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統計力学を復習しているのですが疑問があります。カノニカル分布は熱浴中の(透熱で物質を通さない)系について考えるのですが、熱浴を温度一定の孤立系と考えるとします。このとき、熱浴は孤立系なのでミクロカノニカル分布が適用されることになります。
(1)それなら、カノニカル分布はミクロカノニカル分布の一部と考えてよいのでしょうか。(平衡状態なら熱浴の温度はどこも一定になるので)
(2)またミクロカノニカル分布はエネルギー一定のアンサンブル平均を考えていますが、それならカノニカル分布は時間平均を考えることになるのでしょうか。
(3)カノニカル分布は熱浴に比べて十分小さいと考えています。でも平衡状態なら、カロニカル分布で求めた物理量は系のどこでもおんなじになります。それならカロニカル分布は系のいたるところで成立しているから、系全体にカロニカル分布を適用できないのでしょうか。

解説よろしくお願いします。

A 回答 (12件中1~10件)

こんばんは。

興味の領域が近いのかよく出会います。
答えになるか分りませんが、統計力学のカノニカル分布の
構成の仕方としては以下のようになると思います。

1.孤立系のHamiltonianH=H(q,p)を仮定しエネルギー等重率の仮定より
確率密度関数をρ=δ(E-H(q,p))/Ωとおく。
これがミクロカノニカル分布。

2.上記孤立系を2つ接触した系を考える。
2つの系で粒子の移動はないが、相互作用はあるとし、
H=H1(q1 p1)+H2(q2 p2)+V12とする。
ここでH1 H2は系1 2それぞれのHamilitonianでV12は系12の相互作用。
ただし、V12は系全体にくらべて無視できるほど十分小さい。
といいながら系1、2が双方平衡状態にいたる役目ははたす。
(ここら辺りが統計力学の理論的に苦しい、しかし面白いところ。)

この2系合成系はミクロカノニカルなので

ρ=δ(E-H1(q1,p1)-H2(q2 p2))/Ωとかける。
*ここでV12は小さいといって無視する。(よく考えると変だけど。)
この上で、系2を十分に巨大と考え(つまり熱欲)系2の自由度について
積分を実行して1についてのみの確率密度を出したものが、よくみる
ρ=exp{-H(q1 p1)/kT}/Z
で、カノ二カル分布の確率密度関数

つまり、カノニカル分布は2つのミクロカノニカル分布を相互作用を仮定した
上で片方を巨大化させて熱浴としています。つまり、熱浴は孤立系ではないです。
また、アンサンブル平均をとる時間平均をとるというのは、ミクロカノニカルとかカノニカルとか言う話ではなく、統計力学は両者が一致するという前提の上に成り立っています。なので、ミクロカノニカルだからアンサンブル平均とかカノニカルだから時間平均とか言う話ではありません。

つまりミクロカノニカルではエネルギー一定のアンサンブル平均を
考えたように、カノニカル分布では温度一定のアンサンブル平均を
考えることになります。そしてそれらが時間平均と一致するというのがエルゴード仮説です。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。PAM123さんにはいつもお世話になっています。
「つまり、カノニカル分布は2つのミクロカノニカル分布を相互作用を仮定した上で片方を巨大化させて熱浴としています。」とは知りませんでした。
ということはカロニカル分布はミクロカロニカル分布の部分系と考えてもよさそうですね。

「つまりミクロカノニカルではエネルギー一定のアンサンブル平均を
考えたように、カノニカル分布では温度一定のアンサンブル平均を
考えることになります。」ですが、もちろんそのとうりですね。
ですがカロニカル分布は温度一定、エネルギーは揺らいでいて平均のエネルギーが系のエネルギーになると考えるということは

カロニカル分布は 温度についてはアンサンブル平均
         エネルギーについては時間平均

ミクロカロニカル分布は エネルギーについてはアンサンブル平均
            温度については時間平均
この二つはエルゴート仮説より一致する
と解釈はできませんか?結局両者は同じ物理量を与えるので、単にエルゴート仮説に沿った異なる平均のとり方をしているた考えたほうがすっきりするのですが。解説よろしくおねがいします。

お礼日時:2007/05/10 00:25

横から失礼します。



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カロニカル分布は 温度についてはアンサンブル平均
         エネルギーについては時間平均

ミクロカロニカル分布は エネルギーについてはアンサンブル平均
            温度については時間平均
この二つはエルゴート仮説より一致する
と解釈はできませんか?
--------------------------------------------------------

この部分は質問の意図が良く分からなかったですが、

「結局両者は同じ物理量を与えるので」

という点について細かいですが一つコメントしておきます。

既に回答に書いてある通り二つの統計集団は

 ・ミクロカノニカル → エネルギー一定、温度が揺らぐ
 ・カノニカル → 温度一定、エネルギーが揺らぐ

というものになっています。
従って熱力学極限をとれば揺らぎがほぼ零になり
どちらの統計集団も、エネルギー、温度共に一定値に確定することになります。
従ってこれら二つは熱力学極限においてのみ同値なものになります。

実際上は熱力学極限を考えるので
どちらの統計集団の考えで計算しても構わないわけですね。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。僕は
ミクロカノニカル → (前提)エネルギー一定、(結果)温度が揺らぐ
カノニカル → (前提)温度一定、(結果)エネルギーが揺らぐ
において逆に
ミクロカノニカル → (前提)温度が時間に揺らぐ(結果)エネルギー一定
カノニカル → (前提)エネルギーが時間に揺らぐ(結果)温度一定
を導出はできないかなってことです。どうなのでしょうか?御教授お願いします。

お礼日時:2007/05/11 02:23

-------------------------------


ミクロカノニカル → (前提)温度が時間に揺らぐ(結果)エネルギー一定
カノニカル → (前提)エネルギーが時間に揺らぐ(結果)温度一定
-------------------------------

揺らぎだけ与えておいて統計力学を定式化するということですか。
それはどうなんでしょうか・・良く分かりません。

ところでこれを言いたい理由は何でしょうか?ここからどのような議論をしたいのでしょうか?

この回答への補足

ところでハミルトン方程式を使わずにニュートン力学だけで統計力学は成立するのでしょうか?位相空間の概念がないので状態数などが定義できず難しそうですが…

補足日時:2007/05/11 04:50
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。自分のなかでミクロカロニカル分布とカノニカル分布のつながりが良く分かってなかったから質問しました。
エネルギー一定と温度を一定にして考える以外でも統計力学の定式化かができるのかが気になってました。揺らぎの確率分布がわかればできるのかもしれませんが、それはまた今度ゆっくり考えてみます。

お礼日時:2007/05/11 04:46

ハミルトニアンを使わないのは無理なんじゃないですかね。


詳しくは分かりませんが。

しかしラグランジアンが存在しない系というのはありますが、
ハミルトニアンが存在しない系はあり得ない(ハミルトニアンが存在しないということはエネルギーという概念がないことになるので)と思うので、この問題自体の興味はさておき、実際問題としては困ることは無いと思います。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。「ラグランジアンが存在しない系というのはあります」とは知りませんでした。興味深いですね。

お礼日時:2007/05/11 23:36

うーん。

かなり神妙な話の領域に入ってきているような匂いがしてきました。久々に考えさせられました。
ここから、あくまで私の統計力学に対しての考えというつもりで読んでいただいたほうがいいと思いますが、かつて考えたことです。
まずマクロな視点から考えると、

(1)ミクロカノニカル分布-(E V N)アンサンブル
(2)カノニカル分布-(T V N)アンサンブル
(3)グランドカノニカル分布(T V u)アンサンブル
の私のイメージは、熱力学でのルジャンドル変換のイメージです。
つまり熱力学でルジャンドル変換をして「自然な変数」を決めますが、
それと同じことをしてると思っています。
実際、カノニカル分布の分配関数から得られるのはHelmholtzのFreeEnergyで、グランドカノニカルの分配関数ではGibbsFreeEnergyで、ちょうどルジャンドル変換の関係にあります。一定とされている変数もそうなっています。
 (1)(2)(3)のどれで考えるかは対象としてる系の扱いやすさなのだと思います。量子統計力学(位相と粒子数の不確定性)などで粒子数が一定でないような系を、グランドカノニカル分布で扱うのも、そういうことで納得してます。また、どのアンサンブルでも熱力学的極限をとれば、揺らぎの効果は消えるので、得られる結論は同じです。
 
 次に(1)(2)(3)をミクロな視点からみるとですが、
(1)は相空間内を系の状態を示す(p q)の分布が定エネルギー面(超曲面)上を時間発展する。=>これは力学と熱力学を結びつける接点としてはミクロカノニカルを考えざるをえない。

(2)は熱欲と対象系の全体の相空間内の定エネルギー面を(p q)の密度分布が
時間発展するが、対象系(pq)で張られる部分空間への射影のみを取り出した
ものがカノニカル分布の相空間内での(p q)の密度分布。
これは当然対象系だけのHamiltonianを考えた場合のエネルギー一定曲面上を時間発展するわけではない。熱浴と相互作用により、対象系と熱欲は
エネルギーをやり取りして揺らぐ。

(3)これはかつて考えましたが、(2)で対象系の(p q)の座標軸自体が
増えたり減ったりする…とかつて考えたが、考えにくく挫折。

その他、私の統計力学でどうもひっかかる点。

力学との接点を考える場合、ミクロカノニカル分布は一番考えやすい。
ここでは、熱力学的諸量はすべて、物理量の時間平均=アンサンブル平均
であらわされる。圧力Pは運動量の平均とか。
しかし、温度とエントロピーは「何かの平均」としては計算されなく、
系の統計的性質そのものをあらわしてる。粒子1個でもエネルギーとか
運動量という概念は意味があるけど、粒子1個で温度というのは
意味がない。ということを考えると、カノニカル分布の相空間の時間発展って一体何をいみしてるの?って気がしてくる。上記(2)の対象系の(p q)部分空間への射影を取って…というのが何を意味しているのか?
温度って一体何?という気がする。
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nomercy様


ラグランジアンが存在しない系って、どういう系でしょうか?
興味がありますので、教えてもらえませんか?

というのは私の理解では、
ニュートン力学=>最小作用原理その他=>ラグランジアン形式=>
Hamiltonian形式 と構成されると理解していおり、
「HamiltonianはLagrangianから構成されるもの」という意識があるためです。式わすれましたが、qとpの積か何かにLを足すか引くかしたものを
Hamilitonianと定義するのだったような気がします。
一般化運動量もLを速度で微分したもの。とか、そういうことを
すると「正準方程式をみたす」。だったと理解してるので…。

誤解してたらすみません。
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PAM123さん



高橋康の「量子場を学ぶための場の解析力学入門」の脚注に
「強磁性Heisenberg模型はLagrangianが存在しない」
というような一言があります。
これを見た当時はすんなりと納得していたのですが、今改めて考えると少し疑問ですね。
スピン系は電子系の強結合低エネルギー極限での有効模型として現れる、と思うと少なくとも電子系にはLagrangianが存在しますから、それを強結合低エネルギー極限をとればスピン系のLagrangianになるんじゃないのか?と思ったりしました。

もう一つ。
「存在しない」というのは言い過ぎかも知れませんが、
Lagrangianの概念が微妙になるのは散逸系です。
例えば空気抵抗がある重力中での運動方程式を導くようなLagrangianはなんとか構成することができます。
そのような意味では散逸系にもLagrangianが存在するといえます。
これが曖昧になるのは、散逸系と何かもう一つの系をもってきて、それらの合成系を考えたときです。
一般に二つの系の合成系の全Lagrangianは

 L = L1 + L2 + L_int

という形で書けて欲しい。
しかし、散逸系の場合は単純にはこれが実行できないらしいです。

この辺の詳細は理解していないので
「岩波講座 現代の物理学1 力学 大貫 義郎,吉田 春夫」
を参照して下さい。
この本にはLagrange形式とHamilton形式がそれぞれどういう構造であるかという点や、これら二つの関係についてかなり詳細に述べられています。

(しかし間違っても初学者にはお勧めできない本です(笑))
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PAM123さん



>粒子1個でもエネルギーとか運動量という概念は意味があるけど、粒子1個で温度というのは意味がない。

確かにそうですね。
そこから

>上記(2)の対象系の(p q)部分空間への射影を取って…というのが何を意味しているのか?
温度って一体何?という気がする。

と話が繋がってますが、どういう点が疑問だったのか良く分かりませんでした。

それで温度ですが、単純にミクロカノニカルにおける温度
T(E) = (∂S(E)/∂E)^{-1}
と思ってしまってはダメですか?
そうすると
カノニカルの場合には、ミクロカノニカルの部分集合だと思うと、
温度を与えるということは大本のミクロカノニカル集団のエネルギーを与える、ということになりますが。
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nomercyさん



>強磁性Heisenberg模型はLagrangianが存在しない
>Lagrangianの概念が微妙になるのは散逸系です。

なるほど、うーん。ちゃんと理解できたわけではありませんが、
たしかに、上記の場合ならありえそうです。

私は古典力学でかつ散逸系でない状況しか念頭においてなかったので、
HamiltonianはLagrangianから構成されるという前提で話してました。

量子力学なら、通常Hamitonianありきで扱われるので、
HamiltonianがあってLagrangianがないって状況もありそうな
気がしてきました…といいつ、私、経路積分による量子力学の定式化は
あまりちゃんと勉強したことなく、両者の関係が古典力学の場合と比べて
どう違うのか(一方から一方が構成さえる関係にあるのか?)あまり
よくわかりません。
また散逸系についてもあまり詳しくないですが、
いろいろ難しそうなのは知っています、で、Lagrangianでの
定式化が上手くいかないこともありそうなことは納得しました。
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>>上記(2)の対象系の(p q)部分空間への射影を取って…というのが何を意味>しているのか?


>温度って一体何?という気がする。
>
>と話が繋がってますが、どういう点が疑問だったのか良く分かりませんでし>た。

えーと、平衡状態において、エントロピーと温度以外の熱力学的諸量は、何らかの(ミクロな)物理量の長時間平均で定義される。
されにそれが統計力学においてはアンサンブル平均に等しいとされる。
つまり、温度とエントロピー以外の熱力学的諸量の概念はミクロでも
その物理的意味が明確。

ここで私は、温度あるいはエントロピーは何の長時間平均(=アンサンブル平均)なのか?という疑問が起こったのですが、
答えは、何かミクロでも定義できる物理量の平均ではない。系の相空間上の密度分布そのものの統計的性質そのものを反映したもの。

ということになると思います。つまりミクロな物理量と結びついた概念で
はない。

ここまではいいのですが、そうするとカノニカル分布の確率密度分布を
考え、相空間で、ある領域がHamiltonianで決定された時間発展をするとかを考えた場合、(相空間ですので)ミクロな状態の時間発展を考えることに
なりますが、そのミクロな話にマクロに興味あるから。

>それで温度ですが、単純にミクロカノニカルにおける温度
>T(E) = (∂S(E)/∂E)^{-1}
>と思ってしまってはダメですか?

思っていいのですが。ただミクロに意味付けができるのか?
が疑問です。
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