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カルボナトビス(エチレンジアミン)コバルト(Ⅲ) 塩化物[Co(en)₂(CO₃)]Clを経由して、ジクロロビス(エチレンジアミン)コバルト(Ⅲ) 塩化物[Co (en)₂Cl₂]Clを合成しました。この化合物には塩化物イオンがトランスで配位したプラセオ塩(緑色)とシスで配位したビオレオ塩(紫色)の 2種類の異性体が存在するが、性質の違いを利用してそれぞれ個別に合成できる。合成した3種の錯体の吸収スペクトルを測定し、構造が異なることによって生じる反応性の違いを調べる実験をしました。

実験
[ 1 ]カルボナトビス(エチレンジアミン)コバルト(Ⅲ) 塩化物[Co(en)₂(CO₃)]Clの合成
(1)100 mLビーカーに塩化コバルト(Ⅱ) 六水和物4 g ( 17ミリモル相当)を取り、イオン交換水3.5 mLで溶解、氷冷した。
(2)100 mLナスフラスコにイオン交換水4mLとエチレンジアミン(en) 2.5 mL
(37mmol相当)を取り、氷を入れたウォーターバスで氷冷しながら炭酸ガスを吹き込んだ。
(3)エチレンジアミン溶液に炭酸ガスを吹き込み始めたら塩化コバルト(Ⅱ)溶液を徐々に加えた。
(4)34.5 %濃H₂O₂を少しずつ(1-2mL程度)合計4mL加えた。このとき激しい発泡と発熱を伴うので、反応物が飛び散らないようにゆっくりと行った。
(5)10 ~ 15分後反応が落ち着いたら、この溶液を湯欲上で30分間、 70 ~ 75℃に加熱した。
(6)加熱後約20 ℃にゆっくりと冷却し、炭酸ガスをやや多めに吹き込みながら薬包紙から水酸化リチウムー水和物0.7 g ( 17 mmol)を入れ、撹拌しながら結晶を析出させた。さらに氷冷しながら冷たいメタノールを約13 mL徐々に加え、充分に結晶を析出させた。もし結晶が十分析出しなかったらさらに2 ~ 5mLのメタノールを追加した。
(7)沈殿物を吸引ろ過して集めた。No.5Cのろ紙で行った。メタノール約5 mLで沈殿を十分に浸してから吸引・洗浄した。これを数回繰り返し、乾燥した。得られた結晶を時計皿あるいはシャーレに移し、メタノール臭がなくなるまで風乾した。
(8)錯体生成物は、 あらかじめ電子上皿天穉 (教卓の横) 秤量しておいたポリ袋に入れ、 再び秤量して収量を求めた。 (3.3g程度生成した。) 錯体を入れたポリ袋にはラベルを貼った(班、日付、名前を明示)。

[2] トランスージクロロビス( エチレンジアミン) コバルト(Ⅲ)塩化物
trans-[Co (en)₂Cl₂]Cl
(1)結品皿に[Co(en)₂(CO₃)]Cl 1.4g (約5 mmol) をとり 、イオン交換水5 ~ 6 mL を滴下してほぼ飽和溶液とした。
(2)この錯体飽和溶液を氷冷しながら、約3 mL塩酸を少しずつゆっくりと合計3.5 mL加えた。この際、激しく発泡したので注意した。
(3)3 mol/L塩酸の添加終了後、さらに濃塩酸を少しずつ約2.5 mL加えてから、ドラフト内のホットプレート上で緑色結晶となって固化するまで加温・濃縮した。
(4)固化したら放冷・氷冷し、冷メタノールを少量添加後、 No.5Cのろ紙で吸引ろ過した。得られた結晶を少量の冷メタノールで洗浄し、あらかじめ秤量しておいた結晶皿か時計皿で風乾後秤量した。

[3]シスージクロロビス(エチレンジアミン)コバルト(Ⅲ)塩化物cis-[Co(en)₂C1₂]Clの合成
(1)トランス錯体trans-[Co(en)₂Cl₂]Cl約1 gを結晶皿に秤り取り、極少量のイオン交換水(数mL 程度)で溶解した。
(2)溶液をドラフト内のホットプレート上で10~15分加熱濃縮し、紫色結晶を析出したら(固化する前に)氷冷し、No. 5Cのろ紙で吸引ろ過した。一部が緑色であったら、紫色結晶部分のみ採取した。
(3)得られた粉末を少量のメタノールで洗浄乾燥した。
(4)あらかじめ秤量しておいた結晶皿か時計皿で風乾し、秤量した。

[4]吸収スへクトルの測定
(1)合成した3種類の錯体について、薬包紙で精秤し、 50 mLメスフラスコにとり、表1に示す溶媒に溶かした。量の目安は、カルボナト錯体は100 mg/50 mL、トランス錯体は300 mg/50 mL、シス錯体は100 mg/50 mLぐらいとした。
(2)確実に溶解していることを確認し、標線をあわせた。精秤に使用した秤量ビンや薬包紙は少量の溶媒で洗いとり、パスツールピペットを使って溶媒を少しずっ滴下して標線をあわせた。試料溶液は測定直前に調製した。
(3) 330~ 700 nmの範囲の吸収スペクトルを測定し、極大吸収波長での吸光度から分子吸収係数を計算し、表1に示した文献値と比較しなさい。0.1mol/L塩酸溶媒を使ったセルは、パラフィルムでふたをしてから測定した。

[5]錯体の化学的性質
(1)trans-[Co(en)₂C1₂]Cl 約 0.1 g を50 mLビーカーに取り、イオン交換水 約20 mL に溶かした。すぐに過剰の硝酸銀溶液を加え、生じた沈殿を No.5Cのろ紙を用いて吸引ろ過して取り除いた。ろ液が透明になるまで (通常は2回程度) 、ろ紙を取り替えずにろ過を繰り返した。ろ液の一部にろ液と同体積の希硝酸 (3M程度) を加え煮沸した。
このとき、溶液の変化等をよく観察しておくこと
(2)3種の錯体を表1 の溶媒に溶かした [ 4 ] の各溶液を各50 mL ビーカーに約20 mL
取り、ホットプレート上で加熱したときに起こる変化を観察した。 加熱後の溶液の吸収スペクトルを測定し、[ 4 ]の結果と比較した。

上記の実験内容をもとに二つの問題を考えているのですが、答えが見つかりません。
是非、教えていただけたら幸いです。

問題
[ 5 ] (1)で硝酸銀溶液によって沈殿が生じる理由、また硝酸を加えて煮沸したときに沈殿
が生じる理由を、錯体を図示した上で、イオン結合と配位結合の違いにより説明してほしいです。

2.trans- [Co(en)₂Cl₂]Clとcis-[Co(en)₂Cl₂]Clを個別に合成したが、それはこれらの錯体のどのような性質に基づくのか。また、トランス型およびシス型の水溶液を加熱したときに観測された変化などに基づき、これらの錯体の安定性について考察してください。

A 回答 (1件)

うーん、48年前に習ったけど忘れた。

古典的な錯体合成反応で、院試の無機化学によく出る例です。
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