できれば法の専門家に。
質問は次の2つです。

質問1
709条は、その条文で損害を与えた行為が故意又は過失であることを要件としていますが、415条の債務不履行では条文では要件となっていません。
ところが、ある解説書(専門書ではなく一般向けに書かれたもの)を見ると、「415条の前半は、法文上に明記はないものの、後半と同様、故意又は過失があった場合に限られる。」との記載がありました。
しかし、知り合いの弁護士に聞いたところ、あくまで条文通りに解釈すべきであり、415条については故意又は過失であることは必要条件ではないと回答されました。
解説書も弁護士の書かれたものであり、どちらが正しいのか理解に苦しんでいます。
私としては、あくまで条文で判断すべきとの考えから、後者が正しいのではと考える次第ですが、皆さんのお考えをお聞かせください。

質問2
同じ解説書の709条の項で、損害を与える原因となった行為が違法行為であることが要件である旨の説明があったのですが、私の考えでは、損害を与えた(他人の権利や利益を犯した)ということ自体が違法なのであって、むしろ原因となる行為と損害に因果関係があることが重要なのであり、原因となった行為自体が違法であるかどうかは特に問題足り得ないのではないかと考えています。
皆さんのお考えをお聞かせください。

このQ&Aに関連する最新のQ&A

A 回答 (1件)

質問1について。


 確かに、明文にない要件として故意・過失を要求するのが従来の通説でした。しかし、最近の学会では、特に不能以外の債務不履行について、過失を要求しない解釈が有力です。
 これは、判例・実務において、言葉の上では「過失」を要求しながら、実質的には「債務不履行イコール過失」という認定が行われている現実を、理論的に説明しようとしているのです。
 つまり、例えば医療事故などでは、「医師が行うべき事をしなかったこと(債務不履行・客観的要件)」と「医師が行うべきことをできなかったこと(過失・主観的要件)」は実際問題として区別できないからです。
 この意味で、その解説書と弁護士さんの説明は言葉の問題であって、現実にはそれほどの差はないといえましょう。
 なお金銭債務については、条文上、故意・過失は不要です(419)。ただし、これにも不可抗力の免責を認めるべきとの有力な反対説があります。

質問2について
 確かに、過失・因果関係・違法性・損害を別の要件とするのが通説です。しかし、この点についても過失一本に絞ろうとする反対説があります(過失一元論)。
 これは、質問者さんも指摘されるとおり、実質的に判断すれば「過失イコール因果関係イコール違法性イコール損害」とも思えるからです。
 ただ、一般には、これらの要件が理論的には区別しがたいことを認めつつ「思考の便宜のため」「判決理由の説得力」という観点から、個別に要件を考えるのも仕方ないとします。
 私見では、これらの要件を形式的に区別し個別に認定することは、政治的判断(実質的判断)と法的判断(形式的判断)を峻別する上で、すなわち損害賠償責任の追及を単なる道徳的非難ではなく、あくまで法的責任の追及であると擬制する上で、非常に重要だと思うのですが、ちょっと法哲学的な思考に走り過ぎかもしれません。

 なお、これらは現在の民法学の主要な基本的な論点であり、いわゆる「教科書」「基本書」には必ず記載されています。ひとつ推薦するとすれば、平井宜雄「債権総論」(法律学講座双書)、同「債権各論2」(法律学講座双書)などどうでしょう。

補足)
 質問1について「あくまで条文で判断すべき」とされますが、この考え方は二つの点で注意が必要です。
 第一に、故意・過失を要求しない学説も、「条文に書いていない」ということは補充的な理由として使っているだけで、あくまでも本質的な理由は「それを要求する理論的な必然性がない」という点にあるということです。この辺の呼吸が法解釈学の不思議なところなのです。
 第二に、実務的にも、「条文に書いていない」といくら主張したところで、判例が認めていない見解は裁判上認められないということです。法解釈の専権が裁判所にある以上、学説としてはともかく、現実の行動は判例に配慮して行動しないと、不利益を受けてしまうのです。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

懇切丁寧な回答をいただきありがとうございます。
返事が大変遅くなりました。いただいた回答をもとにいろいろ考えていたものですから。
(しかも、実は昨夜8時半過ぎ、お礼を言おうと思ってパソコンに向かったのですが、なぜか何度やっても「ページがみつかりません」のメッセージが出てしまい、「教えてgoo」に繋がりませんでした。こんなことは初めてです。)

質問1について、sukemasaさんがおっしゃるとおりで、解説書と弁護士の説明は言葉の問題であって、現実にはそれほどの差異はないように思いました。
あわせて、内田貴著「民法(3) 債権総論・担保物権」では、民法第415条に基づく損害賠償責任を問うためには「故意・過失又は信義則上これと同視すべき事由」(帰責事由)が要るとしていますので、この「これと同視すべき事由」を過失とほぼ同じものととるか、同じようなものだが過失とは異なるものととるかで解説書のような説明になったり、弁護士の説明のようになったりするのかなあと考えたりもしています。

質問2について、「思考の便宜のため」「判決理由の説得力」と説明されていますが、なるほど納得です。補足でもおっしゃっているように、「学説としてはともかく、現実は判例に配慮して動かないと…」ですね。全くそのとおりだと思います。

今回のご回答で、疑問がすべて氷解しました。また、気づかなかった点も指摘していただきました。人に説明する必要があったものですから、本当に助かりました。
ありがとうございました。

お礼日時:2002/03/13 14:22

このQ&Aに関連する人気のQ&A

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!

このQ&Aを見た人が検索しているワード

このQ&Aと関連する良く見られている質問

Q民法第90条、民法第709条の条文を教えて下さい。

民法第90条、民法第709条の条文を教えて下さい。
できれば現代語に訳していただければ幸いです。

Aベストアンサー

民法はカタカナ混じりで読みにくいですよね。国民のための法律なのですから、もっと読みやすくしてもらいたいと私のような素人は感じてしまいます。

第90条は『公序良俗違反』ですね。
第709条は『一般の不法行為-要件と効果』。
いずれもよく出てくる法律です。

カタカナ条文は参考URLを探してください(すいません)。

現代語訳というのがどこまで求められているのか不明ですので、ここでは簡単に。

90条については「公序良俗に反する法律行為は無効である」です。
709条については「故意や過失で他人の権利を侵害したものは、それに起因する損害を賠償しなければならない」、って感じでしょう。

『公序』『良俗』『無効』『法律行為』『権利』などの一つ一つの単語をきちんと説明すると大変長くなってしまうので省きます。法律以外の場で用いられるときと若干意味合いが違いますので法律用語集などでお調べください。

参考URL:http://www.lec-jp.com/law/houritsu/m_12.html

Q415条と法律要件分類説

415条を法律要件分類説から見ますと、立証責任は債権者にあるよう
にとれますが、162条に対する186条1項のような条文があるので
しょうか?
それとも明文はなく、契約という性質上から推定するのでしょうか?

Aベストアンサー

 問題意識の所在が,文面からは必ずしも明らかでないのですが,以下,私見として述べます。

 415条の主張立証責任の分配については,モノの本では,余り理屈からのアプローチが少ないように感じられます。まあ,伝統的な民法解釈がそうなっているし,判例もそれに従っているから,というあたりが,通常の理解ではないかと思われます。

 これを少し考えてみるに,多くの文献では半ばスルーされているように思うのですが,「債務の本旨」が何たるかの主張立証責任は,債権者にあります。ここの押さえが十分でないため,何となく,分かったような分からないような議論になると思えます。

 一般に議論されている契約法の世界では,「債務の本旨」が何たるかは,余り問題にはならないのですが,現実の世界では,医療過誤,請負,高度な技術的製品の売買取引などの場面では,まずもって,「債務の本旨」が何であるかが,大きな争いになります。

 それで,この「債務の本旨」が確定すれば,あとは,「履行」とはすなわち「弁済」のことですから,その主張立証責任が債務者にあるのは,いわば理も当然の世界になります。弁済の主張立証責任が弁済者にあることに,まず異論はありませんし,これは当事者の公平の見地からも肯定されるべき問題といえます。

 そして,契約法の世界では,「債務の本旨」は,当事者に当然認識されていなければならないものですから,客観的に債務の本旨に従った履行の主張立証ができない場合には,違法の推定が働くともいえますし,公平の見地からしても,履行のないことに正当事由があることは,債務者に主張立証責任を負わせて然るべき事柄という結論が導かれる,という,そのような筋書きになるわけです。

 なお,いわゆる不完全履行について,履行が不完全であることの主張立証責任が債権者にあるとの議論がされることがありますが,これも,私には疑問に思えるところで,「債務の本旨」の主張立証責任と,「履行」の主張立証責任を分けて考えれば,比較的クリアに理解できるように思います。

 問題意識の所在が,文面からは必ずしも明らかでないのですが,以下,私見として述べます。

 415条の主張立証責任の分配については,モノの本では,余り理屈からのアプローチが少ないように感じられます。まあ,伝統的な民法解釈がそうなっているし,判例もそれに従っているから,というあたりが,通常の理解ではないかと思われます。

 これを少し考えてみるに,多くの文献では半ばスルーされているように思うのですが,「債務の本旨」が何たるかの主張立証責任は,債権者にあります。ここの押さえが...続きを読む

Q名誉毀損による現状回復【民723】に故意・過失は要件?

民723条では「損害賠償に代えて」、被害者は、名誉を回復するのに適当な処分を請求できますが、この場合に、加害者に「故意・過失」があることが要件になるのでしょうか?

723条の条文の文言からは「故意・過失」が要件でないとも取れるのですが、不法行為法の一部として規定されている以上やはり、「故意・過失」が要件になるのでしょうか。

できれば、根拠と共にお願いします。

Aベストアンサー

まだ締め切っていないようなので出てきました。

723条の名誉回復措置の請求には故意又は過失が必要です。

根拠は、723条の条文それ自体です。

723条は、他人の名誉を毀損した者に対しては・・・損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる、と定めています。

損害賠償に代えて、というのは、損害賠償の請求ができるけれども、その代わりに、という意味です。名誉毀損だと損害額の算定が困難な場合があるからです。
損害賠償とともに、というのは、損害賠償と同時に、ということです。

つまり、両方とも損害賠償が認められることを前提としているわけです。損害賠償が認められるためには当然故意過失が必要になりますので、結果的に、この処分を命じる場合には故意過失が要件になるというわけです。

著作権法115条等だと条文ではっきり故意過失を要件としていますが、これとの対比で民法では故意過失を要件としないと判断することはできないですね。

参考判例
http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/0/052E687A9D6D6FB049256B65002CA794/?OpenDocument

結論のところで、不法行為が成立しないので723条の請求には理由がないと述べています。

まだ締め切っていないようなので出てきました。

723条の名誉回復措置の請求には故意又は過失が必要です。

根拠は、723条の条文それ自体です。

723条は、他人の名誉を毀損した者に対しては・・・損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる、と定めています。

損害賠償に代えて、というのは、損害賠償の請求ができるけれども、その代わりに、という意味です。名誉毀損だと損害額の算定が困難な場合があるからです。
損害賠償とともに、とい...続きを読む

Q民法709条不法行為はどのジャンル?

個人が不法行為をして損害賠償責任を問われる場合、民法709条が適用になると聞きました。
これについて、参考書籍などで調べたいのですが、民法の参考書は何分冊にもなっているものが多く、どこを見ればいいのかよくわかりません。
大まかにいって、
1.民法総則
2.物件法
3.債権総論・債権各論
4.親族・相続
に分かれていると思うのですが、
個人の不法行為について書かれているのは
1.の民法総則関連の参考書でしょうか?
それとも3.の債権関連?
教えて下さい。。。

Aベストアンサー

民法は
第1編 総 則 (第1条~第174条ノ2)
第2編 物 権 (第175条~第398条)
第3編 債 権 (第399条~第724条)
第4編 親 族 (第725条~第881条)
第5編 相 続 (第882条~第1044条)
のように分けられています。

よって709条は「債権総論・各論」に含まれると思います。

Q「故意」「過失」の解釈について(民法713条)

民法第713条に、
【精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。
ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。】とあります。
PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不機嫌障害)といった、精神的症状によって傷害事件を起こしてしまった場合、ここでいう「故意又は過失」にあたりますでしょうか?

Aベストアンサー

友人の話じゃなかったんですね。まあいいですけど。

結論から言えば、「当たらない」です。
713条を考える前に709条を考えないといけません。709条に該当して初めて713条の問題になるのです。
そこで709条を見ると、
「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
とあります。ここで言う「故意又は過失」とは簡単に言えば、
1.他人に損害を与えるような行為を「わざと」やった。
2.他人に損害を与えるような行為をわざとではないが注意すれば避けられるのに「不注意で」避けられなかった。
ということです。つまり、ここで言う「故意又は過失」の対象は、他人に損害を与えるような行為に関するものです。
しかし、713条の「故意又は過失」は違います。区別をしていない回答がありますが、713条の「故意又は過失」は709条の「故意又は過失」とは別のことに関する「故意又は過失」です。

709条の要件を満たせば不法行為が成立します。具体的には行為者に損害賠償義務が生じます。しかし、もしその行為者が「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態」であれば免責するというのが713条です。つまり、709条の「故意又は過失」があることを前提に、713条が問題になります(なければ709条の責任が生じないので713条の問題にはならない)。そして「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態」であれば「わざと」或いは「不注意」で行った709条該当行為であっても例外として免責になるのですが、もしもその「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態」を一時的に行為者自身が自ら作り出した場合には本則に戻って免責にならないというのが713条ただし書の意味です。であれば、713条ただし書で言う「故意又は過失」の対象は「一時的に生じた責任を弁識できない状態」ということになります。言い換えれば、「わざと」或いは「不注意で」「一時的に責任を弁識できない状態に自らを陥れた」というのが713条ただし書の意味です。709条の「故意又は過失」とは対象が違うということが判ります。

そこで本件を見るに、質問の精神疾患が「わざとあるいは不注意で自ら一時的に責任を弁識できない状態にした」結果でないことは明らかです。であれば、結論として質問の精神状態は713条ただし書の「故意又は過失」には「当たらない」となります。


と、ここまでが純粋な法律論。しかし、前回の回答でも言いましたが、そもそも質問の精神状態が「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態」に当たるかどうか自体が実際にその時になってみないと判らないです。713条ただし書を論じる以前に713条本文の「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態」に当たらないのならばただし書は適用の余地がありませんから、ただし書の「故意又は過失」など論じる余地がありません。ですから、純粋な法律論として質問の状態が713条ただし書の「故意又は過失」に当たらないとしてもそもそもその前提である713条本文の「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態」に当たるかどうか自体が現実的にその時になってみないと判らないのです。可能性としては免責になるかもしれないしならないかもしれないがそれは将来のことであって神のみぞ知るとしか言いようがありません。
結局、「起こったときに免責になる可能性」なんて不確かなものにすがってもしょうがありませんから、まず考えるべきことは何とかして病気を治す、治らないまでも少なくとも他人に危害を与えるような行為をしない程度には症状を押さえるために労力を割くことです。

まあ精神的にまいっている人には不安の種を一つでも解消したいという意味で可能性にすがりたくなるのはしょうがないのかもしれませんが。しかし、あえて厳しく言えば、すがるべき可能性は、自分の不始末で他人に迷惑を掛けても自分が法的に責任を負わない可能性ではなく、病気が治る或いは症状が快方に向う可能性の方です。他人に迷惑を掛けることよりも自分が責任を負わないで済むことを先に考えるというのは些か身勝手すぎると言わざるを得ません。

友人の話じゃなかったんですね。まあいいですけど。

結論から言えば、「当たらない」です。
713条を考える前に709条を考えないといけません。709条に該当して初めて713条の問題になるのです。
そこで709条を見ると、
「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
とあります。ここで言う「故意又は過失」とは簡単に言えば、
1.他人に損害を与えるような行為を「わざと」やった。
2.他人に損害を与えるような行為をわざ...続きを読む


人気Q&Aランキング

おすすめ情報