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徴収法について

建設業の場合

①労災保険率は、事務や営業のみの労働者しかいない事業所(本社など)は「その他の各種事業(1000分の3)」、現場の事業は「建設事業(該当する種類の労災保険率)」でそれぞれ計算するのですか?

②雇用保険率は、本社などの事業所は「一般の事業(1000分の9)」、現場の事業は「建設業(1000分の12)」でそれぞれ計算するのですか?

事業主が同一であっても、事業ごとにそれぞれ計算すると考えて大丈夫でしょうか?

あと、②の雇用保険率についてなのですが、現場の事業が有期事業(一括していない)の場合は発生しないのですよね?(有期事業の場合は労災保険しか成立しないとテキストにありました。)雇用保険法の適用除外について読んでみてもよくわからなかったので、なぜそうなるのかを教えてください。

A 回答 (2件)

質問文の後半の部分に係る疑問点への回答です。


おおむね、あなたがお考えになっているとおり(「労災保険と雇用保険とでは適用の単位が異なるから」「雇用保険は雇用されている事業所で加入しているので、有期事業であらためて成立するものではない」)でかまわないと思います。
以下のとおりです。

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労働保険の保険関係の成立に関しては、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(以下「労働保険料徴収法」)の第三条及び第四条に定めがあります。

労働者災害補償保険(以下「労災保険」)では、「労働者を使用する事業」(労働者災害補償保険法第三条第1項)が開始された日において、その事業主について労災保険の保険関係が成立します。

これに対して、雇用保険では、「労働者が雇用される事業」(雇用保険法第五条第1項)が開始された日において、その事業主について雇用保険の保険関係が成立します。

なお、労働基準法第十条における定めにより、事業主のことを、通常、使用者と言います。
しかしながら、同第八十七条により、厚生労働省令で定める事業(労働基準法施行規則第四十八条の二及び労働基準法別表第一第三号)が数次の請負によって行なわれる場合には、「災害補償(労災保険)においては元請負人を使用者と見なす」と定められています。
労働基準法別表第一第三号でいう事業は「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業」のことなので、すなわち、建設業はこれにあたります。

有期事業が通例とする建設業では、使用者たる元請負人は、労働者との間に直接の雇用関係を結ぶことはありません。
そうではなく、各々の請負事業者(下請、孫請)ごとに雇用関係を締結しています。
ただし、各々の請負事業者は各有期事業の使用者ではありません(雇用関係が続くかどうか、ということで見るわけですから、有期事業のことを考慮に入れる必要はありません。)。
わかりにくいかもしれませんが、これが二元適用でもあります。労災保険と雇用保険の保険成立関係が別々である、ということです。

ですから、有期事業を通例とする建設業では、使用者たる元請負人との間を見たときには、労災保険の保険関係は成立するものの、雇用保険の保険関係は成立しないのです。

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テキストを一から読んで学んでおられるようですが、これでは頻繁な法改正に迅速に対応することが困難になってしまう、という致命的なデメリットがあります。
社会保険労務士試験は法改正に係る設問がたいへん多く、そのために、いままで正答とされていたものが180度ひっくり返ることが多々あります。
毎年の合格率が1割に満たない(5~6%の合格率しかない)のは、これが大きく影響している、と言われています。

このため、インターネット官報、厚生労働省法令等データベースシステム、e-Gov法令検索システムの活用が不可欠となります。
法改正を制することが合格への早道だ、と言っても過言ではありません。

● インターネット官報(国立印刷局)
https://kanpou.npb.go.jp/

● 厚生労働省法令等データベースシステム
https://www.mhlw.go.jp/hourei/

● e-Gov法令検索システム(総務省)
https://elaws.e-gov.go.jp/

例えば、厚生労働省法令等データベースシステムで目次(体系)検索をすると、関係する法令が一目瞭然です。
私がむずかしい説明をするよりも実際に試していただいたほうが早いので、ぜひ活用なさっていただきたいと思います。

通信教育は、やり方を間違えると意味がありません。
一方、ご自分のペースで勉強を続けることも善し悪しです。
士業予備校(例えば、資格の大原)の夜間学習コースに通学しながら、ある意味で「強制的な学習」もしてゆく必要がありますし、また、仲間との間で過去問を解き合って自身の弱点を知る、ということも非常に大切です。

知識にムラがあると、社会保険労務士試験の採点法の特徴上、全体としての得点が高くても特定分野の低点数で不合格、ということになってしまいますので、学習法の確立は非常に大切です。

正直申しあげて、「実に甘いな‥‥」と言わざるを得ないものもあり、確実に進んでゆけるものなのか心もとないです。
頑張っていただきたいところではありますが‥‥。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます!
質問に関しては、いただいた回答で理解できました。何度もありがとうございます。

法令はe-Govで見ていたのですが、検索があるのを知りませんでした。というか、元々検索のページだったのですね...お恥ずかしい限りです...。これで、関係する法令を今までよりもうまく探せるようになるかと思います。
予備校は地理的に無理なので、通信教育と独学で迷っていました。自分のペースで、と思って独学に決めましたが、改正についての問題はどう解決するか悩んでいます。今のところは、テキストの発行元が出している情報をプリントアウトしてテキストに貼り付けています...。
まだ勉強の楽しさが勝って頑張れますが、いつか折れる日が来るかも知れません。でもまだまだ頑張れます。

私の考えは確かに甘いのだと思います。
いただいた回答は温かいエールと捉え、これからも勉強を進めます。
いつもありがとうございます!

お礼日時:2021/08/14 22:08

建設業は、一般的に、現場ごとに複雑な請負関係で成り立っています。


元請 - 下請 - 孫請 といった構造です。

このときに、労働基準法第87条の規定により、元請負人だけを使用者と見ることになっています。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC00 …

したがって、労災保険では、加入義務があるのは元請負人だけです。
言い替えると、労災に関する責任は元請負人にあるので、下請以降の労働者の分もすべて含めて、保険料の納付義務を負うことになります。
ですから、下請以降の中小業者は、労災保険に加入する必要がありません。

これが、ご質問の最後の段に係る答えです。
建設業独特の請負関係と労働基準法第87条を理解できていないと、ただ単に労働保険料徴収法だけを見たところでわかるはずがありません。
逆に言うと、理解できない‥‥ということは、勉強方法を誤っていることになってしまいますよ。幅広くほかの法令との関係性も学んでほしい、ということをお伝えしてような気がするのですが‥‥。

以上により、元請負人は、こういった責任(保険関係)が成立した日から10日以内に、保険関係成立届を、所轄の労働基準監督署に提出しなければなりません。
この提出を終えると、建設現場には、労災保険関係成立票というものが掲示されます(掲示が義務付けられています)。
意識して見ていただければ、建設現場では必ず掲示されていることがわかるはずです。

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建設工事では、通常、始期と終期がはっきりしています。
つまり、有期事業です。
請負金額などの関係で一括有期事業に該当しないものは単独有期事業と言いますから、工事ごとに、工事所在地を所轄する労働基準監督署で上述の保険関係を成立させることになります。
その上で、工事が終了したその都度、保険料の精算を行ないます。

一方で、建設に関する事業は、一般に、二元適用事業です。
労災保険と雇用保険を一括して保険関係を成立させる一元適用事業とはならない、という意味です。
言い替えると、雇用保険に関しては元請・下請以下の各々で掛ける、ということになります。

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そのほか、建設業では、現場労災と事務所労災とを分ける、という考え方があります。
つまり、事務員や営業部員に対しては、別途かつ独自に労災保険や雇用保険を掛けることとなり、この部分については一元適用事業と見ます。
https://www.aiken.ne.jp/download/pdf/smes_costli … にある PDF を見ていただくと、たいへんわかりやすいかと思います。

現場労災に関しては、該当する工事の種類ごとに、労務費率×労災保険料率を出し、これに各々請負金額(消費税抜き)を掛け合わせたものが労災保険料となります。

● 令和3年度の労務費率表(PDF)~ 平成30年度以降、変わっていません
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouh …

● 令和3年度の労災保険料率表(PDF)~ 同上
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouh …

事務所労災については「その他の各種事業」となります。
事務員や営業部員のほか、現場事務(資材などの片付け・整理、来客の応対などを含む)を担当する方が対象です。

雇用保険料率については、現場も事務所も、どちらとも「建設業」です。
つまり、どちらも 1000分の12(本人 1000分の4、事業主 1000分の8)になりますから、十分な注意が必要です。
「一般の事業」は、「企業体全体として行なっていること」が「農林水産、清酒製造、建設のいずれにもあてはまらない場合」をいいます。
事務所が行なっている事務や営業は、あくまでも建設業として行なっているものですから「一般の事業」になるはずがありません。
雇用保険では、労災のように下位の事業ごと(建設業の下位の分類ごと)に細かく分けたりはしないんですよ。そこを勘違いなさらないで下さい。

● 令和3年度の雇用保険料率(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/000739455.pdf

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以上です。

建設業の実態(複雑な請負関係)をよく知っていれば、やはり、法令によるこういったしくみがごく当然のこととして構築されている、といったことがすんなり頭に入ってきます。

ですから、法令の条文だけをながめているのではダメですね。

また、さっきも言いましたが、あちこちの他法令と網の目のように絡み合いますが、現実のしくみの中でその絡み合いを理解してゆくと、やはり、すんなりと理解できてしまったりもします。

申し訳ない言い方になってしまうのですが、テキストを頭から順に追う、といった学び方よりも、全体として学び、かつ、他法令とも関連付けるようにしてゆかないと、ほんとうの理解にはつながらないと思います。
正直、勉強方法を少し見直したほうが良いかもしれません‥‥。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます!
①、②の質問については、いただいた回答と現場労災・事務所労災という単語で検索していろいろなHPを合わせて読んでみて理解できました。
後半の質問の、有期事業の場合は労災保険しか成立しないというのは、「労災保険と雇用保険とでは適用の単位が異なるから」ということでしょうか。雇用保険は、雇用されている事業所で加入しているので有期事業で改めて成立するものではない、と。

お忙しい中、時間を割いて説明して下さっているのにあまりにも理解できず、申し訳ない気持ちです...。

勉強は、お察しの通り、テキストを頭から追って読んでいます。1周目で疑問を潰しながらザッと読んで、2周目3周目...で更に理解していこうと思っていました。初めての独学(それどころか資格試験自体が初めて)なのにいきなり社労士はハードルが高かったかな、ちょっと調子に乗ったかも、と思いながら勉強しています。
通信教育も考えたのですが、自分のペースでやらないと途中で投げ出すと思い、市販のテキストで学び始めました。
以前にも、関係する法令と関連付けると良いとのアドバイスをいただきました。それを頭に置いてはいるのですが、なにせ関係する法令が探せません。(というか、探し方がわかっていません。)こちらでいただいた回答を元にようやく探し出す、という感じです...。
社労士についての入門書を読んでから3ヶ月も経つにも関わらず、まだスタートラインから一歩しか歩いていないですが、少しずつでも確実に進んでいきたいです。

お礼日時:2021/08/13 13:42

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