になって感謝していますが、今一、何時も結論がないのいで素人には解りづらいところがあります。
(疑問)
1
結局、私の場合は、決定されるのですかね、されないのですかね・・
No.3
- 回答日時:
1について
自動車の競売は、不動産の競売と同じような手続で行われます。そのため、裁判所は、競売をしても、剰余を生じる見込みがない場合には、債権者に通知した上で、強制競売の手続を取り消すことになります。(民事執行法63条、民事執行規則97条)
ここでいう「剰余」とは、売却価格から執行費用を差し引いた額ということになります。予納金の額が基準になるのではありません。執行費用には、申立書に貼る印紙代、申立書に添付する自動車登録証の取得費用、自動車登録ファイルに差押の登録をする費用、債務者に競売開始決定を送達する郵便代、自動車の評価料、実際に売れた場合に執行官が受領する競売手数料などが含まれます。予納金は、それらの費用のおよその見込額(申立人が負担する印紙代などは除く。)ですので、10万円よりもやや少ない額が基準になります。
そして、自動車の査定額から決まる売却基準価額の2割引の金額(民事執行法60条3項)が、費用の見込額に達しない場合には、差押債権者に、どうしますか?というおたずねの通知が来て、何もしなければ、競売の手続が取り消されて、それまでに使われた費用は、全部無駄になるという、そういう仕組みになっています。
そこで、債権者としては、基本的に、執行裁判所に対して、自分ならいくらで買うという申出をして、その分の担保を積みます。そうすると、手続が続行されて、入札や競り売りが実施されます。そこで、入札がなかったり、申出額よりも低い入札しかなかった場合には、債権者が自分で申出額で入札したものとされて、債権者が自動車の買受人になる、という流れになります。
2について
債権者は、複数の強制執行の方法を併用することができます。それを禁止する法律はありません。しかし、そのためには、債務名義(判決など)の正本を複数取得する必要があります(民事執行法28条)。その際には、債権の完全な弁済を得るために債務名義が複数必要だという証拠を出さなければなりません。これは、現実的には難しいところがあります。
ですから、法律上は可能だけれども、実際上は困難だと思ってください。
実際は、まず自動車競売をやって、足りなければ、執行裁判所から債務名義を返してもらって、改め寝給与差押をする、という、順々にやる手順になります。
この回答への補足
非常に良くわかります。条項まで書いて頂いているんで安心です。
1
ということは、私が申出額を提示しなければ、今回の場合は余剰が無く裁判所は競売決定をしないってことですね。
結局、陸運局もらった自動車登録証であらかじめ自分で査定してから裁判所に申し出るべきですね。
2
この正本って、判決書であったり和解調書ですよね。これを添付して申し立てをした後、正本は返してくれないのでしょうか?
1通しかない大事なものなのに・・?
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
説明が不足していたので、補足します。
自動車競売の流れを説明しますと、申立書が出て、書面審査(申立書に必要事項が記載されているか、添付書類はそろっているか、債務名義が提出されているか。)をパスすると、自動車競売開始決定という決定がされます。この決定によって、自動車登録ファイルに、差押の登録がされ、債務者に対して、自動車を執行官に引き渡す命令がされます。ここで1つ、手続上の裁判がされるわけです。
その他にも、必要に応じて細々した裁判がされながら、手続が進みますが、その中に、評価命令という裁判がされます。この評価命令によって、自動車の査定がなされるわけです。そして、査定が出されると、執行裁判所は、査定を基にして、売却基準価額の決定という裁判をします。
この売却基準価額の決定の際、執行裁判所は、前の答えで触れた、執行費用の見込額を試算し、それと売却基準価額の2割引の金額を見比べて、剰余が出そうだとなると、売却実施命令という裁判をします。この売却実施命令を受けて、執行官が、自動車の入札や競り売りをするという流れになります。
他方、剰余が出そうにないということになると、執行裁判所は、債権者に、剰余がなさそうだという通知をします。この通知に対して、債権者が、通知を受けてから1週間以内に、買受額の申出をして、担保を積まない限り、執行裁判所は、競売手続取消決定という裁判をして、競売の手続を打ち切る、という流れになるわけです。
競売の手続が、執行裁判所の裁判1個で決まるように考えるのは、法律の仕組みを正確に認識しているとはいえません。実際の手続は、このように、いくつもの裁判の積み重ねで進んでいくことになるわけです。
競売の手続が終わると、債権者の請求により債務名義は債権者に返還されます。ただし、債務名義の債権の全額が支払われた時は、債務名義は債務者に交付されます。配当まで行かずに競売の手続が終わった時は、債務名義には何も書かれませんが、競売で配当を受けた場合には、その配当額が債務名義に付記されて、強制執行によって、いついくらを回収したかが分かるようになっています。(民事執行規則62条)
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