民法第908条 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
とありますが、「遺産の分割の方法」とは「誰に何をあげるか」ということかと理解しております。
そこで、行政書士試験の過去問に次のような問題がございます。
「甲土地は子Aに相続させる」との遺言がある場合、共同相続人全員の合意 があっても、甲土地を子Bが相続する旨の遺産分割協議をすることはできない。→答え×
908条で被相続人(または委託された第三者)が「誰に何をあげるか」を決められると言っているにも関わらず、 相続人はそれに反する行為が可能なのでしょうか?
被相続人が遺言によって、絶対に子Bしか相続できないようにすることは不可能なのでしょうか?
宜しくお願い致します。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
最判平3.4.19 平成1(オ)174 ですね。
一 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言は、遺言書の記載から、その趣旨が遺贈であることが明らかであるか又は遺贈と解すべき特段の事情のない限り、当該遺産を当該相続人をして単独で相続させる遺産分割の方法が指定されたものと解すべきである。二 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言があった場合には、当該遺言において相続による承継を当該相続人の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り、何らの行為を要せずして、当該遺産は、被相続人の死亡の時に直ちに相続により承継される。
それは、そうなんですが、その後に、
そしてその場合、遺産分割の協議又は審判においては、当該遺産の承継を参酌して残余の遺産の分割がされることはいうまでもないとしても、当該遺産については、右の協議又は審判を経る余地はないものというべきである。もっとも、そのような場合においても、当該特定の相続人はなお相続の放棄の自由を有するのであるから、その者が所定の相続の放棄をしたときは、さかのぼって当該遺産がその者に相続されなかったことになるのはもちろんであり、また、場合によっては、他の相続人の遺留分減殺請求権の行使を妨げるものではない。
としてますから、これは私見ですが
第907条 (遺産の分割の協議又は審判等) 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。
の条文中の いつでも に係りますので、一旦有効に成立した分割協議ですが、相続人全員の合意解除(最判平2.9.27)で、改めて甲土地を子Bに相続させることは可能ですね。
この判例を見る限りは、×、
実質的に、○であって、「できない。」わけではありませんね。
No.4
- 回答日時:
立命館大学教授の二宮周平氏は、相続人全員の同意があれば、遺言に従わない協議分割も有郊であると、、、 学説を発表しています。
判例はないようです。 相続人全員が、同意しているので裁判にならないので、判例ができるはずもない。
その学説が、多数説か不明です。
個人的には、疑問です
No.3
- 回答日時:
#2です
途中でBと表記してしまいましたが,Aの誤りです。
それから,A以外の共同相続人にも持分を与えることで書きましたが,理屈はB単独に変更するのと同じです。
No.2
- 回答日時:
「甲土地は子Aに相続させる」との遺言がある場合、最高裁判所第二小法廷平成3年4月19日判決により,遺言が効力を生じた時点で「甲土地は子Aに所有権が確定します。
対抗要件として登記も不要です。では,「同相続人全員の合意 があっても、甲土地を子Bが相続する旨の遺産分割協議をすることはできない。→答え×」となるのでしょうか。
遺産分割の形式で,Bがその所有権を他の相続人に分与した共有関係にすると解するのか,他の共同相続人は遺留分を持ち,その主張を遺産分割協議n形式でもすることができますから,実質は遺留分を分与する手続きで,これも可能ということでしょうかね。
遺留分制度がある以上,「絶対に子Bしか相続できないようにすることは不可能」でしょう。
ただ,遺留分権を行使されて共有関係になっても,共有物分割手続きで代償を支払えばBの単独所有にはできますが,それは,遺言の効力発生⇒Bの単独所有⇒遺留分権行使⇒共有関係⇒共有物分割請求⇒代償の支払⇒共有の解消⇒Bの単独所有 というプロセスを経ることになるでしょう。
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