

No.3ベストアンサー
- 回答日時:
>此の反応では、炭酸ナトリウムのような塩基を用いますが、これにより0価のパラジウムを生じるのでしょうか。
私の考えでは、この反応では酢酸パラジウムのような2価のパラジウムから付加脱離によりArPdXが生じさらにトランスメタレーションによりArPdAr2が生じる
次の還元的脱離によりPd(0)が生じこれが普通の触媒サイクルに乗ると思っているのですがどうでしょうか。
その通りですが、塩基はパラジウムだけを活性化しているのではありません。ホウ素に塩基が作用することによってホウ素上の置換基とパラジウム上の配位子の間でトランスメタル化が進行するのです。トランスメタル化に次いで還元脱離が起きることによってPd(0)が発生し、それが活性種となるのです。
塩基が存在しなければホウ素とパラジウム間でのトランスメタル化がほとんど進行しない(と考えられている)ので、触媒活性種が生じない→反応が進行しないことがわかっています。
どうも私が用いた還元剤という表現がまずかったようですね。「塩基」がいかに重要かということをもっと強調しておくべきでした。たとえばPPh3のような配位子がなくても、Pd(OAc)2と塩基さえあれば触媒反応が進行する例も知られています。
この説明で前のコメントの意味が理解出来ました。有り難うございました。
触媒に知識の深い方の意見をうかがえて良かったと思っています
No.2
- 回答日時:
>PdCl2(dppf)2などの2価のパラジウム
何の躊躇いもなくdppfという略称を使う当たり、
もしかして先月末に大阪大学で催された学会に来てたりしますか(^^;)?
発見者のReviewが有ります。
Miyaura, N.; Suzuki, A. Chem. Rev. 95 (7), 2457-2483 (1995).
触媒サイクルは何が効いていのか良く分からないことが多いんですが、
一連のPd触媒を使うカップリング反応(Stille、熊田-玉尾、根岸etc)では、
Pd(0)<->Pd(II)で反応が進行しているというのは大方の同意を得ています。
>私の考えでは、この反応では酢酸パラジウムのような2価のパラジウムから
>付加脱離によりArPdXが生じ
これで正しいと思います。
反応開始のステップで、有機ボランとPdX2のメタセシスにより
ArPdX2を発生するのでしょう。参考にしたPd(II)触媒では、
あらかじめ有機ボラン化合物を系中に作っていますよね?
詳しい説明をありがとうございました
Pd(0)Pd(II)サイクルがまわっていることは確かなようですね。
ボラン化合物は作ってあります

No.1
- 回答日時:
>ゼロ価の場合の最初の酸化付加のステップが付加脱離に変わるだけで後は同じなのでしょうか。
酸化数の変化がないσ-bondメタセシスタイプの反応ということでしょうか? 反応としては起こり得ますが、これが触媒サイクルの素反応のひとつとなるのではありません。ほとんどの触媒サイクルの中では、パラジウムはPd(0)とPd(II)の酸化数を取っています。
投入される原料として、二価のパラジウムが用いられることがよくあります。理由はさまざまですが、たとえば0価のパラジウム錯体は二価の錯体に比べて空気に対して不安定であり、長期保存に向かず、工業化を視野に入れた場合扱いにくいことがあげられます。ほかにも理由はありますが、それについてはご自分で考えてみてください。
鈴木宮浦カップリングに限らず、二価のパラジウムを触媒活性種の前駆体に用いる場合、反応助剤として還元剤、あるいは還元剤の働きをする塩基が用いられているはずです。たとえば酢酸パラジウムPd(OAc)2を用いる場合には、ホスフィンを多めに使いますが、これは配位子として働くホスフィン以外に、酸化される代わりにパラジウムを還元してPd(0)を発生させるためのホスフィンも必要だからです。
”0価のパラジウムを如何に効率よく発生させるか”はパラジウム触媒を用いたプロセスの大きなテーマのひとつです。またパラジウムに限ったことではありませんが、投入した金属の数パーセントだけが触媒として機能して、残りの大多数は働いていないこともよくあります。溶媒の種類や反応温度、助剤の種類や量で触媒の働きは劇的に変化します。ここが錯体触媒に関する研究の面白いところでもあり、辛いところでもあるのです。
この回答への補足
organomets 様 丁寧な返事をありがとうございました。もし御存じでしたら教えていただきたいのですが、この反応において、酢酸パラジウム単独あるいは
PdCl2(dppf)2などの2価のパラジウムを単独で用いている場合があります(還元剤を加えずに)、この場合0価のパラジウムは反応系内でどのようにして生じているのでしょうか。此の反応では、炭酸ナトリウムのような塩基を用いますが、これにより0価のパラジウムを生じるのでしょうか。私の考えでは、この反応では酢酸パラジウムのような2価のパラジウムから付加脱離によりArPdXが生じ
さらにトランスメタレーションによりArPdAr2が生じる
次の還元的脱離によりPd(0)が生じこれが普通の触媒サイクルに乗ると思っているのですがどうでしょうか。
お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!
似たような質問が見つかりました
- 化学 ポリエチレンの酸化について 4 2022/05/20 08:51
- 化学 チアミン触媒下でのベンゾイン縮合について 水酸化ナトリウムをゆっくり加える理由は何ですか? わかる方 1 2022/06/03 02:28
- 化学 COやHCといった物質は、なんで白金やパラジウムで酸化できるんでしょうか? 2 2022/10/22 09:26
- 化学 解き方を教えてください… 2 2022/06/16 00:48
- 生物学 教科書に「標準状態では、リン酸基転移ポテンシャルは加水分解の標準ギブズ自由エネルギー変化ΔG⁰‘と絶 2 2023/07/15 21:33
- 物理学 水の電気分解に必要なエネルギー 1 2022/08/29 21:18
- Visual Basic(VBA) 【ExcelVBA】動的にボタン、ボタン名を生成できますか? 7 2022/04/08 12:54
- 食べ物・食材 防腐剤としてのビタミンCについて ペットボトル飲料を買うと添加物の欄に『防腐剤としてビタミンC』と書 4 2022/09/02 12:17
- 演歌・歌謡曲 笠置シヅ子の『東京ブギウギ』の歌詞では愛子内親王から悠仁親王への皇位継承案をうたっていませんか? 4 2023/03/08 09:57
- 皮膚の病気・アレルギー 歯科医院で前歯の治療しています。金属アレルギーなのでハイブリッドセラミックを選びますと言ったら、それ 2 2023/02/16 01:45
このQ&Aを見た人はこんなQ&Aも見ています
-
酢酸パラジウム(Ⅱ)の還元について
化学
-
等吸収点
化学
-
実験のレポートで収率を書くとき…
化学
-
-
4
クロスカップリングでPdIIを用いる理由
化学
-
5
グリニャール反応について
化学
-
6
Pd-CとPd-黒って?ちょっと長いです
化学
-
7
グリニャールetc・・・
化学
-
8
pKa のリストを探してます
化学
-
9
収率の表記で
化学
-
10
グリニャール反応で…
化学
-
11
副生成物
化学
-
12
難問です。。。
化学
-
13
TLCにおける誤差の原因
化学
-
14
波長と共役について
化学
-
15
鈴木-宮浦クロスカップリングで困っています。
化学
-
16
中和滴定によるファクターの計算について はじめまして、大学の化学でファクターの求め方が分からないので
化学
-
17
乾燥剤について
化学
-
18
トルエンと水の混合溶液の沸点が下がるのはなぜですか?
化学
-
19
等吸収点って・・・
化学
-
20
酢酸エチルの収率について。
化学
おすすめ情報
このQ&Aを見た人がよく見るQ&A
デイリーランキングこのカテゴリの人気デイリーQ&Aランキング
-
Pd-CとPd-黒って?ちょっと長い...
-
触媒の実験について~酒石酸カ...
-
合成樹脂の配合 「部」について
-
担体と担持の意味について
-
触媒にニッケルがよく使われる...
-
TON
-
試薬の役割と反応機構について
-
マレイン酸→フマル酸。
-
ヘキサアンミンコバルト((3))...
-
ブドウ糖に濃硫酸の化学反応式...
-
いわゆる「触媒量」とは、どの...
-
Ptはなぜd9軌道をとるのか
-
「実験室」と「研究室」を英語で?
-
ターンオーバー数
-
鈴木宮浦カップリングにおける...
-
触媒定数の単位は何ですか?
-
金属触媒の危険性
-
ニッケル触媒を用いたカップリ...
-
なぜ多糖類の加水分解は酸性溶...
-
空間パターンのしくみについて
マンスリーランキングこのカテゴリの人気マンスリーQ&Aランキング
おすすめ情報