
■肉球と毛の関係
肉球は動物と地面との接点であり、多くの肉食動物がもつ特徴である。まずは、肉球の役割と毛の関係について聞いてみた。
「パッド(肉球)自体からは被毛は生えていませんが、その隙間には毛が生えています。犬であればヨークシャテリアやアフガンハウンドなど、猫ならペルシャやラグドールなどの長毛種は、パッドが見えなくなるほど毛で覆われることがあります。これらの毛の役割は、雪や氷上での滑り止めや、冷たさからパッドを守るためですが、一般家庭のフローリングなどで飼われている場合、滑りやすくなります。立ち上がりの際に関節を痛めてしまうなどのデメリットもあるため、ペットの場合通常はカットされます」(倉西さん)
フローリングのようなつるつるとした床は自然界にはなかなか存在しないので、毛を切ってあげなければ不便なのだ。
■なぜ肉球が毛に覆われていないのか
寒さ対策なのであれば、肉球からも少しは毛が生えていた方がよいのではないか? なぜ毛が生えないのだろう?
「犬や猫のパッドは、“走る”“狩る”ために大変重要な役割を担っています。パッド自体には毛根がないため、まさに人間で言うところの手のひらと同じです。突き詰めていけば、手のひらもパッドもルーツは同じでしょう。人間も緊張すると手に汗をかきますが、“生き抜くため”または“戦う”など、平穏を脅かされたときにかくものです。例えば、猫が敵から逃げ高い木に登るときなどは、緊張しパッドに汗をかき、それが滑り止めの役割を果たします。人が木登りするときに唾をぺっぺっと手につけるのと同じですね」(倉西さん)
なるほど、野生で生き抜くための進化の過程を経てきた結果だったのだ。
■肉球の色で健康状態が分かる
肉球の手触りだけでなく、色が好きという人もいるだろう。しかし、その色にも注意してほしいと倉西さんは訴える。
「肉球の色にもご注意を。普段ピンク色だったものが白っぽくなっていたら、心筋症や血栓症などで足先まで血が通ってない可能性があります。パッドは何かと健康のバロメーターにもなっています。ただし、足の裏は急所でもありますので、人に慣れてないペットのパッドをむやみに触るようなことは避けましょう」(倉西さん)
肌の露出が少ない猫や犬にとっては、健康状態を知らせる信号となるわけだ。触るときは確認しておきたい。
■緊張で肉球から汗が出る
危機を察知し、緊張した結果パッドに汗をかき、それが滑り止めの役割を果たすことを先に紹介したが、安全な家の中で飼われているはずのペットが汗をかいている場合は注意してほしいと倉西さんは言う。
「猫や犬はパッドにしか汗腺をもちませんので、もしフローリングなどに汗で足跡がついたなら、それは来客などを警戒しストレスを感じているということかもしれません。そういったことを発見したならば、そのペットへは再度十分なケアを心がけましょう」(倉西さん)
猫や犬は、汗とは無縁と思っていた人も、これからは注意してほしい。
こうして今回、肉球を取り上げてみたが、肉球からわかることが沢山あると気づかされたのではないか。ペットを飼っている皆さんは肉球で健康管理もできるので、定期的に肉球をチェックしてあげよう。ただし、人に慣れてないペットの肉球をむやみに触るようなことは避けた方がよいので、くれぐれも注意しよう。心配なときは獣医さんに相談することをおすすめする。
「教えて!goo」では、「猫好きなみなさんは、猫のどんな所が好きですか?」ということでみなさんの回答を紹介中だ。
●資料提供者プロフィール:ペットシッターSOS
1997年に「ペットシッター」の商標登録を行い、プロのペットシッターとしての専門の研修、養成期間を経て、全国で初めてペットシッター専門のフランチャイズを展開している。フランチャイズ全店が動物取扱業登録店であり、国内唯一の正規資格「認定ペットシッター資格」を有している。