
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
「ぬ」は「ず」の連体形なので、「こと」などを補って
「明けはてぬことなり」
ということでしょう。一般的な連体中止法です。
「ざら、ざり、ざる、ざれ」というのは、主に漢文訓読に使われた用法で、鎌倉時代という、武家政権の勢力がじわじわと浸透していったころから「ゴツくて男っぽくてカッコイイ」ので広まり始めましたが、やはり「漢文訓読調の重々しい文にしよう」というときに使われています。「見ぬ言わぬ聞かぬ」ではなく「見ざる言わざる聞かざる」、「許されぬ者」ではなく「許されざる者」ですね。
:完了助動詞「ぬ」の終止形+推定助動詞「なり」のほうは理解できます。
理解してはいけません。推定助動詞「なり」は、音声情報による推定です。「音(ね)あり」が語源とも言われているくらいです(諸説あり)。この場合「明けはて」で「夜がすっかり明けた」という視覚情報なので、推定の文ならば「明けはてぬめり」でしょう。「めり」は「目有り」が語源といわれる「視覚による推定の助動詞」です。
この回答へのお礼
お礼日時:2009/05/08 00:23
早速の回答ありがとうございます。
たしかに「人ならざる者」なんかもそうですよね?
>理解してはいけません。~
私も最初はそう思ったのですが、自分は部屋の中かどこかにいて、外の様子(音)で「・・・ようだ」といってました。
すこし雑とは思ったんですがねw
No.3
- 回答日時:
>どうして、「ざる なり」ではなく「ぬ なり」なのでしょうか
形容詞や形容詞型の助動詞に助動詞が接続するときは補助活用を用いることからの疑問ですね。
打消の助動詞には、「ず・ず・ず」と活用する無変化型の系列と「な・に・○・ぬ・ね・○」という四段型の系列があったことは文法書にも出ていると思います。実は「ぬ」系列の方が歴史は古いようで、「ず」は「ぬ」系列の連用形「に」に動詞の「す」がついた「にす」の転とする説があるほどなのです。
ここからは推測ですが、補助活用ができる以前から連体形「ぬ」に助動詞「なり」が接続する形があったのではないか、と思います。
No.2
- 回答日時:
長文の回答でごめんなさい。
断定の助動詞「なり」は、体言および連体形に接続します。連体形にはいくつかの働きがありますが、その中の一つに「準体法」があります。
川の流るるを見る。
の「流るる」は連体形ですが、これは連体形だけで「流れること」といった体言相当の意味を表しています。こんな連体形の働きが「準体法」です。連体形だけで体言相当ですから、当然その下に断定に助動詞「なり」はくっつくことができるわけです。
さて、「ぬめり」です。古典作品から実例を挙げながら回答します。
「ぬなり」は、
(1)打消しの助動詞「ず」の連体形+断定の助動詞「なり」
(2)完了の助動詞「ぬ」の終止形+伝聞・推定の助動詞「なり」
の二つがあります。どちらが多いかはなんとも言えませんが、両者とも相当数存在します。
1、夢にも人にも逢は[未]ぬなりけり(伊勢物語・九)
2、み船も行か[未]ぬなり。(土佐日記)
3、また聞けば、侍従の大納言の御むすめなくなり給ひ[用]ぬなり。(更級日記)
4、皆人は花の衣になり[用]ぬなり(古今和歌集)
打消しの助動詞「ず」は未然形接続で、完了の助動詞「ぬ」は連用形接続です。したがって、1と2は明らかに未然形の下ですから(1)に該当し、3と4は明らかに連用形の下ですから(2)に該当します。このように、「ぬなり」の上にある動詞が四段、カ変、サ変、ナ変、ラ変動詞ならば、「ぬなり」の識別も簡単です。
5、明けぬなり。(源氏物語)
6、過ぎぬなり。(更級日記)
7、御覽じ出だされぬなり。(徒然草・二三八)
5の「明け」は下二段動詞、6の「過ぎ」は上二段動詞、7の「れ」は助動詞「る」ですから形の上からは未然形なのか連用形なのか判断できません。したがって(1)か(2)かの判断も難しくなります。こんなときは前後の文脈を見て、(1)(2)どちらの解釈が自然かを考えてください(聴覚に関わるものがあるかも含めて)。
5′鐘の声かすかにひびきて、明けぬなりと聞こゆるほどに、
6′聞けば、かたはらなる所に、さきをふ車とまりて、「おぎの葉、おぎの葉」と呼ばすれど、答へざなり。呼びわづらひて、笛をいとおか しく吹き澄まして、過ぎぬなり。……おぎの葉の答ふるまでも吹きよ らでたゞに過ぎぬる笛の音ぞ憂き
7′ただ今御所にて、紫の朱うばふことを悪むといふ文を御覧ぜられたき事ありて、御本を御覧ずれども、御覧じ出だされぬなり。
5′は(2)です。
(時を告げる)鐘の音がかすかに響いてきて、「夜が明けてしまったようだ」と聞こえる時に。
といった解釈が自然で、「まだ夜は明けないのだ」は不自然です。
6′も(2)です。
(外の様子を)聞いていると、隣の家に先払い付きの車が止まって、「おぎの葉、おぎの葉」と(女の名を)呼ばせるけれど、(女は)答えないようだ。(男はそれ以上)呼びかねて、笛をとても上手に吹き響かせて通り過ぎてしまったようだ。…(中略)…おぎの葉が答えるまで吹き続け言い寄りもしないですぐに通り過ぎてしまった笛の音の(男のほうが)気にくわない。
「通り過ぎないのだ」では、あとの和歌に続きません。
7′は(1)です。
ただ今御所で(帝が)「紫の朱うばふことを悪む」という文章を御覧になりたいことがあって、ご本を御覧になった(=お探しになった)けれど、お見つけになることができなかったのだ。
「ご本をお探しになったけれど、お見つけになった」は不自然です。
ちなみに、「ざんなり」「ざなり」「(ざるなり)」の「なり」は伝聞・推定の助動詞と相場が決まっています。
以上です。
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