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妻が失踪後、失踪宣告(?)が成立したとします。そして再婚後元妻が発見されたら婚姻関係はどうなるのでしょうか?相続はどうなりますか?時効が絡むときは、何年後に発見されたかでわけて教えてくれるととありがたいいです。

A 回答 (5件)

正解は「どうもならない」です。


つまり、失踪宣告により「前婚は消滅している」ので後婚がそのまま有効です。単に元妻(以下では前妻と言います)が見つかっただけでは失踪宣告の効果はなくならないのでそのまま前婚消滅後婚有効で何の問題も生じません。相続も同様です。


問題になるのは、「失踪宣告が取消になった」場合だけです。前妻が生きて見つかったということと失踪宣告が取消になることとは話が別です。前妻が見つかったとしても失踪宣告を取り消さない限りは何も問題は起こりません。

#少々大雑把に書きます。厳密さを欠いた部分がありますが、十分でしょう。厳密な回答が希望なら専門書を読んだ方が早くて確実です。

では、前妻が見つかってそのために失踪宣告が取消になるとどうなるか。
取消というのは「初めからなかったことになる」というのをまず前提として理解しておく必要があります。つまり、失踪宣告自体がなかったことになるというのが原則論。その上で民法32条1項後段により関係者が「失踪宣告の時点で取消原因があったことを知らなかったときは」例外として失踪宣告から取消までの間の行為は有効となります。
以上を前提に検討しますが便宜上財産関係を先にします。

1.財産関係(相続)について
相続は発生しなかったことになります。相続には特別な行為があるわけではないので32条1項後段の問題にはならず、32条2項本文を適用します。条文上は、同項ただし書により現存利益(浪費分を差し引いた分)だけ返せばいいことになっていますが、これは、妻が生存していることを知らなかった場合のみ適用になると考えるのがおそらく通説(有力な反対説もあります)。つまり、相続人が前妻の生存を知っていた場合には現存利益にとどまらず、浪費分も返還しなければならないのみならず「利息も払わなければならない」ということになります。
また、相続財産を第三者に譲渡していた場合は、相続人と第三者が両方とも妻の生存を知らなければ譲渡は有効で第三者は当該財産を返す必要はありません。しかし、どちらかが知っていれば譲渡は無効となり第三者は当該財産を返さなければいけません。というのが判例通説。
なお、この場合にもし第三者が知らなくて相続人が知っていたとすると第三者はいい迷惑ですが、それは相続人に対して他人物売買の担保責任を問うことで我慢しろということになります。
そして、一度譲渡が有効になるとその後の転得者はたとえ生存を知っていたとしても有効に譲渡を受けられると考えるのがおそらくは通説(直接的な事例でなければ判例もあるにはある)。

2.婚姻関係について
学説的には、従来通説といわれていた説は、32条1項後段を適用して、
(1)夫と再婚相手がいずれも前妻の生存を知らなかったのであれば、前婚は消滅したままで後婚が当然に有効。
(2)いずれかが前妻の生存を知っていたのであれば、32条1項後段の適用がないために取消の効果の原則どおり前婚が当然に復活して(と言いますか、そもそも消滅しなかったことになる)重婚関係になるので前婚後婚のいずれかを解消しなければならない。
というもの。
今の有力説(あるいは改正民法の試案になっている説)は、もうそろそろ通説になっているかもしれませんが、身分行為には32条1項後段は適用せず、前妻の生存の知不知に関わらず常に後婚が優先するというもの。
どちらになるかは実際に裁判をやってみないと分かりません。

#余談ですが、両方去ってしまったという悲劇があったという話も聞きます。つまり、前夫は「今更顔向けできない」として妻の元へ戻らず、後夫は「生きていたのなら自分がいるべきではない」として出て行ってしまったという話。

最後に、失踪宣告に時効は直接は関係ありません。相続財産について32条2項で権利を失う場合に取得時効を主張するということは考えられますが、これは別に失踪宣告に特有の問題ではありません。
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この回答へのお礼

なるほど婚姻については善意かどうかでわかれるんですか。しかし善意であったなら後婚が有効でも、後婚の妻のみが善意であっても婚姻関係が取り消されるというのは後婚の妻にとってはなんとも理不尽ですね。だまされたほうが悪いのでしょうか?ご回答ありがとうございました。

お礼日時:2007/03/23 22:31

一箇所訂正。



>「失踪宣告の時点で取消原因があったことを知らなかったときは」

ではなくて「行為の時点で……」の間違いです。
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こんばんわ



7年間生死不明の状態であった場合、家庭裁判所により失踪の宣告、7年の期間の満了した時点で死亡したとみなされますが、再婚したいという目的だけなら、失踪宣告を受けなくても770条1項3号により、3年間生死不明ならば離婚原因となるので離婚ができます。

失踪宣告を受けた者の生存や、宣告による死亡時と実際の死亡時が異なることが判明した場合は、本人または利害関係人の請求によって、家庭裁判所は失踪宣告を取り消して宣告はなかったものとして扱われますが、その取り消しまでの期間中に「宣告が取り消される原因となる事実を知らないで行った(善意の)行為」については取り消しの影響を受けません(32条1項)。

宣告の取り消しによる財産の返還については、得られた財産全部の返還ではなく、その時点で残っている分の利益(現存利益)だけを返還すればよいことになっています。

また、再婚についてですが、失踪宣告が取り消される前に再婚をした後に、失踪者が帰ってきたということがおこった場合も、後婚の方を優先すべきとする説が有力です。
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この回答へのお礼

財産関係はよくわかりました。婚姻関係ははっきりしていないのですね。戦後は似たような問題が多発したと思いますが、未だにはっきりしていないとは以外でした。ご回答ありがとうございます。

お礼日時:2007/03/23 22:26

失踪宣告後、生存が明らかになった場合、本人又は利害関係人が家庭裁判所に失踪宣告の取消の申立をします。


取消の宣告があれば、元に戻ることになりますが、失踪宣告と云うのは、生死不明が7年以上続いていなければならず、失踪の日から7年目に死亡しているものとみなされるため、再婚してもかまいません。
かまいませんが、生存が明らかなら重婚となるため、申立によって再婚は取消となります。
また、死亡しているものとみなされるため、相続が発生します。
それで、その者の遺産は相続人が相続しますが、取消しがあれば、返す必要があります。
でも、全部を返さなくてもよく、現実に利益を受けた分だけ返せばいいです。(民法30~32条参照)
また、失踪宣告後取消しまでの間の期間は法律に定めがないため、いつでもいいことになります。時効は別に考えることになります。
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この回答へのお礼

財産関係はよくわかりました。婚姻関係は説の段階で、人により見解が分かれるんですね。理屈だけで考えると、失踪宣告が間違いであったなら、そもそも再婚も成立していないというところでしょうか。ご回答ありがとうございました。

お礼日時:2007/03/23 22:33

>そして再婚後元妻が発見されたら婚姻関係はどうなるのでしょうか?


元妻との婚姻関係が解消されます。

>相続はどうなりますか?
失踪宣告されたときに相続した財産は、元妻に返還しなければなりません。
ただし現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負います。
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この回答へのお礼

財産関係はわかりました。婚姻関係は他の回答を見ると一概にいかないみたいですね。ご回答ありがとうございました。

お礼日時:2007/03/23 22:34

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