以前聞いた話によれば
1.最後の[n]の有無はあまり重要ではない
2.イとイーの違いは長さの違いでなく質の違い
ということです。
2番目について、辞書を見たところ
thirty[θэ:rti]
thirteen[θэ:rti:n]
となっており(発音記号が表示できないので似た文字で代用)、同じ「i」の字が使われていました。
しかし凡例のところには注として
*「イー」は発音記号で[i:]、「イ」は[i]だが、短音の[i]は[i:](ほぼ日本語のイー)と違い、「エ」に近い
との記述を見つけたため、このことだとずっと思っていたのですが、
この辞書の発音記号は独自のもので、別の辞書(IPAに近い表記)で調べなおしてみると、そもそも「エに近いイ」の方は別の記号(小大文字I)で書かれるべきもので、発音が違うのも当然のものでした。
そこでthirtyなどの発音を調べてみると、語尾は[i]になっています。これでは[i:]との発音の違いは無いと思います。
長くなりましたが、疑問点は次のとおりです。
・thirtyとthirteenの「イ(ー)」音に長さ以外の違いはあるか。
・あるとすればそれが同じ記号で書かれているのはなぜか。
No.7ベストアンサー
- 回答日時:
(1)
「thirtyとthirteenの「イ(ー)」音に長さ以外の違いはあるか。」
⇒ 前者(thirtyの語末の母音)の英音には少し注意が必要に思います。
発音の問題は個人差はもちろんのこと、地域差、階層差とともに話者の「年齢」の要素なども絡んで一般化の難しさがあると思います。この点で、確かに米人、及び英人の「比較的若い話者」については、回答#2に示されているように、長さ以外の違いはほぼないと考えていいように思います。この「英人の『比較的若い話者』については」という点は例えば、”In a word such as happy…, younger speakers use a quality more like /i:/, but short duration.” とOALD(第7版)の後ろの発音解説(R118)にあります。
しかし、このthirtyの語末の母音では、伝統的に本来標準とされてきた英音(RP, 容認発音)においては、回答#2で紹介されている /I/ という記号で示される音が用いられているようです(松坂ヒロシ著『英語音声学入門』(研究社出版、1986年に第1版、p.16及びp.18より))。
(2)
「あるとすればそれが同じ記号で書かれているのはなぜか。」
⇒「いわゆる『ジョーンズ式発音記号』の伝統の重み」も関係があると思います。
回答#2で「記号の数を増やしたくないということ」という見方が出されていますが、私にはこの点以上に、この伝統というか慣習という点も忘れてはならないと思います。松坂氏は、「イギリスの音声学者Daniel Jonesは、例えばsitを [sit] と表記し、seat [si:t] などの [i:] の音と同じ文字を使った。Jonesはもちろん、sitとseatとには別々の母音が使われることを十分承知していた。そのうえで、彼は質の異なる二つの音の区別を、それぞれを長母音と考えるか否か、という一面のみに着目し、長音符号 [:] の有無により表示した。ジョーンズ式は、長年日本の辞書の発音表記の主流をなしてきた」(前掲書p.24)と書いています。
なんと。伝統的な発音は[I]だったのですね。そして現代の発音はほぼ[i]と。
そうなると「質が違う」という情報は伝統的話者の言ったことだったのかもしれません。
ジョーンズ式については、そもそもそのようなものがあること自体知りませんでした。[I]を伸ばせば[i:]になるのですから[i]を考えなければ確かにその表記は合理的ですね。
してみるとジョーンズ氏の時代にはthirtyも[I]の発音で、[i]という発音は存在しなかったのでしょうか。
No.9
- 回答日時:
「補足」を読ませていただきました。
まず、 (2)について。
/i/ は
(あ)thirtyの類の単語の語末、
以外にも
(い)react、previous, colonialなど語中の母音の前
に表れます。
この点は、 /I/ の表記を用いた表記方法を採用している辞書の「発音記号表」の母音表記 /i/ の凡例で確認できます。例えば、
•『ウィズダム英和辞典』(三省堂)なら「本書の使い方」のp.xiiiに、
•『ルミナス英和辞典』(研究社)ならp.2087(詳しい説明がp.2091の右段の上から4行目以降に)
にあります。なお、『ジーニアス英和大辞典』(表カバー裏の右側に「発音記号表」あり)はいいんですが、『ジーニアス英和辞典』は /I/ を採用していません(つまり、Jones方式)。
次に(1)について。
(あ)
まず、「例えば韓国語において"キヨク"という名の子音は「母音にはさまれたとき[g]」「それ以外は[k]」の発音になりますが、韓国人自身はこの2つの違いを認識していません。」
⇒
私は韓国・朝鮮語についての知識がありませんが、もしおっしゃるとおりだとすれば [g] と [k] が「相補分布」の関係にあって、それぞれの両方に対して対等の独立した音素の資格が与えられているのではなく、相互に「異音」の関係にあるのでしょう。
(い)
しかし、 英語においては [I] と [i:] の関係は、互いに「異音」関係にあるあるのではなく、音素としてはまったく独立した資格を有しています。例えば、ミニマルペアの sit ( /I/ ) と seat(/i:/)は意味の対立する別単語です。よって、英語の「発音者自身は[I]を伸ばしたつもりで[i:]になっている」とか、「[I]と[i:]も同じひとつの"I"というものが「長いときには[i:]」「短いときには[I]」と発音が変わるのに気づいていない」というふうには感じていないはずです。
(う)
「そしてそれを元に発音記号を作ったジョーンズ氏もこの2つを書き分ける必要性を感じなかったのではないか」
⇒
Jonesは「この2つを書き分ける必要性を感じ」ていたからこそ、/ i / と/ i: / という表記の仕方で「この2つを書き分け」たわけです。
(2)について、そうでしたか。thirty類が[i]であった時代にも[I]は存在したということになると私の仮説は間違っていたようですね。
となると(1)はもう問題ではないのですが、また誤解させてしまったようですので、説明しなおします。
[I]と[i:]の違いは分かります。問題は[i]と[I]の違いです。
つまり、thirtyの語尾が[i]でなく[I]だった時代、(他の語にも[i]の発音は無いと思っていたので)次のようなことが言えるのではないかと考えていました。
話者に[i]と[I]、[i:]と[I:]の区別は付かない。
存在するのは[i:]と[I]のみ。
⇒発音者自身は[I]を伸ばしたつもりで[i:]になっている
例えば日本語で「伊田」と「飯田」はミニマルペアをなし、[i]と[i:]の2音素が独立した資格を有しています。
ここで仮に日本語が「[I]を伸ばそうとすると[i:]になってしまう」性質を持っていて、[Ida]と[i:da]であったとしても独立した資格を持つ状況は変わりません。
韓国語については言いたいことが伝わったようです。「[k]と[g]は相補分布をなす異音」ですね。専門用語が分からないので冗長な書き方になってしまいました…。
No.8
- 回答日時:
「お礼」を読ませていただきました。
「[I]を伸ばせば[i:]になるのですから[i]を考えなければ確かにその表記は合理的ですね。
してみるとジョーンズ氏の時代にはthirtyも[I]の発音で、[i]という発音は存在しなかったのでしょうか。」
⇒ 音声の議論は母音体系をシステムとしてどう表記するかを明らかにした上で行わないとうまくいきません。このJones方式での強母音 / i / と/ i: / との対立を、 / I / と/ i: / の表記を用いて表したのは歴史的にGimson以降のことであり、まずどちらの表記法で議論するかを明らかにしておかないと話がこんがらがってしまいます。さらに今回の件で面倒なのは、話がこの強母音の表記を基にせざるを得ない同類の弱母音(強勢のない母音)に関するものなのでなおさら議論がしにくいものになっています。
以上の前提に立ったうえで
(1)
「[I]を伸ばせば[i:]になる…」という部分は私には理解できません。
(2)
「[i]という発音は存在しなかったのでしょうか。」
⇒ これは次の2つのどちらの疑問ですか?
(a) ジョーンズ氏の時代にはthirtyの語末の母音の発音に[i]という発音は存在しなかったのでしょうか。
(b) ジョーンズ氏の時代には [i]という発音は存在しなかったのでしょうか。
いずれにせよ、余りにも大きな問題ですので新たに質問のスレッドを立てられてはいかがでしょうか?
この回答への補足
発音表記はIPAを用います。(小大文字Iは普通のIで代用)
(1)について、分かりにくい書き方ですみませんでした。
[I]と[i:]においてこの発音の違いは、[I:]や(thirty語末を除き)[i]が存在しないことから考えて、発音者自身は[I]を伸ばしたつもりで[i:]になっているのではないかということです。
例えば韓国語において"キヨク"という名の子音は「母音にはさまれたとき[g]」「それ以外は[k]」の発音になりますが、韓国人自身はこの2つの違いを認識していません。
これと同じく、[I]と[i:]も同じひとつの"I"というものが「長いときには[i:]」「短いときには[I]」と発音が変わるのに気づいていないのではないかということです。
そしてそれを元に発音記号を作ったジョーンズ氏もこの2つを書き分ける必要性を感じなかったのではないかと。
(2)について
(b)なのですが、thirtyの類の単語の語末以外に[i]となる例を私は知りませんので、(a)=(b)のつもりで書いていました。
No.6
- 回答日時:
thirtyは最初の方を強く読んで
thirteenは最後の方を強く読みます。
このようにアクセントの違いもありますが、
読み方も違います。
thirtyは「サーディ」で
thirteenは「サティーン」と読むそうです、ネイティブ(カナダ人)の大学の教授がこう仰っていたので間違っている筈はないですね。
残念ながらカナ書きされてもあなたの聞いた発音は私に伝わりません。
そもそも私の質問は母音についてで、「サーディ」「サティーン」で異なっているのは子音だけです。
母音に違いは見られないということでよろしいですね。
No.5
- 回答日時:
[I][i][i:] の区別についてはすでに言われているとおりです。
ただし,アクセントについては注意が必要です。たしかに単独で発音する際には,thirty は第一音節に,thirteen では第二音節に強勢があります。しかし,これらの単語がつぎに来る名詞を修飾する場合,さらにその名詞の最初の音節に強勢がある場合,thirty, thirteen どちらもアクセントは第一音節になります。これは強勢の衝突(stress clash)を防ぐためです。
面倒なので仮名書きをし,かつ第一強勢を「○○」,第二強勢を『○○』で表します。
thirty 「サー」ティ
thirty boys 『サー』ティ「ボーイズ」
thirteen サー「ティーン」
thirteen boys 『サー』ティーン「ボーイズ」
Japanese 『ジャ』パ「ニーズ」
Japanese food 『ジャ』パニーズ「フード」
というわけで,teen は ty よりもやや長めに,そして n もしっかり発音されることをお勧めします。
No.3
- 回答日時:
No.2の方が言われている通り、
発音記号の i と i: は違う音ということです。後者が前者を長く発音するということだけでなく、音そのもの(口の形も)違うということ。
質問者さんがどのような英語環境におられるのか分かりませんが、発音の問題は、「ネイティブの英語を聞く・自分で発音する」ことが最優先です。 理屈をこね回しても深みに入るだけで上達には結びつかないと思います。回りにネイティブがいればいいですが、そうでない場合も、録音したもの等を利用して、本もの英語に接することです。
学校英語の限界というのもあるでしょうが。
私も若い頃、同様の悩みを持ったことがあります。
発音記号が先にあって、それを再現して発音があるのでなく、普通にしゃべる生きた英語が先にあって、それを文字で再現すべく発音記号が生まれたわけですから。
蛇足ですが、英米では、日本でよく使われる発音記号をほとんど使わないようですね。
>No.2の方が言われている通り、
>i と i: は違う音
失礼ですがNo2さんの回答をきちんと読んでいないものと思われます。もう一度読み直すことをお勧めします。
>発音の問題は、「ネイティブの英語を聞く・自分で発音する」ことが最優先
まったくそのとおりですね。痛感しています。
私は生まれてこのかた海外に出たことのない純粋な日本人です。
やはり本物の英語に触れたいですね。NHK語学講座や洋楽のCDは聴いていますが。
>英米では…ほとんど使わない
フォニックスやら何やら各辞書工夫を凝らしていますよね。個人的にはIPAで統一して欲しいところですが、国内で使う分にはその方が分かりやすいのでしょうね。
(もっとも日本の辞書もIPAもどきで統一が取れていませんが…)
No.2
- 回答日時:
日本の英和辞典で,/I/ という記号を用いているものもいくつかありますが,用いていない方がまだ多いのではないでしょうか。
ジーニアスも用いていません。おそらく,その理由は,記号の数を増やしたくないということでしょう。/i:/ と /i/ (すなわち /I/)の発音の違いが知識としてあれば,同じ記号を用いていても,: の有無で区別できると考えているのでしょう。
しかし,それだと問題が出てきます。
/i:/ という発音は,アクセントがないと,弱くなる結果,長さも短くなり,/i/ になります。
/I/ という発音は,アクセントがないと,/I/ もしくは /э/ になります。
thirty の最後の /i/ は,前者であり,たとえば,opposite の -i- の部分は後者です(/I/ か /э/ かは辞書によって違います)。report の -e- の部分は,どの辞書でも /I/となっています。(もちろん,/I/ を用いていない辞書では /i/ です。)
この場合,/I/ という記号を用いないと,同じ /i/ となってしまい,区別ができなくなるのです。
したがって,私は /I/ という記号を用いるべきだと思います。
このように,thirty の /i/ は,/i:/ の音が弱くなり,/i/ となったものであり,/I/ とは別の音です。
そして,この /i:/ と /i/ の違いは強弱の違いであり,記号上は,: の有無で区別しますが,弱くなった結果,短めになる,と考えた方がよいでしょう。
専門家の方ですか。詳しい説明ありがとうございます。
やはり[i]は[I]とは違い、[i:]の短く弱くなったもので[i]と[i:]には違いはないのですね。
私の理解とほぼ同じで、安心しました。弱くなった結果短めになるのですね。
[I]が使われるべきというご意見、まったく同感です。
そのくせ[o]と逆c(広o)の区別はするのが不思議です。
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