No.1ベストアンサー
- 回答日時:
民事訴訟を念頭において考えますが…。
「否認」も「抗弁」もともに相手方当事者の事実主張・権利主張を認めないという行為なのですが、前者が相手方の主張を単に(消極的に)否定するだけのことに対して、後者は、その相手方の主張と両立し得る別個の主張をすること、ということになると思います。
そして、この「否認」と「抗弁」との実質的・形態的な違いは、そういう防禦方法を提出する当事者が立証責任を負うかどうかと密接にかかわってくるようです。
つまり、質問者さまの既にご承知のことと思いますが、「立証責任」というのは、一定の事実が存在することの証明に失敗した場合の不利益を、当事者のどちらが負担するかという「危険又は不利益」の問題です。
しかし、その配分の方法について、個別法の規定(民117条1項、自賠責法3条但書、その他事実又は権利の推定規定)や解釈(債務不履行の場合)で配分が決められているを除き、今の民事訴訟法には、一般的な規定がありません。
そこで、一般には、次のように理解されています。(法律要件分類説)
1 律行為の効果を発生・存続させる要件事実が存在していること(権利根拠規定に当たる事実の存在)の立証責任は、その法律行為の成立を主張する側に課される。
2 法律行為の要件事実に当たる事実の存在が主張されたときに、(1)権利根拠規定の充足を前提としながら、なおこれについての一定の障害的事実があって、その法律行為の効果が生じていないこと(権利障害規定に当たる事実の存在)、又は(2)何らかの理由によって、いったん発生したその法律行為の効果を覆滅させる事実があること(権利滅却規定に当たる事実の存在)の主張は、それぞれの障害事由・滅却事由の存在を主張する側が負担するとされています。
このことから言えば、権利根拠事由にあたる事実については、その存在を主張する者が立証責任を負うので、その相手方としては、消極的に「否認」だけをしておけば、わざわざ「抗弁」まで出さなくても、主張者が立証に成功しない限り安泰ということになります。
反対に、権利障害事由や権利滅却事由を主張しようとする当事者は、相手方の主張を「否認」しておくだけでは足りず、そのような事実を、積極的に「抗弁」として出しておかなければならないことになると思います。
「否認」と「抗弁」との実質的・形態的な違いは、そんなところに出てくるように思います。
お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!
似たような質問が見つかりました
- 法学 管轄違いの抗弁 民訴 1 2022/06/17 22:15
- 訴訟・裁判 労働審判と弁護士 2 2022/06/12 07:11
- その他(ニュース・社会制度・災害) 保健所がなぜ法解釈の権限を持っている? 4 2022/06/11 02:11
- その他(法律) 債務不履行にあたるのでしょうか? 7 2022/07/05 11:22
- 訴訟・裁判 民事調停の申立は時間がかかりますか? 3 2022/08/01 12:25
- 日本語 どのように表現すれば良いのでしょう? 3 2022/06/18 07:00
- 事件・犯罪 この人が本当に犯人ではなくても「私がやりました」と認めさせればいいの? 3 2023/03/06 21:28
- 政治 日本も、アメリカのように、検察官は選挙で選んだ良いですよね? 2 2023/07/12 11:11
- その他(行政) 民生委員への苦情はどうやったら良い? 3 2022/05/13 12:17
- 政治 岸田内閣は衆議院の10増10減に続き、直ちに参議院の10増10減に着手するべきですよね? 4 2022/10/14 12:57
関連するカテゴリからQ&Aを探す
医師・看護師・助産師
薬剤師・登録販売者・MR
医療事務・調剤薬局事務
歯科衛生士・歯科助手
臨床検査技師・臨床工学技士
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
臨床心理士・心理カウンセラー・ソーシャルワーカー
介護福祉士・ケアマネージャー・社会福祉士
弁護士・行政書士・司法書士・社会保険労務士
フィナンシャルプランナー(FP)
中小企業診断士
公認会計士・税理士
簿記検定・漢字検定・秘書検定
情報処理技術者・Microsoft認定資格
TOEFL・TOEIC・英語検定
建築士
インテリアコーディネーター
宅地建物取引主任者(宅建)
不動産鑑定士・土地家屋調査士
マンション管理士
電気工事士
美容師・理容師
調理師・管理栄養士・パティシエ
シェフ
保育士・幼稚園教諭
教師・教員
国家公務員・地方公務員
警察官・消防士
その他(職業・資格)
おすすめ情報
デイリーランキングこのカテゴリの人気デイリーQ&Aランキング
-
抵当権抹消の事前通知
-
代表取締役の登記について
-
表見代理 最判昭和46年6月3日
-
十数年前に母がくれた2500万円...
-
隣家の地下の下水配管が越境し...
-
借地内の植木の所有権利はだれ...
-
登記事項要約書の見方
-
登記申請書の書き方(共有持分...
-
移記と転写の違いを教えてくだ...
-
勝手に畑に野菜を植えられたら...
-
根抵当権のある土地の分筆、所...
-
失踪宣告取り消し、現存利益の...
-
工場抵当について
-
合併にともなう抵当権移転がさ...
-
使用貸借している土地に建つ建...
-
相続手続きをしたいのですが、...
-
行政財産の譲与について
-
土地を貸すか土地に建物を建て...
-
官地の使用について
-
生活保護者の母がいます。持ち...
マンスリーランキングこのカテゴリの人気マンスリーQ&Aランキング
おすすめ情報